第2話④~トランプで真剣勝負!!~
「おぅ、来てやったぜクソガキ二人組。さっさと始めようや」
「その前にアンティ(賭け)を決めさせてもらう」
ゲームワールド内では、プレイヤーの任意で『アンティルール』、即ち約束事や私物品を賭けることもできる。その交渉はゲームワールド管理者の認証を受け、許可された時に成立する。
そしてその交渉は、決して破ってはならない。
「俺からは『近所のゲーセン、ゲームプレイ内での暴行、迷惑行為を一切しないこと』を約束しろ。――お前はどうする?」
「……じゃあ俺様は、『我が伊火様のグループにお前ら二人が入り、どんな命令にも従う』だ! 二度と逆らえないようにな!!」
このアンティに、ギャラリーの不良連合軍はギャーギャーと騒ぎ立てる。親玉が負けるはずはない、青二才が出しゃばるなと中指を立てて煽るが、剣はそんな雑音に聞く耳を持たない。
「良いぜ、受けて立つ!」
と言うと剣はモニターにアンティの交渉要請を出した。
「剣くん………」
『アンティの内容が認定されました。アンティ成立』
トランプゲームには様々な種類がありますが、『スピード』とは一体どんなゲームなのか。
ここで、読者の皆さんにも簡単にルールを説明しておきましょう。
★★★
PLAY GAME No.2
【トランプゲーム・スピード】
・ジャンル『カードゲーム』
・プレイヤーレベル:10
※プレイヤーレベルは幼児期に遊べるゲームをレベル1とする。
概要
一対一のシングルゲームで行う対戦型トランプゲーム。主に瞬発力や体力を使うため、トランプ特有の運要素が少ない。
ルール
1.ジョーカーを除いた52枚のトランプを、絵柄を見ながら赤(ハート♡とダイヤ♢)と黒(スペード♤とクラブ♧)の2組に分け、両者が1組ずつ持つ。
2.プレイヤーは自分が持っているカードを、裏を上にしてよくシャッフルする。
シャッフルし終わったら、シャッフルしたカードを相手に渡す。
3.プレイヤーは自分の前の場に表向きに4枚のカードを置く(場札)。残りは裏のまま持つ(手札)。
4.「スピード!」という掛け声で手札の一番上のカードを、自分の場札と相手の場札の間(場の中央付近)に表を上にして、2人同時に置く(台札)。2つの台札が出来ることになる。
この時、2人ともカードが出せない場合は、4.の手順を繰り返して新たな台札を出す。
5.場札の中に台札と一つ違いのカード、例えばA→2や10←Jなど(KとAは一つ違いとみなす)があれば、場札を台札に重ねて置くことができ、その場札が新しい台札となる。
場札が3枚以下になったら、手札から補充して4枚にする。
どちらのプレイヤーも前項の操作を続けることができない場合、もう一度 4. から始める。
こうして早く自分の手札を無くしたプレイヤーが勝利となる。
★★★
「ルールは1セット一発勝負! トランプはさっき買った未開封新品ので行う! ――始めようぜ!!」
そう言うと剣はP-ストアで購入した未開封の新品トランプを取り出し、【ディールシャッフル】でカードを混ぜる。
★【ディールシャッフル】★
テーブルで複数の場所に順番に1枚ずつカードを配っていく。
全てのカードを配り終えたらテーブルの上にできたいくつかのパケットを重ねて一つにまとめる。
時間は掛かるが、カードを痛めずに確実にカードを混ぜる事が出来るシャッフル技の一つである。
※プレイギアゲーム辞典アプリ『G-バイブル』より引用
「……モタモタしてんじゃねぇよ、内職やってんじゃねぇんだぞ?」
「いいから黙って待ってな」
服部の煽りにも剣は動じない。常にクールであることは、ゲームにおける強者の証でもある。
その後、剣はカードを赤(♢♡)と黒(♤♧)のデッキに分けた。服部は赤、剣は黒を取る。
「こっからは自分でカードを切るぜ」
お互いはカードの束を、二つに割っては下から上へ重ねてシャッシャと細かく混ぜる。これは日本で一般的な『ヒンドゥーシャッフル』というものである。
剣は優しく傷付けないように、服部は粗雑にカードを切っていく。一瞬、服部の手先が不自然な動きをしたのを、剣は見逃さなかった。
「準備はいいか?」
「あぁ、いつでも良いぞクソガキ」
「クソガキじゃねぇ。俺は桐山剣だ、覚えとけ!」
互いにデッキをセット。そして場札が4枚ずつ並ぶ。後は中央に捨て札を出すだけ。
『READY……』
用意のアナウンスコール、そして掛け声は一つ……!!
「「『スピード』ッッ!!!!!」」
開始と同時に、二つの台札へ滑り込むようにカードが重ねられていく!
その速さは互角、いや剣が一歩リードか。一方の服部も食らいつこうと必死だ。
服部の場札に連番の「ダイヤの4・5」が並んだ!
4を台札に置き、続けて5を置こうとした瞬間、剣の「クラブの3」が割り込み、連続を阻止する!
攻守が入れ替わる中、剣が冷静に対処していく反面、服部はただがむしゃらにカードを処理するしかなかった。
場札に捨てるカードがなくなる。一旦呼吸を置いてのブレイクだ。
(……大したプレイじゃねぇな。所々に焦りが見えている。余裕が無い分、隙も大きくなる)
冷静な剣の解析は正しかった。一方の服部は……
(何て奴だ、涼しい顔をして全く隙が無い。それに連番で攻めてもその間を割り込んでペースが掴めなくなる。―――だが俺様には切り札がある……!!)
執拗に勝ちへ執着する服部の持つ“切り札”。不気味な笑みを浮かべ、桐山剣へ鋭い眼光を向ける。
スピードの台札は、どちらもカードが出せない硬直状態となった。山札から新しいカードがオープンされた瞬間に、再び時は動き出す。――さあ、どう動くか……!?
「……続行だ」




