パワーバランス
「おいおい…こんなもの何処で拾ってきたんだ?」
「ロシアから譲り受けました。今後の國防の要です。」
「動かせるのか?」
「彼等は、私が日本の自衛隊から引き抜いて編成した部隊です。訓練と運用は問題ありませんよ。ただ今後40年程で、國内生産出来るように研究開発を急がなければなりません。」
洋上に浮かぶのは最新鋭のヤーセン型原子力潜水艦であった。搭乗人員は64名から90名、戦術核も搭載可能な多目的原子力潜水艦である。
「戦術核も搭載してるのか?」
「はい、今回の最大の目的は、核武装することですから…。」
「全く…どんな手品を使ったんだか…。だが石黒、よくやってくれた。ありがとう。」
俺は深く頭を下げた。
「中国、ロシア、北朝鮮そして常國。これで周辺國のパワーバランスが取れるな。USAの反応はどうなんだ?」
「戦略核を持たない現状としては、特に仕掛けて来てはいません。彼等の最大の懸念事項は、常國が中国に取り込まれる事でしょうね。」
「戦略核も必要になってはくるが、それよりもドローンを大量保有する方が良いかな。」
「同時に進めなければなりませんね。常國には、未知のエネルギーが眠っています。今後は、世界中から資源を狙われる事が予想されますから、防衛能力は急いで整えなけれならないですね。」
「この前のあれ…そんなに価値のある物なのか?」
「そうです。エネルギーとして使用出来るまでには数年かかるでしょうが、その有用性が認識されれば、常國は再び脆弱な資源國として侵略の脅威に晒されます。」
「平和的に貿易出来れば良いのにな…。」
「全くですね。その為に一定水準のパワーバランスを維持する必要があります。」
「しかし、徴兵制度でも取らないと、兵力が少なすぎないか?」
「現代戦では、ミサイルとドローンが主力です。それには熟達した専門知識が必要となりますので、その人材育成は必要ですね。白兵戦を想定した防衛でしたら、徴兵よりも道場を充実させる方向で考えています。」
「そうか…。話は変わるが、少し相談があるんだ。」
そこで俺は、トマムで保護した少女の事を石黒に報告したのだった。




