第24話―確証(レイティア視点)
「――ヴァイー? ラグナー? アリオスー」
呼んでみるも、返事は無い。私は歩みを止めることなく、三人の名前を呼び続ける。
「……ダメかぁ。……っと……」
そこで、私は自分が止まらずに歩き続けていたことに気づく。
「どこだここ……?」
ヴァイ達とはぐれてから道なりに歩いてきたはずなのに、どこか違和感を拭えない。この魔力の濃度だ、魔力探知は意味を為さ――
「魔力……?」
――何だ? 今、何か思いつきそうな気がしたんだよな……。
脳内にふと奔った刺激の正体を、唇に手を当て、眼を閉じながら考える。
――魔力。個体ごとに〝魂〟を器にして宿す、生命の根源。その波長は個体ごとによって異なり、ある程度は魔力で判別、認識ができる。
「……あ。そうか」
その正体は、すぐに解った。
――この霧も魔力の塊。ってことは、魔力の持ち主の場所も解るんじゃね?
「そうと解りゃあ、早速実践だ!」
言いながら手を正面に出し、周囲の魔力とは波長を合わせず、そこから純粋な私の魔力を放出する。
魔力が反発し合い、そこかしこで軽い爆発が起こるが気にせず放出し続ける。
私の魔力が、持ち主を辿るように、前に、上に進んでいく。なるほど、魔力の正体はこの先で間違い無いようだ――
「ッッ!?」
その瞬間、何かの壁に当たったかのように、大きな爆発を残し、魔力が霧散する。
ここでようやく、最初の違和感が何だったのかに気づいた。
「これ……でかい魔力に何か別の奴の魔力混ざってんな? それにこの感じ……あぁ、なるほどね」
どこかで感じたことがあった。既に一つの結界に入っており、全く気づかなかった。それに、今視えた、三人目の魔力。ようやく解った。
「二つ目の結界。この魔力なら気づかんわけだ」
ヴァンの〚血界〛と同じだ。ヴァイ達とはぐれてからの違和感の正体はこれだったのだ。ってことは――
「――ヴァイ達も、誰かの結界に閉じ込められてる」
こう考えるのが妥当だろう。とはいえ、だ。それが解ったとて、伝える手段がない。
それに――
「ずっと隠れてなーに見てんだ? それとも覗きが趣味なのか、変態さんよ?」
はぐれてからしばらくして、脇の木の裏から何者かの気配を感じていた。この場所の解明が先だと思い放っておいたが、謎が解けた今、相手をしてやってもいいだろう。
「――アッハ。いやいやぁ、やっぱバレてましたかァ」
「…………は?」
――その、いやに癇に障る声は。
「こないだはどーも。〝紫〟の姐サン?」
「イール……ッ!!」
殺したはずの、〝魔女の一族〟の因縁が、何故かそこにいた。
奴は相変わらず人の神経を逆撫でするように、慇懃にお辞儀をする。
それには反応せず、私は虚空を握る。右眼から滅紫色の光が溢れ出し、右手へと集まり、剣を形作る。
滅魂神剣、アストフェルリーヴァ。
かつて奴を殺した紺碧の神剣を、私は冷静に構える。
「いやァ、にしても嬉しいっスよ、アタシは。こうしてもう一度、アンタを殺れるチャンスが巡ってきたんっスから――ネェッ!!」




