第53話③~ぶつけ合う感情~
【アメイジングゲーム状況】
・桐山剣 HP800:手札7枚 EG①
カスタムツール:【ファイティングブレード】
ユニット:【ブルーバード】(【聖天の覚醒】装備中)
【ビッグマウンテン・ゴーレム】
ツール:【ボンドストーン】
・大森穂香 HP1100:手札1枚 EG②
ユニット:【虹色の魔導戦士―マジェスティアス―】
【イエローマリオネット】(トークン)
ツール:【プラントツール】
アメイジングにおいて最高のレアを誇る『ハイパーレア』カードの≪虹色の魔導戦士―マジェスティアス―≫。
片やカードショップの其処らに普通に置いてあるような『コモン』カードの≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫。
ハイパーレアとコモン。それはカードの出し方や能力、ステータスの違いで差別されるもの。
だがフィールドに立てば、互いを圧倒させる双壁となる事には変わり無い……!!
「何でそこまでするんですか……? 私に勝つ気でいるのならそんなカードを入れる余裕なんて無いはず……」
――そんなカード。
端から見れば語弊があるような言い方だが、勝ちを望むプレイヤーにとってはそう評しても仕方のない事でもあるのだ。
「……私は貴方を欺いてG-パーツを奪い取りました、貴方から受け取った≪ブルーバード≫も既に返しました。
それ以外に私を結びつけるものなんか、剣さんが私に拘る理由なんて無いじゃないですか!!!」
コモンカードがいかに貶されようとも、穂香が意地でも剣を振りきろうとしても、それでも剣は貫き通す覚悟がそこにあった。
「……そいつは≪ブルーバード≫を出したときに言った筈だぜ? 俺達シャッフル・オールスターズが戦う理由はただ一つ!!
――大森穂香を連れて帰る事、それだけ!! 以上!!!」
ゲームワールドオンラインの遺産を連れ戻す訳でも無い、立海遊戯戦団とリベンジした訳でも無い。
ただ一人の親友の為に、剣や仲間たちは力の限り戦い、今まさにそこに辿り着こうとしていた。
「俺は元からクソ頑固で名の通ったヤンキーだかんな、諦めも悪いし口も悪ぃし、たとえダチが悪いことしようが簡単にその仲を絶ち切ろうとか思うんじゃねぇぞ!!!
――お前がここで諦め折れるまで、意地でもその絆放さねぇからな!!!!」
桐山剣、親友確定宣言! ここまで決めつけられたら逆にそっちの方が頑なに放すことは無いだろう!!
「ッ……ならば……貴方との縁、このゲームで完全に断ち切るまでです!!!」
ゲーム続行! 互いに大型ユニットを控えている今の状況で、観客サイドの銃司はどう見えているのか見てみよう。
(元々≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫はコストの高さから効率悪いコモンユニットだが、戦場に出ればレアカードをも凌駕する剛志の壁となる。
だが穂香のデッキに束ねた運命の力は修羅と化している! 能力が皆無な巨人が魔導戦士に何処まで耐えきれるか、見物だな……!!)
ここからの戦局は2体の大型ユニットのいずれかが果てた瞬間が勝敗を喫する大きな分岐点となる。果たして先に耐えるのはどちらか……?
まずは穂香がドロータイムによる1枚のカードを引いた。そしてそのまま……カードスキャン!
『カスタムツール・カード、【身代わりの鱗】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎カスタムツールカード◎
【身代わりの鱗】属性:緑 EG:③
・効果:①装備したユニットを
AP/DP共に100アップする。
②装備したカードが破壊される場合、
代わりにこのカードを破壊し、DPは全回復
した状態でユニットは留まる。
◎――――――――――――――――――◎
これを≪マジェスティアス≫に装備させた穂香、APDPが800に強化された。
「おっと……? これじゃゴーレムでも一撃じゃ倒せねぇぜ……」
(それだけじゃ無いぞ剣、≪身代わりの鱗≫は装備ユニットの破壊をそのカードが皮を剥ぐように身代わりにしてくれる能力も持つ。このまま巨人にブロックしても一方的に倒されるのが落ちだぞ)
銃司の解説から剣はどのような指令をカードから下すのだろうか……?
「≪マジェスティアス≫で攻撃です!!」
穂香の攻撃コマンド、さぁどう出る剣!?
「くっ……≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫でブロック!それと保険は付けさせて貰うで!!」
『アクションカード、【ハーフバリア】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ハーフバリア】属性:黄 EG:①
・効果…プレイヤーやユニット1体を
対象に受けるダメージを1回だけ半分にさせる。
◎――――――――――――――――――◎
「ダメージの1/2で400ダメージ! そのまま耐えろォ!!」
互いの重圧感の強い攻撃をまともに受ける2体のユニット、それを辛うじて耐えきる!!
ゴーレムはDP200、そしてマジェスティアスはDP300からの耐性効果付き! 未だに剣側の劣性は続く!!
「意地でもゴーレムは破壊させねぇぞ!!」
そして剣もドロータイムによるカードを1枚ドロー、そこからブルーバードでEGを肥やして追撃のカードスキャン!
『カスタムツール・カード、【大防御の盾】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎カスタム・ツールカード◎
【大防御の盾】属性:黄 EG:④
・効果:このカードを装備したユニットは
戦闘ダメージでDPは減らず、破壊されない。
◎――――――――――――――――――◎
これを≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫に装備した!
「ユニットを並べるのではなく、あくまでゴーレムで盾を全うしますか……!」
「おっと盾ばかりじゃねぇぜ、剣も控えてるのを忘れたか!! 『ソニックブレード』!!!」
すかさず剣の必殺技発動で盾となっている≪イエローマリオネット≫を破壊!!
(ふ……強い意志の剣と巨人の鉄壁たる盾か……、切り札騎士らしいな)
好敵手からも、『切り札騎士』の代名詞が伝わりつつある。
「く……ならばマジェスティアスの効果、EG②を支払い新たなマリオネットトークンを召喚!!」
ここでまた穂香のドロータイム。手札を確認するや否や直ぐにカードスキャン!
『アクションカード……【ツール・ブレイク】!!』
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【ツール・ブレイク】属性:黄 EG:②
・効果:フィールド上のツールカードを
1つ選択し、それを破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「2枚目の≪ツール・ブレイク≫……ってヤバッ!?」
「対象はカスタムツール・カードの≪大防御の盾≫です!!」
強固な盾をも撃ち壊す白銀の閃光! ≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫に装備していた盾が音もなく崩れ去った。
(ヤベェな……俺も人の事ぁ言えねぇが、穂香もここまで来てデッキに好かれてるのが分かる。それに操り人形を使う≪マジェスティアス≫の効果で何を仕出かすか、難しいぜ)
刻一刻と手札の持ち数も減るなかで長期戦となれば、ユニットの激突以外にもカードによって剣に飛び火する可能性は十二分にある。
願わくば、早いうちに決着を着けたい……!!
「もう一度……! マジェスティアスで攻撃!!!」
さぁ2度目の攻撃、またしてもそれを≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫で止めるのか!?
「ったり前だろ!!! もう一度ゴーレムでブロックだ!!」
しかし……今のマジェスティアスには≪身代わりの鱗≫がある! 例え同士討ちになるようなダメージ計算でも、鱗の効果で身代わりにされて剣は丸腰になってしまうぞ!?
「あっちが身代わりなら……こっちは、再生や!!」
再生――!?
『カウンター・レスポンス発動。アクションカード、【リバース・ソウル】!!』
「なっ……?!」
◎――――――――――――――――――◎
◎アクションカード◎
【リバース・ソウル】属性:無 EG:①
・効果:自分のユニットを対象にし
[リジェネレーション]を得る。
◎――――――――――――――――――◎
……[リジェネレーション]!!
ユニットが致死ダメージやカードの効果で破壊される時、この能力があるとDPに受けたダメージを全てリセットした状態でユニットが再生復活する能力!!
「そのまま突っ込めェェェェッッ!!!!」
巨人と魔導戦士、両者の攻撃で共に玉砕!!
しかし、ゴーレムは[リジェネレーション]の効果で再生、そしてマジェスティアスは≪身代わりの鱗≫による身代わりで共に戦場に生き残っている! ステータスは上下せず元のままだ。
「なぜ……? 何故そこまで≪ビッグマウンテン・ゴーレム≫に拘るんですか!?」
穂香も度重なる攻撃を次々と受け止められ、捨てたはずの情も再び揺らぎ始めている。
「……簡単な事や、今このフィールドで一生懸命戦ってるカードを出した以上は絶対負けられへんってだけ。
お前の≪マジェスティアス≫も強いけどよ、そんな逆境にも屈しないで戦ってんのはお前だけじゃねぇんだ!!!
クソ親父ばっか肩持ちやがって、お前が一番守ってやんなきゃいけねぇ奴は他にも居るのがまだ分かんねぇのか!!!!」
今までのゲームでの熱が剣の理性を熱くさせ、溜まりに溜まった穂香への感情をここでぶつけ始めた。
「……私だって…………情の一つも持たない冷たい親ならこんな事加担しようなんて思いません……!
でも私にはあれが御父様の本当の顔じゃ無いって知っているんです!! 私の記憶には無い家族の温もりを――!!」
穂香が生まれた時、既に父以外の家族を亡くしているなかで、何故か彼女の脳裏に浮かぶ父の優しさが詰まった思い出。
それは何が原因かは分からない、だがそれ故に穂香は父を嫌いにはなれなかった……
「……穂香、それは家族の『絆』やない。【呪い】や。外したくても外すことが出来ない武器のようにな」
『絆』という呼び名は綺麗に見えるが、裏を返せば『呪い』にもなる。人と人との繋がりには、紙一重な光と影が存在する。
「そんなの、私は構いません! 絆でも呪いでも私のただ一人の家族なのです!!
子が親に生きてて欲しいって思うことの何処がおかしいんですか!?」
「それにしちゃ少し引っかかる所があるぜ、間接的だがお前のやってるこたぁクソ親父と変わり無いじゃねぇか!! 親が子にしてる暴動が、お前の弟にさせた身勝手な事くらい分かるやろ!!!」
「ッ…………!!」
その時穂香の脳裏に浮かんだのは倭刀の面影、それが彼女を更に不安に駆り立て、冷静さが失われつつあった。
「……ならば教えて下さい、私の御父様と倭刀、両方とも守る方法はあるのですか!? 私はもうこれ以上倭刀を傷付けさせたく無――――」
「んなもん、無ぇよッッッッ!!!!!!!」
剣が腹の底から叫んだ魂の怒号に、穂香はビクッとする。そして剣は歯を震えさせながらも唇を強く噛みしめ、そのやるせなさを語る。
「……そんなん俺が今思い付くと思うか!? 簡単に解決できねぇからメンバー総出でお前を助けに来て、お前をここまでさせてんだろ!! そこまで俺を万能だと思うたかアホ!!!
……俺は死んでもダチを泣かせたくねぇから、まずは穂香と倭刀を守る。後の事はそっから考えればいい」
どれだけ強大なPASを身に付けようとも、実力があろうとも、守る力は有限である事を剣は知っていた。
だからこそ剣は両方守ることは出来ないと言い切り、仲間を守ることを選んだのだ。
「…………結局私の意志と剣さんの意志は、相容れないようですね。
ならば最後まで戦う覚悟は今のうちに決める事です!! 桐山剣!!!」
まだ立ち塞がるか、まだ戦うのか……
もう穂香に改心の兆しは見えることは無いのか――!?
(…………本当にこんな出会いで、こんな運命に縛られなければ……私も、剣さんと……)
いや……それとも――――!!?
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