第16話②~3次元体感シューティング!!~
1st STAGEを終えて、デュエルフィールド会場では直ちに次のゲームの準備が開始された。
それはあたかも、スマホゲームが新イベントのために大規模なアップデートを敢行するかのようであった。
そして、準備は整った。
開始を告げるのは、魂の実況者・新垣治郎のアナウンスだ。
『――剣と剣とが火花を散らした1st STAGE! しかし、この激闘はまだ序の口に過ぎない。
さぁ続いての2nd STAGEは、この大気圏を突き抜け、宇宙へと飛び出そうではないか!
三次元の壁をぶち破り、銀河の果てまで駆け抜けろ! プレイヤー諸君!!』
実況が響き渡ると同時に、会場は一瞬のブラックアウトに包まれた。観客の視界が完全に失われるほどの深い闇。
そこから数秒と経たぬうちに、最新鋭のプロジェクションマッピングがVR空間を塗り替えていく。360度を埋め尽くす星々、そして数千光年の孤独を孕んだ漆黒の宇宙が展開された。
その常闇からデジタル粒子と共に生成されたのは、一機の小さな戦闘機と、行く手を阻む隕石群。そして、無数の砲火を撒き散らす巨大母艦だ!
『宇宙を駆けるシューティング乱舞! 敵弾の嵐を潜り抜け、舞え! 狙え! 撃ち抜け!! その名も――【コズミック・カウボーイ】!!!』
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PLAY GAME No.12
★G−1グランプリ予選 2nd STAGE★
【COSMIC COWBOY ―コズミック・カウボーイ―】
・ジャンル:縦スクロール型シューティング
・プレイヤーレベル:27
【ルール】
太陽系銀河を舞台に、自機を操作して敵機を撃破するスコアアタック。 プレイヤーはコックピット型コントローラーに乗り込み、360度全方位の移動と浮上・降下を駆使して戦う。
【強化システム】
敵機の撃破や特定エリアでドロップされる『Pアイテム』を獲得することで、速度上昇・武器換装・バリア付与といった自機の強化が可能。
【スコア】
道中に出現する中型機や移動要塞、巨大母艦を撃破することで高得点を獲得。各チェックポイントに隠された『スペシャルポイント』を取得すれば、ボーナススコアや残機追加が得られる。
【終了条件】
被弾または障害物への接触で残機を1失う。3機全てを失うとゲームオーバー。
最終スコアの1/1000が、2nd STAGEのポイントとして加算される。
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2nd STAGEは純粋なシューティングゲームだ。今回も100人単位のブロック制だが、対戦形式ではない。スコアアタック――すなわち、己の限界との戦いである。
槍一郎はルールを素早く読み解き、冷静にシャッフルのメンバーへ指示を送る。
「ブラックヘロンの連中とて、全てのゲームに小細工を仕掛けるほど暇ではないだろう。ここは特訓の成果を信じ、自己研鑽のつもりでプレイしてくれ」
「せやな。いちいち奴らの顔色伺うててもキリがないわ。いっちょ楽しませてもらうで!」
剣も先程のゲームで硬さが取れたのか、不敵な笑みを浮かべている。
剣が配属されたΦブロックでは、前のゲームとは打って変わり、剣の出番は5番目とかなり早い順序になっていた。これには剣も少なからず動揺を見せる。
「随分と早えな。ぼーっとしてたら、あっという間に出番が来ちまう」
「これも予選の巡り合わせや、しゃあない。他の皆は中盤から後半やから、控え室でしっかり応援させてもらうで」
豪樹は剣を諭すと同時に、自身も手早く準備を整えた。
「あれ、豪樹さんも早いんすか?」
「あぁ、ワイは【㈱《かぶしき》】ブロックのトップバッターや! 良い見本を見せたるから、しっかり見とけよ!!」
豪樹は意気揚々と宇宙ステージへと向かっていった。
◇◇◇
『銀河の治安を守る最先端の保安官、その名もコズミック・カウボーイ! 称号に相応しい腕前を見せるのは誰か!?
さぁ、まずは㈱ブロックから参りましょう! 1st STAGEを勝ち抜いた実力者、高橋豪樹!!』
「あ、豪樹さんの出番だ!」
選手控え室のモニターを見つめていたレミが、仲間たちを呼び寄せた。
(頼むぜ、豪樹さん。良い手本を見せてくれッ!)
剣は心の中で願掛けをする。シューティングに苦手意識がある彼にとって、経験者のプレイは最高の教科書になるはずだ。
『――ゲームスタート!!』
開始の合図とともに、16bit風の軽快なテクノミュージックがVR空間に鳴り響く。
前方からは、挨拶代わりと言わんばかりに数機の偵察機が編隊を組んで現れた。
「っしゃあ、行くでぇ!!」
豪樹は気合一閃、戦闘機を急加速させて敵陣へと突っ込んだ。
序盤の敵の攻撃は緩やかだ。
豪樹はコックピット型コントローラーを巧みに操り、グリップのボタンを親指で小刻みに叩く。放たれるビームが正確に敵機を捉え、次々と爆発の華を咲かせていく。
敵側も負けじと光弾を放つが、豪樹は最小限の動きでそれを回避。撃っては避け、避けては撃つ。教科書通りのヒット・アンド・アウェイだ。
だが、ステージが進むにつれ、戦火は激しさを増していく。
強固な装甲を持つ中型機や、隕石に設置された固定砲台。中には「256発撃ち込まなければ壊れない」と噂されるほど硬い障害物までが、豪樹の行く手を阻む。
「よし、ここからが本番やな」
チェックポイントの終盤、待ち構えていたのは菱形のシルバーメタリックな巨体を持つ中型戦艦だった。無数の砲口が、蜘蛛の子を散らすような全方位弾幕を展開する!
「こんな弾幕、チョイチョイっと避けたるわ!」
豪樹の集中力は研ぎ澄まされていた。コントローラーを右へ急旋回させ、弾幕のわずかな隙間を縫うようにして戦艦の懐へ潜り込む。
戦艦の真上へと急上昇した先には、赤く点滅するエネルギーコアが剥き出しになっていた。
「そこが弱点やな。もらったぁ!」
『Pアイテム』によって強化された二連のレーザービームが、至近距離からエネルギーコアを猛打する。激しい火花とともに中型戦艦が爆散し、画面いっぱいに「SPECIAL BONUS」の文字が躍った。
その後も豪樹は、手に汗握る攻防を繰り広げた。
ステージが進むごとに弾幕は密度を増し、回避不能とも思える光の壁が迫る。豪樹は持ち前の粘り強さでそれらを掻い潜り、時には残機を削られながらも、着実にスコアを積み上げていった。
そしてついに、3機全ての残機を使い切るまで戦い抜き、豪樹の挑戦は幕を閉じた。
リザルト画面に表示された最終得点は、105,690点。
規定により、2nd STAGEの持ち点として105ポイント(1/1000換算)が加算された。
「ふぅ……。最後はえげつない弾の量やったけど、やりきったで!」
コックピットから降りてきた豪樹は、清々しい表情で控え室へと戻る。
「豪樹さん、お疲れさまです! 凄まじい集中力でしたね、めちゃくちゃ参考になりました!」
剣が興奮気味に駆け寄る。
「おう、ワイの勇姿は目に焼き付けたか? 敵の配置パターンさえ覚えれば、剣ならもっと上に行けるはずや。期待しとるで!」
豪樹の奮闘に背中を押され、桐山剣の闘志は最高潮に達していた。
間もなく、会場に彼の名を呼ぶアナウンスが響き渡る。
◇◇◇
『さぁ、続いてΦブロックからは注目の超新星が登場だ! 1st STAGEを圧倒的な突破力で制し、今大会の特攻隊長として名乗りを上げた男――桐山剣!!』
剣がフィールドに姿を現すと同時に、1st STAGE以上の地鳴りのような歓声が彼を包み込んだ。先程の鮮烈な勝利が、観客たちの期待を一身に集めている。
「……へへっ、やっぱ気持ちえぇな。皆の期待を背負って戦うってのは!」
剣は不敵な笑みを浮かべ、専用のコックピットへと乗り込んだ。
操縦桿を握る手に力がこもる。視界に広がるのは、無限に続く漆黒の宇宙。
桐山剣の気合は十分。準備は整った。
『――ゲームスタート!!』
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




