開戦
中国政府が、台湾に対する弾圧を日に日に強め、その残虐な映像が連日報道されると、日本国内に中国批判や中国との戦争を意識した議論が多くなって来た。
政治家達は、USAが軍事介入した場合の自衛隊の立ち位置をどうするか、自衛隊に被害が出た場合に戦闘はするのか、憲法改正の必要性を…等と、寝ぼけた議論を演じて見せ、自分の有能さ加減を国民にアピールしている。
そんな時であった、領海侵犯していた中国海軍が、海上自衛隊に砲撃し着弾。それに対して海上自衛隊が反撃して戦闘になった。しかし、限られた武器しか使用出来ない海上自衛隊艦1隻は呆気なく撃沈される。
「日本の海上自衛隊が我が国の領海を侵したため、警告の後に牽制射撃をした。しかし、海上自衛隊はそれを無視した為に戦闘となり、中国軍兵士5人が重傷を負った。これは我が国に対する犯罪的な侵略行為であり…」
政治家達は揃って発砲した海上自衛隊を責めた。その殆どが、「この緊迫した国際状況の中で、あり得ない失態だ。」といった内容だ。
命を掛けて國を守った海上自衛隊、このような罵声を浴びせられ、彼等の心中は想像に難しくは無い。
これが、政府と自衛隊に大きな確執を残す結果となる。
一方で中国は国防の為として、大規模な艦隊を編成し、日本領海内で軍事演習と称した侵略を開始した。
USA政府は、この事態の悪化に対して極々冷静であったと思う。日米安全保障条約に基づき、中国と交戦するか否かを議会で審議可決した。
「USAは日本と中国の紛争に介入しない。」
まるで、事前に何度も練習したかのように、素早くすんなりと可決した。
そして、USAは東アジアからの米軍全面撤退を決める。
だが、これは日米安全保障条約に違反してはいない。この条約には『当該国の憲法にのっとり…』とされており、USAの憲法には『他国と戦争をする際には議会の承認が必要である』と明記されているからだ。
元々、日米安全保障条約の本来の目的は、日本に軍事力を持たせないためのものであり、USAが日本を守る目的に交わされたものでは無い。
何も知らない日本政府は、丸腰で中国との戦争に突入しようとしていた。




