第7話②~オフィシャル・プレイヤー現る!~
「―――ごめんね、剣くん。私のために」
みのりは先ほどの妨害プレイに巻き込まれ、険悪なムードになったことにしょんぼりとしていた。
「みのりが謝ることあらへん。あんなアホ共、気にせんでええ。それより凄かったやん! 一回アドバイスしただけでドリフトをマスターするなんて、結構レースゲーム向いてるんちゃうか?」
「……えへへ、そうかな?」
剣のフォローもあり、みのりはすぐに元気を取り戻したようだ。
「それにさ、ちゃんとプレイしたから『プレイヤーステータス』もレベル上がってるで」
「あ、ホントだ!」
みのりはプレイギアの画面を開き、自身のステータスを確認した。
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☆河合みのり/プレイヤーレベル:4→5
[プレイヤーステータス]
・アクション:111・シューティング:113
・ロールプレイ:116・タクティクス:112→114
・スピード:110→113・ブレイン:114
・ハート:120→125・ミュージック:111
・ラック:115→116
[プレイヤースキル]
・なし
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「勝ち負け関係なしにプレイしていきゃ、着々とレベルアップして強くなるさ。焦らんと気張りぃや」
「そうだね」
塵も積もれば山となる。苦い経験もいつかは笑い話になるはずだ。今はただゲームに挑み、最強への道を突き進むのみ。
「ねぇ剣くん、次は何をするの?」
「次は俺が行く。違うゲームで口直しや。見てろよ、みのりの仇は必ず取ったるからな」
剣たちが向かったのは、この筐体だった。
◆――――――――――――――――――――◆
PLAY GAME No.7
【ソニックバトル・F-MAX】
・ジャンル:レースゲーム
・推奨プレイヤーレベル:21
【概要・ルール】
一般的なレースゲームと異なる点は、『アイテムによるマシンの強化』と『多彩なドライブテクニック』の存在である。
スタート時の『スタートダッシュ』や、ドリフト継続で加速する『ミニダッシュ』などが勝敗を分ける。
また、コース上の『アイテムボックス』からは、以下のアイテムがランダムで入手可能。
・『D』(ダッシュ):一定時間加速する。
・『M』(ミサイル):前方または後方を攻撃する。
・『T』(トラップ):後方に減速トラップを設置する。
これらを含む約30種類のアイテムを駆使して勝利を目指す。
◆――――――――――――――――――――◆
「随分破天荒なレースね。マリオカートを実写化したみたい」
みのりは少し呆れながらも、興味深そうにルール説明を読み上げる。
「そのリアルなマシンで無茶苦茶できるのがこのゲームの面白さや。技術もしっかり反映されるし、妨害されてもアイテムでリカバーできる。ようできたゲームやで」
早速、剣がエントリーしようとしたその時――。
「――オイッ、てめぇら!!」
背後から怒号が飛んだ。振り返れば、見るからに素行の悪そうな男たちが立っている。先ほど『F-1レーサー』でみのりを執拗に狙っていたプレイヤーたちだ。剣の皮肉が相当頭にきたのか、徒党を組んで因縁をつけにきたらしい。
「なんすか? アンタら」
「さっきはよくもコケにしてくれたな、クソガキが! おかげで周りから変な目で見られてイライラしてんだよ!! このゲーム時代の世の中、勝つことが全てなんだよ! そのためなら妨害だろうが何だろうが、やったもん勝ちだろうが!!!」
理不尽に怒鳴り散らす大人たち。だが、この手のタイプを最も嫌う剣は、眉一つ動かさずに言い返した。
「そりゃアンタらに妨害しか取り柄がないからやろ? 人の邪魔して取る勝利のどこに美学があんねん。そんなに嫌がらせが好きなら、ハッカーにでも転職したらどうや?」
容赦ない煽りに、男の沸点は一瞬で頂点に達した。
「何だとゴラァ!!!!」
「剣くん、危ない!!」
男が剣の胸ぐらを掴み、その拳が振り上げられた――その時。
「――そこまでにしませんか?」
男の腕を片手で軽々と受け止め、制止させる者がいた。
「あ……お前は、【オフィシャル】か――!!」「……おふぃしゃる? 何やそれ?」
男たちが目に見えて狼狽える一方で、剣は状況が飲み込めず、不思議そうにその人物を見つめる。
「失礼。僕は天野槍一郎。関西地方を中心に【オフィシャル・プレイヤー】を務めている者です」
――はい、ここで私Mr.Gが解説しましょう!
【オフィシャル・プレイヤー】とは、ゲームワールドを管轄する『ワールドゲームコーポレーション(WGC)』が公式に認定したプロゲーマーのこと。日本のみならず世界各国に存在し、文字通りゲーム界の顔とも呼べる存在なのです!
この天野槍一郎は、剣と同じ高校生。だが、小柄な剣とは対照的に長身で、知的な眼鏡の奥には穏やかながらも鋭い光を宿していました。
「先ほどのレースから一部始終を見ていました。確かに彼らの行為は目に余る。ですが、暴力では何も解決しません。ここは僕に免じて、収めていただけませんか?」
槍一郎は穏便に場を収めようとするが、男たちは「あんなの反則じゃねえ!」と猛反発。一向に引く気配がない。
「そもそも、アンタらの嫌がらせでみのりが不快な思いをしたんや。ゲームが弱いからって八つ当たりすんなや」
剣がさらに追い打ちをかける。これでは火に油だ。
「何ぃぃ!? だったらお前、俺らに勝てる自信があんのかよ!!」
「上等や。ブッ飛ばしたるわ、このケジラミが!」
至近距離でメンチを切り合う高校生と大人の男。その迫力に、みのりは(やっぱ関西ヤンキー、こわい……)と、完全に引き気味だ。
「――待ってください。これでは収まりがつきませんね。……こうなれば、ゲームでの揉め事はゲームで決着をつけるしかありません」
槍一郎の提案が、一触即発の空気をわずかに変えた。
「……ゲームで、ってどうすんだよ?」
剣が不機嫌そうに問い返すと、槍一郎は興味深げに剣を見つめ、その名を呼んだ。
「――君が『桐山剣』くんだね?」
「なっ……!? 何で俺の名前を知っとるんや!」
「大したことじゃない、風の噂でね。……そこで決着の付け方なんだが。君の”切り札を呼び起こす“というゲームセンス、その実力を僕に見せてほしい。君と彼らで、この『F-MAX』で勝負してくれないか?」
槍一郎の真意はどこにあるのか。剣の力を試そうとしているのか、あるいは……。
「………あぁ分かった。その案、乗ったるわ」
剣は槍一郎に対し、不思議と嫌悪感を抱かなかった。それどころか、彼自身も槍一郎という存在に強く惹かれ始めていた。
初対面の相手が自分の名前を知っていたことへの警戒よりも、槍一郎の立ち居振る舞いから放たれる、圧倒的な“強者のオーラ”が剣の闘争心に火をつけたのだ。
――桐山剣と天野槍一郎。この二人の出会いは、果たして何を意味するのか。 因縁のレースが、今幕を開ける。
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




