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【16KPV感謝】魔女の姉の身の回りの世話をしていたら、いつの間にか近衛騎士団長に抜擢されていました。  作者: 夜刀神遼
episode.03 〝剣神〟の故郷 編

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第22話―“龍の幻界”

 一方、ヴァンの創った“血界けっかい”の外では――。


「――降りてきてるってさ、古龍」


 他の者が道場で稽古をしている中、中庭で話す者が二人。


「ほう。では、今が好機。今宵、皆を連れて龍桜山へ行こうかの」


 その言葉に、もう一人が首を傾げる。


「夜? 何でさ?」

「奴が姿を見せるのは、の刀と同じ夜故、な」


―――――――――――――――――――――


 ――その夜。

 夕飯を食べて休んでいた僕達の元へ、ラテン殿が訪れる。

「ラグナよ」

「祖父上、如何いかがした?」

「今より古龍を倒しに行く。そうじゃな……。〝紫〟の二人に〝灰緑〟のお主。お主らも共について参れ。此度は少数精鋭で行く」


 そうして指名されたのは、僕と姉さん、そしてアリオス。


「えっ……。今から……ですか?」


 ラテン殿の言葉に、僕達は驚く。確かに、センラ殿の話によると下りてきている、とは言っていたが……。


「奴が下りてくるのが今しか無いのじゃ。刀同様、奴が来るのは満月の夜のみ。故に、今が好機。逃せば、次(まみ)えることが叶うはまた一月後となる」

「なるほど……」


 ――ならば、確かに彼の言う通り今の方がタイミング的には正しいか。


 僕達はレナ殿から貸し受けていた服から、戦闘用の普段着に着替え、いつか家族にもらった濃紫のうしのマントを羽織る。


 ――数分後、僕達は御剣家の正門前に集まっていた。


「準備はできたかの?では、行こうぞ」


 ラテン殿はそう言うと、昼に歩いた道を辿るように歩き出す。

 しばらく歩くと、昼に歩いた道とは別で、もう一つの道ができていた。


「この道は……?」

「お昼には無かったよね」


 僕達が見つめているその道は、何か霧のようなものが充満しており、夜の暗さも相まって先を見通すことができない。


「ここからが特に、“龍の幻界”の影響が大きくなる。精神状態異常効果などもある故、各々心してかかれ」


 ラテン殿の言葉に、僕達は皆一様に頷く。それを見たラテン殿は、何も言うことなく霧の中へ消えていく。僕らもそれに続く。

 霧はおそらく龍の魔力なのだろう、魔力探知が阻害レジストされており、近くにいる姉さん達の位置を把握するのでやっとなほどだった。


「皆さん、いますか?」

「うん、いるよ」「「ああ」」


 後ろからそれぞれの返答がくる。大丈夫だ、皆離れていないようだ。

 ここは何が起こるか解らない、未知の領域。とはいえ手練てだれ揃いのこの面子だ、仮に分断されても二人組ならば、余程のことが無い限り対処できるだろう。最悪の事態は、個々が完全に分断されること、それだけは避けたい。

 幸い霧の中は獣道のような整備されていない道ではなく、ちゃんと道として機能しており、ある程度進むべき方向は解る。

 ――そんな事を、考えながら歩いていると。


「……ラテン殿?」

「むっ……」


 ラテン殿の、魔力反応が無くなっていた。

 探知範囲を広げてみるものの、やはり“龍の幻界”の影響で阻害レジストされており、上手く探知できない。


「不味い、ラテン殿と分断されました――」


 言いながら、後ろを振り向くと。


「……いつの間に……?」


 誰も、いない。


 考えていた最悪の事態が、現実となった。

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