台湾有事
去年の夏、中国は台湾に対して厳戒令を出し、反抗する反中国共産党組織を逮捕・拘束、それに抗議する市民のデモ隊に発砲して数千人を虐殺した。
台湾政府は当然の如くUSAに助けを求めたが、中国政府は世界中に向けて次の様に宣言した。
「今回の事件は、国家転覆を企んだ国賊から、善良な中国国民を守る正当な処置である。万が一、USAが内政干渉するような事があるならば、我々はUSAに対して断固たる処置をとる。」
それに対するUSAは、
「中国政府はこの非人道的な台湾に対する制裁行為を、今すぐ止めるべきだ。」
としながらも、
「…我々は、極東の安定を望んでいる…」
…らしい。
その後、中国艦隊による日本領海侵犯に対抗して集結した海上自衛隊を牽制射撃で挑発。中国空軍機による日本領空侵犯等を繰り返した。
核の傘を信じている日本国民は、テレビで流れるそれらの映像を、まるで遠い國で起こっている他人事のように…何の実感も危機感も無く、次のバラエティ番組の合間に、次のドラマの合間に流し見ていた。
「台湾を中国から助けなければならない!!」
「いよいよ、悪人の中国を世界最強の正義の味方USAが懲らしめる時だ。」
「USAに喧嘩をふっかけるなんて、中国はなんて愚かなんだ。」
「USAの軍事力は、中国を遥かに凌駕しており、現在我が国に配備されている…。」
いい加減なコメンテーターや、拝米主義の自称軍事専門家が、メディアで日本国民に対して更に目隠しをする。
「…いよいよ始まったか…。」
寧ろ予測よりも少し遅いくらいだ。
北海道は日本の最北端だ。最南端で繰り広げられている今回の台湾問題や中国による日本の領海、領空侵犯からは一番遠い位置にある。
道民の最近の関心事と言えば、プロ野球で日ハムがクライマックスシリーズに出るかどうか…とか、新しく発売された話題のケーキ…とかだった。
「わかっちゃいたけど、ここまで無関心だとはね。」
「ブー…ブー…」
スマホに入ったメッセージを見ると、『ロシアが動き出した』とあった。
「…となると、二カ月後に北海道侵攻だ。」
USAもヨーロッパ諸国も、このロシア軍の動きを監視、察知しているだろう。それでも、日本政府には知らせる事は無いだろうが。
「今頃、沖縄の米軍基地では、引っ越しの準備に追われているんだろうな。」
慌てふためくその光景を思い浮かべると、何だか滑稽で笑ってしまう。




