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【GAMEWORLD ONLINE】極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー  作者: Kazu―慶―
第1章【シャッフル・オールスターズ編】
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第8話⑤~「己に勝ちたい」~

  『KNOCK DOWN(ノックダウン)!!』


 剣の華奢なカンフーキャラの下顎に急所ヒット、ルーキーの希望を打ち砕く昇竜の拳……!!

 投げつけられたダメージと、止めのスカイアッパーが、体力ゲージの丁度致死量に達した。2度目のノックダウン。


「剣くん!!!!」


 みのりは剣に大声で呼び掛ける。彼はダメージによる衝撃の大きさ、更には30kgものスーツの重さもあって思うように身体を起こせない。


「…………スゥゥゥウウウ〜ッッ、フゥ」


 慣れない衝動と躍動によって、疲労が蓄積された剣の肉体。こうなると人は、無意識のうちに身体を回復させようと信号が入るという。

 剣の呼吸が深くなり、起き上がる力を全身に集中させてようやく立ち上がった。


「まだ酷かな、剣には……。本気になった豪樹さんは、一度蹴りを入れても倍に返す反撃力が凄まじい。

 大人だからこそ達する熟練した技と力、そして心も極めている。センスだけじゃ勝てない現実を、剣は受け止められるか……?」


(…………剣くん)


 槍一郎の冷徹な解説が、戦いの現状、ルーキーと熟練者との実力の差を物語る。

 そして剣が倒されることに沸き上がる歓声、更に対で剣を嘲笑う罵声も入り雑じる。


(………………)


 剣はその戯れた音を受け流すように、ただ一点に豪樹を見つめる。

 彼の耳から聞こえるのは、己の深い呼吸の音と脈打つ心拍音。そこに私語や無駄な動きは一切無い。



「……急に無言になったな。だが面は諦めてる顔してへんのが分かる。それでえぇ、まだ3ラウンドある。

 ワイと戦いながら、お前ら未来のゲーム戦士が本当の強さを持つ意味を……よう考えときや」



 ―――ROUND3,READY?



 剣は無言になり、ただ仁王に立ち上がって、自然に両手を構えてのファイティングポーズ。眼は虚ろになりかけるも闘志は絶やさず、ただラウンド開始のゴングを待つだけだった。


 ―――FIGHT!!!


 しかし、剣のゲームに対する学習能力は凄まじいかった。ノックダウンされる毎に、豪樹の動きに見切りをつけたのか、剣の動きも滑らかになっていた。

 30㎏のスーツを着込み、鉛を背負うように戦っていても、苦痛や疲労、打算的思考等の無駄な感情をかなぐり捨てて無心に戦う。


 ――そして無意識な戦闘の中で、剣は己自身に問う。



(………不思議だ……何度も倒されているのに、悔しさも募り募っているのに……何故立ち上がれる?


 豪樹さんに全然歯が立たないって、諦める気が全く起きねぇ。それどころか真摯に戦いたいと思ってまう! 天地の差があるのを分かってる癖して、無理通してでも立ち上がれる体力が何処にある? 俺の身体の何処に……!?)


 剣が無心で考えながら戦っている間にも、第3ラウンドはまたしても、剣はノックダウンされ、そしてまた立ち上がった。

 ――この精神力は不死鳥かゾンビか? 先程まで剣を煽り、嘲笑っていた声は、その不屈の闘志を前に完全に黙らせていた。


 ROUND4,READY―――?



 倒れても、崩れ落ちても、また地の果てまで叩き落されても甦る。

 屈強なる騎士の如く、ゲームに燃える戦士の姿が此処にある――!!



(何でだ…、何でなんだ…………こんな俺の何処に、熱い感情が沸き上がるんだ――――!!?)




『――もう気付いてるんだろ? 「勝ちたい」って!』


「…………ッッ!!?」



 ――――桐山剣のゲームに燃える感情。それ即ち、

【魂の形】から宿る本心の響きなり!!!




  『――――【(てめー)に勝ちたい】って、言えやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!』



 ――――FIGHT!!!



 豪樹の先手ストレートパンチが繰り出される、その刹那、1ミリ、コンマ1秒―――!!!


 ――――ギラッ!!


 剣の鋭い眼に炎が灯り、豪炎の闘志となりて甦った!!!


「………んにゃろォォォォォォッッ!!!!!」


 剣の渾身のドロップキックが、豪樹の胸元、急所ヒットとして判定された!!

 この時初めて豪樹に半分以上の体力ゲージを削った! これを好機に休まず剣が蹴りを連発、さらに間髪いれて鉄拳で連続攻撃を図る。だが、敵はさるもの引っ掻くもの!


「――その眼や! そのギラッギラな眼を待っていたでぇ!!」


 豪樹もスイッチが入る! 猛虎の追撃と言わんばかりに、蹴りと拳が飛び交う大攻防!!

 その競り合い、やはり豪樹の方が圧倒的なパワーを魅せつけている!!


「グァァァッッ!!!」


 剣、4度目のノックダウン! しかし、この時点で豪樹のゲージは2/3も減らしていた。


 ラウンドを重ねることに、剣は着実に豪樹に追い上げていた。


 この勢いに流石の豪樹も息を切らし、剣は己の根気のみで立ち上がっている。

 もはや体力の限界などどうでもいい。闘志空っぽになるまで、剣は極限で戦う覚悟を決めていた。



「……どうや? 本当の強さ、見つけられたか?」


「もうすぐです……もうそこまで、答えがきています!!」


 剣の鋭く真っ直ぐな視線が、嘘偽りの無い本心として豪樹に訴えかけていた。


「そうか! じゃワイに勝って、その答え見せてみせぇや!!」



FINALROUND(ファイナルラウンド),READY―――?』


 最後のラウンドコール、泣いても笑ってもこれがラスト。

 二人とも、覚悟は出来たか――!!?



(剣くん、どんな結果になっても私は何も責めたりしないよ。剣くんが本気でゲームに立ち向かった姿は、誰よりも格好いいんだから!!

 ――勝ち負けはいらない! 私が言えることは……)



 そして桐山剣よ、親友・みのりの、熱い声援の施しを受けとるがいい!!


「剣くん、諦めないで!! ……頑張れェェェェェェッッ!!!!!」


 ―――FIGHT!!!!!

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