日常
鎮石は、神を封印し、その力を封じ込める為に用いられる術だ。それが、女神様の祠の水源に施されていたということは、今迄女神様を封じ込めていた事になる。
だが、実は神社や祠の鳥居にも、これと同じ意味がある。結界によって、神世と現し世を隔てて、神が現し世に降りてこれないようにしているのだ。
違いと言えば、神様をお招きしてお祀りするか、神様の力を削ぎ落とし直接封じ込めるか、という事である。
常國の多くの水源や龍穴は、宮川が対立している組織によって、既に同じ様な術が仕込まれてしまったのであろう。
「鎮石の中でも、隕石を使った術は醜悪なんだ。神様の胸に木の杭を打ち込むようなものさ…。ひでぇ事しやがって…。」
宮川は眉間にシワを寄せ、歯をギリリと食いしばる。
成る程、だからあんなに感情的になって、鎮石を壊したのか。
「これからどうする。何か考えがあるんだろ?」
「ああ、先ずは外国人に買われた土地を回る。何かしら痕跡がある筈だからな。それに、術を掛けた奴は、それが破られれば分かる筈だ。向こうが俺達を見つけてくれる。」
「はははっ!上等の餌に食い付くのは、さぞかし大物だろうな!」
本当に、背筋が寒くなってくる。ヤクザな警察相手の方が百倍マシだぜ。
今後の方針が決まった俺達は、最初の目的地をニセコに決めた。
法の無い常國では、個人での土地の所有権という概念が無い。だから、建國前に外資に買われた土地であろうと、『俺の土地だ』と主張する事は許されないのだ。
もし、強固に所有権を主張する者が居れば、少しの説得の後に、拘束している。勿論、攻撃されれば切って捨てていた。
それが常國での俺達の役割、俺達の日常であった…。




