EX STAGE1-⑤~まだ見ぬゲームに向かって!!~
5つのスペシャルストーンで、オセロの不可思議な理論を更に混沌へと変える『エクストリーム・オセロ』、いよいよクライマックスへ!!
明かされたスペシャルストーンは『赤石』と『黄石』。残る『青』『緑』『桃』は、一体どのような効果をもたらすのか。
現在、剣は3つ、賽目は1つのストーンを所持している。終盤に差し掛かった今こそ、これらで盤面を覆す絶好のチャンスだ。
ここから決着までノンストップ。作者の勢いに乗せて、さぁ、派手にひっくり返せ!!
「じゃ、行くぜ! 3つ目のスペシャルストーン!!」 剣のターン、早速スペシャルストーンを繰り出す。
その色は『青』! 名付けて『ストリームストーン』!!
――ドォォォォォン!!
青石が置かれたのは、左上の角から一マス下。
この石が置かれた瞬間、上下左右いずれか一直線の石を、条件を無視してすべてひっくり返す!
「俺が選ぶのは真下! 左下の角まで白に染め上げろ!」
バラララッ! と鮮やかな音を立て、黒石が次々と白へ返っていく。
「角まで取っていったか……!」
賽目は顔をしかめ、思わしくない盤面を睨みつけた。
「仕方ない、なら僕も……!」
ここで賽目が最後のスペシャルストーンを投じる! 色は『緑』――『スライドストーン』だ!! 緑の石が盤に置かれた、その刹那。
――ズレッ。
なんと、置いた石が手前のマスと位置を入れ替え、その地点からリバース処理が行われた。なんという時間差攻撃!
「この『スライドストーン』は位置を入れ替えることで、最短ルートでの制圧を可能にする! これで内側は僕の領地だ!!」
盤面がみるみる黒く染まっていく。見守る者さえその威圧感に呑まれそうなほどだ。
剣に残された希望は、左上の角から「右」と「下」へ伸びた、わずかな白い布陣のみ。
石の置けるマスは、残り2つ。
剣は、連続でスペシャルストーンを繰り出した!
「今度は“桃色”、『リターンストーン』だ!!」
この石は、配置後に好きな石を1個だけリバースできる。
「俺はこのストーンを最後の角、左上に置いて……好きな石を1個ひっくり返す!」
剣は、左下と右下のラインを遮っていた自分の石を指定し、あえて黒へと戻した。
(え? 剣くん、なんでわざわざ……?)
傍観するみのりは首をかしげる。盤面には、白石が不自然な「L字型」に並んでいた。
「切り札に拘るあまり、自滅しましたか。単なる見かけ倒しだったようですね! これで終いです!!」
直後、賽目は右下のラスト一マスを埋めた。
わずかな白を残し、盤面はほぼ真っ黒。これは剣の完敗か――。
――いや、まだ決着を決め付けるのは早い。
「何を勝ち誇っとるんや、賽目」
「――え?」
沈黙を守っていた盤連会の伴場が、初めて厳しい声を上げた。
「お前の眼は節穴か? 桐山の手元を見ろ。あの『赤いストーン』は何や!?」
「赤いストーン……はっ!!?」
賽目は、己の致命的な見落としに戦慄した。
剣が『リターンストーン』で自分の石を返したのは、端から端まで一気に白へ変えるための、緻密な計算に基づいた布石だったのだ。
「賽目さん! 超次元ゲーム時代になっても、不変の鉄則があります。一つは『角を取ること』、そしてもう一つは――【終盤で一気にひっくり返すこと】だ!!」
一文字に伸びた白の布陣に対し、他がすべて黒で埋まったフィールド。
大逆転を狙えるポイントは、ただ一箇所!
「………参ったよ。完敗だ」
賽目はお手上げと言わんばかりに、潔く負けを認めた。
「置かせてもらうぜ、右下の角! ストーン強奪――『スティールストーン』!!」
赤い彗星の如く、最後の一撃が右下の角へ突き刺さる!!
―――ズドォォォォォォォン!!!!
スティールストーンは黒石を弾き飛ばして白へと変え、その衝撃は波打つように三方向へ伝播! 合計18個の石を瞬く間に塗り替えた!!
「うわぁ、綺麗!!」
「………これぞ、芸術やな」
みのりは感嘆し、伴場は盤面を見つめて拍手を送った。
決着した盤面は、外側がすべて白の縁で覆われ、中央に斜線を描いている。まさに締めに相応しいデザインだった。
・結果:賽目(黒)30個 vs 剣(白)34個
『桐山剣、WIN!!』
「やったぜ!!」
有言実行。桐山剣、切り札を駆使して見事盤連会に勝利した!
「……おっと?」
剣はポケットのプレイギアが震えているのに気づき、画面を起動する。
『LEVEL UP!!』
電子音のファンファーレが鳴り響き、ステータスが更新される。
◆――――――――――――――――――――◆
【プレイヤー:桐山 剣】
LEVEL:10 → 12
[プレイヤーステータス]
・アクション :159 ・シューティング:142
・ロールプレイ:160 ・タクティクス :170
・スピード :149 ・ブレイン :144
・ハート :147 ・ミュージック :136
・ラック :168
[プレイヤースキル]
・【エース・スラッシュ】
◆――――――――――――――――――――◆
『メッセージが届いております!』
続いて、システムメッセージが表示された。
◇――――――――――――――――――――◇
シューティングのステータスが140を超えたため、各エリアの新しいゲームが解放されました!!
◇――――――――――――――――――――◇
「うぉ! やった、新ゲームだ!!」
9つのジャンルステータスを上げ、様々なゲームをクリアすることで、隠されたエリアを切り拓いていく。これこそが『ゲームワールドオンライン』の醍醐味だ。
◇◇◇
「――なっとらん! どのボードゲームにおいても最後まで気を抜くなと、口を酸っぱくして言っておろうが!!」
「す、すみません……」
敗れた賽目に対し、伴場の雷が落ちる。
(剣くん、もう5分以上説教してるわよ、あのおじいちゃん)
(そーゆーのは黙っとこうぜ。口を出したらもっと長くなるからな)
おじいちゃんっ子の剣は、年長者のあしらいを心得ていた。
「全く……おぉ、すまんすまん! 待たせて悪かったな、若いの!!」
ようやく説教を終えた伴場が、晴れやかな顔で振り返る。
「いやぁ久々に矛玄さんの孫のゲーム、見させてもろうたが、腕がさらに磨き上げられたようで安心したわい!!」
(……!!)
剣は祖父の矛玄の名前を聞いた瞬間、眠っていた記憶が急に呼び起こされた。
「思い出した! もしかして、じいちゃんの古くからのゲーム仲間だった伴場さんか!?」
「ええっ!?」
剣と伴場の意外な関係に、みのりも驚きを隠せなかった。
「何じゃ、ずーっと忘れてたんか! ――まぁ無理もあらへんか、お前が5歳の時にポーカーに誘った時以来やもんな」
「あぁ、じいちゃんが晩飯の奢りを賭けて、俺をダシに使ったあの時の……! やっと思い出しましたわ!」
(剣くんのおじいちゃん、なんてことさせてるの……)
当時5歳の剣は、祖父・矛玄に伴場たちとの勝負に担ぎ出され、ファイブカードで大人たちを圧勝したことがあった。それが剣にとって、ゲームの快感と「勝負の厳しさ」を知る原体験の一つとなっていたのだ。
「――そんな事より、勝ったんだから『良いもの』とやらを下さいよ!!」
あんなに素晴らしいゲームを制した割には、報酬にやたらとがめつい剣である。
「おぉ、そうやったな! 実はな、これはあんさんが本格的にゲームを挑む時の為にずーっと取っておいたものなんじゃ……」
伴場は桐山家での家庭崩壊のトラブル等から、剣がゲームから一線を離れた事も知っており、昔のように本気でゲームに励む時が来るのを待っていたのだ。
「これじゃ! ワシからの宝物、受け取ってくれぃ!!」
古びた宝箱のようなボックスを剣が開けてみると、そこには――。
「………マジかよ!? これ【ゲーム&ウォッチ】じゃん!!」
「嘘!? 私、本物は初めて見た!!!」
手のひらサイズのコンパクトな筐体。色味のない液晶画面に描かれた、どこか温かみのあるキャラクターたち。箱の中にぎっしりと詰め込まれていたのは、知る人ぞ知る伝説の電子ゲーム機だった。
★【ゲーム&ウォッチ ―GAME&WATCH―】
1980年代前半に発売された、携帯型ゲーム機の先駆け。
手のひらサイズの筐体は当時の子供たちを熱狂させ、世界中で社会現象を巻き起こした伝説の名機である。
※ちなみに、今やゲーム機に欠かせない『十字キー』は、このゲーム&ウォッチ(マルチスクリーン版)で初めて採用された。
―G-バイブル『ゲームの歴史は温故知新』より引用―
「本当に俺達にくれるんですか――?」
今の時代でも超次元ゲーム時代でも、ゲーム&ウォッチは相当なプレミア品として重宝されている。
その事を知っていた剣も貰うのを躊躇っていた。
「遠慮せんでええ! ワシにはもう、こんなハイカラなもんは性に合わん。前から剣くんにあげようと思っとったんや。全部二人のもんや」
「「うわぁ……!! ありがとうございます!!!」」
剣とみのりは、目を輝かせてゲーム&ウォッチの宝箱を受け取った。
「……矛玄さんから聞いとったで。ずっと一人で、辛い思いをしとったとな。だが、隣にこれほど頼もしい嬢ちゃんを連れとるようじゃ、心配も杞憂に終わりそうや。――剣くん。前みたいに、心からゲームを楽しめそうか?」
伴場が、これまでの厳しい顔を崩し、慈愛に満ちた口調で問いかける。
「……はい。もう大丈夫です。俺にはみのりもいますし、目標もできました!
立ち止まらずに、頂点を目指します。この世界の頂――『マスターオブプレイヤー』になるために!!!」
「そうか……良かった! だったらワシからも、二人にアドバイスを送らんとな!!」
「「アドバイス?」」
「なにぶん世の中のゲームは種類も多く、奥深い! そして二人がこの広いゲームワールドオンラインを制するためには色んなゲームを知って、プレイする必要がある!!
最先端のゲームをやり尽くすのも結構だが、ゲーム&ウォッチやボードゲームも負けず劣らずクセの強いゲームが多い。
――とにかくゲーム戦士として、己の強さを知るためにはとことんゲームをやり尽くすのじゃ!!」
流石、盤連会というボードゲームを中心としたローカル集団を束ねているだけある。
長年ゲームを愛してきた者へ、未来を乗せてゲームに挑む若き戦士への熱いメッセージ、二人の心に確かに刻まれていった。
「さぁ、行きなさい。二人ならきっとやっていけるじゃろう。ゲームを通じて、自分だけの『楽しい』という形を作っていきなさい!!」
伴場が二人の後ろから腕を押し叩き、応援の意を込めた。
「「………はい! 行ってきます!!」」
「未来のゲームウォーリアー、桐山剣・河合みのりに一同、敬礼ィィィィィィッッ!!!!!」
ルーム空間からエリアへ転送される剣たちを盤連会メンバー総員で敬礼し、見送った。
(………『切り札を宿す剣の魂』が再び甦ったようじゃな、剣君! 色んな仲間に出会い、色んなゲームをやりながら頑張っていきなさい。これからも――!!)
――歴史を紡いできた先代のプレイヤーへの思い。
ゲーム&ウォッチの報酬を片手に、剣達はまだ見ぬゲームの待つ未知なるエリアへ突き進む!!
それ行け! 未来のゲームウォーリアー!!
新たなゲームとの出会いが君達を待っている!!!
次回のEX STAGEはノベルアッププラス版で掲載したアーケードゲームの町『アーケード・タウン』でのゲームバトル!!
あの超有名レトロゲームが進化!?
お楽しみに!!
そしてゲームの続きが気になる皆さん!『早く続きを読みた~い!!』って方は是非ともブックマーク、感想、評価等も宜しくお願いします!!




