第8話⑥~俺の答えはただ一つ~
「じゃ聞かせてもらおか、兄ちゃんが出した答えってのを!!」
――ヒュッ
「っ!!」
剣は豪樹からの先手アッパーカットを素早く避け、カウンターのパンチを打ち、更に負けじと豪樹も反撃する!!
そして、4回のラウンドを超越した決死の攻防に交えながら、剣は豪樹に『ゲームプレイヤーとして、本当の強さを持つ意味』に対する答えを出す。
「――――豪樹さんの言う『心・技・体』の三原則!!このゲームを通じて俺の魂にガンガン響きましたよ!
周囲の雑音や心の乱れに屈しない清き【心】!
己のアイデンティティーを誇り、鍛冶研磨してきた鮮やかな【技】!!
立ちはだかる壁を越える強靭な【体】!!!
豪樹さんが求めたがってる”ゲーム戦士“として、人として、強者に成るにゃ欠かせない要素だった!!
―――だがそれでも俺には、まだ何かが足りなかった!!」
交差する剛腕と麗脚、他者をも魅了するスパーリングに対して体力は五分五分。土壇場に来て剣が豪樹に互角に詰めていった!!
「『心・技・体』を持ってしても、兄ちゃんにゃまだ足りないものがあんのか!?」
「そうです! それよりも大事なものが胸の奥にしまい込んであったんです!!
眼には見えねぇが俊敏で、鋭利で、万物を斬る白銀の刃が!!
――俺の魂として、“形”として己に呼び掛けてきやがった!!!」
この瞬間。剣の動きが変わり、更に豪樹を追い詰めていった。俊敏で、鋭利で、万物を斬る刃。
――――これ即ち、『剣』のように!
その『剣』を携えし騎士のように、剣は舞う!!
「俺はその『剣』に、奇妙な縁を感じた!
俺はその『剣』を魂に持って、自ら無謀な闘いに勇出た!!
力量の差も顧みず!
生きた証を残す為に!!
漢の紋章を刻み込む為に!!!
――どんなゲームにも勝てると勇気付ける『剣』を、俺はずっと前から持っていたんじゃねぇかッッ!!!!」
――カンフーキャラの烈脚、嵐脚、その一撃が鋭利な刃とように鋭く豪樹にダメージしていく!
騎士のように舞い、剣のように突き刺す!
この攻撃がまさに『桐山剣』としてのアイデンティティ! そして【ゲーム戦士】としての個性を貫いていった!!
「兄ちゃん、あんたの答えってのは……!!」
「【闘魂無くして勝利の道なし】!!
俺は白銀の刃を持つ“剣の魂”を持って、――――絶対に、勝つッッッ!!!!!」
剣のその答えに、一欠片の迷いもなかった。
豪樹はこれを聞いてニヤリと不敵な笑みを浮かべる。この思い、伝わったか。
「………エェ答えやッッッ!!!!!」
と言うと豪樹は一気に剣に向かって飛び上がった!
そして剣も同時に飛び上がる!!
豪樹の正拳、そして剣の烈脚。
空中に二つの【魂】が飛び散った―――!!
――――――うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああッッッッッ!!!!!!!!!!!
GAME SET――!!
たった一つの勝因……、剣のカンフーキャラによる烈脚のリーチの差――!
残りわずかのゲージを残して桐山剣、ファイナルラウンドにして勝利を掴んだ……!!
この劇的勝利に、勝者に対し悪意ある蔑みの言葉は無い。鳴りやまない歓声、そしてスパイスは盛大な拍手。そして果てた戦士二人……
激戦ですっかり存在を忘れてた松坂オーナーも感動歓喜の涙。槍一郎は解説のみの変な役割で終わってしまった。
「ほっとけ」
剣がいち早く起き上がり、感無量の感情を抱いた。
「……ハァ、強かったなぁ……でもこんな気持ちいいゲームは久しぶりだ!!」
そして剣は覚束無い身体の無理を押しながら、既に上体を起こして胡座をかいていた豪樹の元へ駆けつけ、深い一礼で敬意を払った。
「豪樹さん、楽しいゲームをありがとうございましたッッ!!」
それを聞いた豪樹は、再び上体を倒してリングで仰向けになりながら豪快に笑う。
「………ワハハハハハ!!! 礼を言うのはワイの方や、こんな熱い魂を持った若造がまだ居たとはなぁ!!」
そして松坂オーナーの評価は……
「いやー良いものを見せてもらった! 文句無しのエンターテインメントだ!! これはいち早く『ビッグウェーブ』の契約を済ませんとな。これでもっと儲けが進むぞ~!!」
(良かった……剣くんも、豪樹さんも!)
なにはともあれ、経営傾斜の『ビッグウェーブ』の騒動はギャラクシーの契約によって解決に漕ぎ着けた様子。終わり良ければ全て良し。
そして豪樹は立ち上がり、剣と堅い握手を交わすのだった。
「ここでの移設準備が落ち着いたら、また遊びに来たってや。今度はワイが、剣達の力になっちゃるからな!!」
「その前に、ちゃんと借金返してくださいね!!」
二人は笑いながらエキシビションマッチは終了し、その日の大会は今期最大に盛り上がった。
◇◇◇
数日後。『ビッグウェーブ』はギャラクシーとの契約を成立し、約束通りギャラクシー内にて新設された。
入り口に立ち塞がっていたフリークライミングの壁は今度は横長の壁に取り入れられ、これが功を転じて子供から大人まで楽しめるヒット要因となり、会員も大幅に増えた。
そして溜まった借金は、何と躍動2週間で払い終わり、一気にギャラクシーの黒字収入に繰り上げられたとか。
そしてジムには数多くのお客さんとボルダリングには、あの借金取りのおっちゃん達もストレス発散がてらに遊びにきているんだそうな。
「お陰で事務所のビルを素手で登れるようになってもうて」
「何処のクレイジークライマーやねん!?」
人は何かに気付くとき強くなる引き金を引く。その『魂』が消えない限り……!!
次回は第9話。
新たなプレイヤーがパズルプレイヤーで大暴れ!!
お楽しみに!!




