第1話①~始まりはゲームセンターの前で~
『極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー』を読む時は、
部屋を明るくして、画面から近づきすぎないようにして、
お母さんから『ゲームばっかしてないで勉強しなさい!』と言われないように事前に課題を済ませてから読んでくださいね!
※この作品はフィクションです。実在のいかなる団体・個人とも一切関係は御座いません。
―――ゲームウォーリアーの読者の皆様、はじめまして!
私はこの物語を皆様にご案内する進行役、いわゆる「語り手」を担当させていただきます、完全自立型AIナビゲーターの『Mr.G』と申します! 以後お見知りおきを。
シルクハットを横長に被り、黒タキシードを羽織った脚長のジェントルマン……。いざ語りとなれば、携帯型釈台を首から下げ、ステッキを張り扇代わりにカツンと鳴らす! ……って、これじゃ明治時代の講談師みたいですね。
とまぁこんな調子で、この物語を面白おかしく、時に熱く盛り上げて参ります!
さぁさぁ皆様お立ち会い、視線は文字の方へ寄せて寄せて。『極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー』、最後までごゆっくりお楽しみあれ!!
―――参りましょう、「オープン・ザ・ゲート」!!!
◇◆◇◆◇◆◇◆
【ゲーム超次元時代】を迎えてから約50年。超次元ゲーム暦・0050年。
舞台は日本、関西の中核・大阪。ここ大阪は、国内でもトップクラスのプレイヤー人口を誇る激戦区でございます。
通天閣がそびえ立つ浪速区、その下町情緒溢れる住宅街。新生活の風吹く四月の朝、女子高生の元気な声が響き渡りました。
「行ってきま~す!!」
彼女の名前は、『河合みのり』。
私立『天童学苑高等学校』に通うピカピカの1年生。ミディアムヘアがよく似合う、純粋無垢を絵に描いたような美少女です。
彼女は母子家庭育ち。母はあの世界的なゲーム管理組織【ワールドゲームコーポレーション(通称・WGC)】の重役を務める超エリート。おかげで生活に不自由はありませんが、その代償として、度重なる転勤と引越しを繰り返してきました。
ゆえに、みのりには「親友」と呼べる存在がいなかったのです。
今回の大阪への移住も、高校進学に合わせたもの。慣れない環境で友達作りもままならず、近所のゲームセンターで時間を潰すのが日課となっていました。
……管理機関の重役の娘なら、さぞかしゲームの腕前も一流だろう、とお思いでしょう? ですが、実は彼女、驚くほどゲームが苦手なんですよ。
「……ちょっと、何か言った?」
おっと失礼! 語り手の独り言ですよ。というか、なぜ私に干渉してくるんですか!
「横でブツブツ言われたら気になるってば! 失礼しちゃうな」
……そう、この物語には語り手と登場人物を隔てる「第四の壁」が存在しません。いわゆる【メタフィクション】というやつですな。
◇◇◇
退屈な授業を終えた放課後。みのりはいつものゲームセンターへと向かいました。
「あ、『RUI』さんが来週プロデビューするんだ! ずっと実況見てたけど、やっぱり上手いなぁ……」
手元の【PLAY GEAR】を眺めながら歩くみのり。 見た目はスマホですが、中身は別物。100TBという超大容量を誇り、あらゆるゲームの攻略・管理を司る、現代人の必須アイテムです。
しかしみのりさん、いつの時代も「歩きプレイギア」は危ないですよ、と言っているそばから――。
――ドンッ!
「きゃんっ!!」
ゲームセンターの入り口付近。反対側から来た男に気づかず、みのりは正面衝突してしまいました。
「あ……ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
尻餅をついたみのりの目の前で、背の高い男が不機嫌そうに彼女を見下ろしていました。
「……あぁ、俺は平気や。お前、気ぃ付けや。狭い道で歩きプレイギアしとったら、不良にメンチ切られるで。……じゃあな」
黒いショートウルフカットに、175センチはありそうな長身。鋭い関西弁を操るその男子高校生は、どこか気だるげで、その瞳には熱い情熱など微塵も感じられません。
一足先にゲームセンターへ入店する彼の背中を見て、みのりはハッとしました。
(あの制服……私と同じ天童学苑の? あんな人、いたかしら……)
気になったみのりは、吸い込まれるように店中へ。喧騒と電子音が渦巻く中、彼女が向かったのは、店内の隅にある「レトロアーケードコーナー」でした。
(……あ、いた! さっきの!)
『パックマン』や『グラディウス』といった80年代の名作が並ぶ一角で、その男子生徒はたった一人、あるゲームに没頭していました。
それは、ゲームの原点とも言える極めてシンプルなタイトル。
――【ブロック崩し】。
▲▷▼◁◀▽▶△
PLAY GAME No.1
【ブロック崩し ―BREAK OUT―】
・ジャンル:ブロックゲーム
・プレイヤーレベル:12
(※レベル1は幼児向けゲーム相当)
☆ルール
縦8列×横14列のブロックを、左右に動くラケットで打ち返す。持ち玉は5球。全消しで500点。
ただし、5段目を消すとボールが急加速し、さらに打ち返すたびにラケットが短くなるという、シンプルながらもシビアな高難易度設定。
▲▷▼◁◀▽▶△
アイテム要素一切なし。ただひたすら反射神経と集中力が試されるストイックな作業。
果たして、この死んだ目をした少年は、どんなプレイを見せてくれるのでしょうか――?
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