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15 1年生最後の日

「5、4、3、2、1……」


本部前の広場には、人々が数をカウントする高揚した声が響く。そして―――


「明けましておめでと―――っ!」


瞬間、打ち上がる美しい花火と、光り出すカラフルな光。まるで宝石箱を開けたような、そんな華やかさがシェルター内を包み込む。

キラキラしたその光景と、それを見てはしゃぐ富井と財前を見ながら、楽園の外の人が考えるパレードとはこういうものなんだろうなあ、なんて思うのは毎年のことだ。



―――2041年、冬。


時が経つのはあっという間だ。

中等部を卒業し、高等部へと入学して現実を目の当たりにした2040年は、私たちにとって大切な年になった。

きっと次の年はもっとたくさんの困難にぶち当たるんだろう。だけど……


「んー、席ないなあ」

「えー、大空が探すの下手なだけじゃないのー?」

「えぇ!?そうなの、一也!?」

「いや、俺に聞くのかよ、それ?」


それも乗り越えて行けると、目の前を歩く3人を見ているとそう思えてしまう。全く、不思議な話なんだけど。



「あっ、藍!席あったよ!」


しばらく歩いていると、不意に先頭を歩く富井が席を確保しようと走りだした。慌てて、それに続くように私たちも小走りする。吐き出される息は真っ白で、冬の空気を感じる。



―――日本軍は案外イベント好きらしい。

初等部のころからいる私達にとっては純粋に楽しめるイベント、というだけだったからなんとも思わなかったが、中等部から入ってきた富井に指摘されて気付いた。


確かに、普段は殺し合いなんて物騒な事をして、軍に入っても兵役だの武器の扱い方の指導だの、穏やかではない事ばかりしているくせに、世間のイベント事の時には軍を挙げて盛り上げてくる。夜桜祭だってそうだ。

ハロウィンもクリスマスも各自の部屋にケーキやお菓子が配られるし、誕生日もケーキとプレゼントが届けられる。

まあ、プレゼントは武器の手入れ道具なんてものだったりするのだけど。


そのなかでも、大晦日は特にすごい。

さすがにシェルター内で花火は打ち上げられないので、シェルターを囲うように花火を配置して、年が明けたと同時に打ち上げる。

生徒たちのほとんどは、本部の前にある中央広場に集まってその時を迎え、軍人たちは手が空いていれば広場に行ったり、家族と共に過ごしたりしてその光景を見る。


天高くそびえる夜桜学園本部をすっぽり覆ってしまうほどのシェルター。その中を反射するカラフルな光は本当に美しいし、花火も盛大すぎるほどだ。

楽園の周りにあるのは寂れた港だけなので、周りの人には迷惑にならないらしいけれど、これだけ盛大にやっていれば遠くからでも分かるだろうと思う。これが、毎日パレードが行われているなんてありもしない噂の元になっているに違いない。



私たちはここ数年、例の4人で年を越している。今回も例に漏れず、といった感じだ。

初等部のころは河原と教官と3人で過ごしていたけれど、初等部高学年になって教官が私たちの担当から外れた頃からは教官が家族と過ごすようになって、私たちは財前と3人で過ごすようになった。そして、中等部から富井も加わったというわけだ。いつも何だかんだ一緒にいるし、私はそれが一番しっくりくる。


毎年配られる年越しそばを食べながら、今年の抱負を言い合うのもまた例年通り。


「まりんはねー、やっぱり学年トップ維持!んでもって、バディトップもいただくっ!」

「大きく出たな、富井?でも、俺はいつでも背後にいるんだぞ?来年の今頃は俺がその抱負を言ってやるよ。それにバディトップは譲らねぇ。な、葛西?」

「そりゃ、もちろん。それに、河原も富井も油断してたら、あっという間に抜かれるわよ?私も財前もいるんだから」

「そうだよー?俺、今年は勉強頑張るし!俺も高等部で1年間過ごして、最高司令部に行きたいって思ったから!今までは何となく、ってところがあったんだけど、やっと強くそう思うようになったんだ」

「へぇ。まあ、それは私も。もっと頑張らなきゃだし」

「それは俺もだ」

「もちろんまりんもね!」


年明け早々にこの話をするのがとてもいい刺激になる。年末に教官に話したら、年末年始くらいゆっくりしろと言われたけど、そうも言ってられない質なのだから仕方ない。



そんな話をしながらそばを食べていると、遠くから聞きなれた声が聞こえてきた。


「あ、こんな所にいたんだ」

「紗也ちゃん!明けましておめでとう!」

「うん、ありがと、まりんちゃん。藍も河原も財前くんもね、明けましておめでとう!」


見慣れたサラサラのポニーテールを揺らしながら現れた紗也は、一緒に年を越した友達とも別れて、早々に寮に帰るところで私たちを見つけたらしい。


「紗也、もう蕎麦は食べたの?」

「もちろん!美味しく頂いたよー。七味もたっぷり入れてね」

「あー……なるほどね」

「はーい、ドン引き顔しなーい」

「いや、でもあの量入れる人間、私は紗也以外に知らないんだけど……」

「ま、世の中色んな人がいるよね?」

「まあ、それはそうだけど……て言うか、また沢山買ったのね」


そんなたわいのない話をしつつ、紗也の腕にかかるたくさんの袋を伺う。どうやら出店で色々なものを買ったらしい。そのたくさんの中に、どうやら富井は気になるものを見つけらしかった。


「ねぇ、紗也ちゃんが持ってるのって何?ほら、そのプレートみたいなやつ」

「ん?……あー、これ?」


富井にそう言われた紗也は、抱えているたくさんのものの中からそのプレートのようなものを取り出して見せてくれた。


「これはね、おみくじってやつなんだって。楽園の外だったら、新年は神社ってところにに行って、お参りするんだってさ。その時に一年の運試しみたいな感じで引くんだって。神社はここにはないけど、出店の一角でやってたよ。まあ、本家もクソもないからどれくらい信じていいのかはわかんないけど、面白そうだしやって来たらいいよ」

「へぇ……初耳。神社の存在は教官から聞いたことあるけど、そんな風習があるんだね、日本には」


初等部に入学したした頃から外界と隔離されて育ってきた私達にとって、世界はこの楽園中心。だから、外の様子は全くと言っていいほど知らないのだ。



しかし、中等部から入学した富井は違う。


「え、それおみくじなの?」

「あら、外のものとは違うの?」


紗也がキョトンとして尋ねると、富井は少し言葉に詰まった。


「うーん、大体あってるんだけど、外のは紙なんだよね。昔からずーっと。プレートとかじゃなくって、ただの紙。まりんは小学校のころ、毎年おみくじ引いてお財布の中に入れてたんだ。それで、新しい年になったら燃やすの。とんどって言うんだよ、確か」


富井が外のことを思い出しながら話してくれることは、世間知らずの私たちにとってはどれも新しいことだらけだ。


「でもまぁ……」


富井が最後のそばをすすり、勢いよく立ち上がった。


「面白そうだし、なんか近未来っぽいし!まりんも引いてこよーかな」

「うんうん行っておいで!きっと面白いこと書いてあるよ!」


紗也が富井の背中を押す。富井はすっかり乗り気だ。これは私たちもついて行かなくては行けないパターンらしい。

私たち4人が全員そばを食べ終わるのを見届けた後、私たちはおみくじを売っている出店の方へ、紗也は寮の方へ歩き出す。


「それじゃあね、紗也」

「うん、またね、藍。今年もよろしく!」

「こちらこそ!」


どちらからでもなく手を上げてハイタッチをして別れる。紗也とは初等部のころから何となくこういう事をする。少し恥ずかしいけど、なんだか楽しいから今年も続けようと思う。



おみくじは初等部からの生徒にとっては馴染みのないものだからか、おみくじを売っている店には人はほとんどいなかった。


「すいません、これくださーい!4つ!」


富井が勢いよく買いに行ったはいいのだが、勝手に4人分買ってきてしまった。まあ、私たちも気になっていたからいいんだけど。


「じゃあ、好きなの選んで!」


裏返して置かれたおみくじ。みんなで同時に指さすと、見事に4人とも分かれた。


「おー!すごい!」

「やっぱり私たち、被らないね」

「まあ、それがいいんじゃねの?」

「ねーっ!てか、早く見よっ!」


みんなで一斉におみくじを表に返して読む。


(なになに……病気はしない、勉学励め……)


なるほど、本当に運試しみたいなもの、らしい。何の根拠もないけれど、読む度に一喜一憂してしまう。


不意に手元をのぞき込んできた富井が声を上げた。


「あーっ、藍にも遂に恋の予感っ!?」

「はぁ?どこ読んでるのよ…?」

「ほら!ここ、ここ!」


そう言って富井が指さすのは、まだ読んでいなかったところ。―――愛する人、現れる。


「これってさ、恋人ってことでしょ?」


目を輝かせて富井が聞いてくる。そんなこと、こっちが聞きたい。


「……さあね」

「えー、何その反応?まさか、好きな人でもいるの!?」

「いや、そういう訳じゃないけど……そんなことより、富井はどうなのよ?」

「えっ!?ま、まりんはね……」


とりあえず話題を濁して逃げる。

そもそも、これは何の根拠もないことであって、ただの運試しなのだ。……なんて、今更考えてもどうしようもない。


そもそも、こんな環境で恋をしろ、という方が難しい。

富井は実力もあって、努力もしていて、恋もしている。一番人間らしいと思う。

河原や財前、紗也とも恋愛の話はしたことがないからわからないけど、今の私にとっては毎日を生き延びるので精一杯だ。

だから、恋なんてできない。ましてや愛する人なんて、現れるわけがないのだ。



その後しばらく雑談をして寮に戻ってきた。

冷静になればあれは所詮運試しだと考えることが出来る。そう、所詮運試し、なのだ。


「まあでも、恋愛はともかくとして…勉学とか励めってことは、もっとやれってことだもんね。頑張らなきゃ」


おみくじを机の上のコルクボードにかけて、服を着替える。このおみくじは、うまく言えないけれど、この一年を支えてくれる気がする。なんとなくだけど、そう思う。とりあえず大切にしよう。



―――それから数日後。短い冬休みが終わり、学校生活が始まった。

凍えるような冬の寒さに加えて海風、そして雪。指先どころか体全体が思うように動かない。


「うー、寒い…。こんな中でも実践やるなんて、高等部厳しいね」

「中等部は雪が降ったら中止だったもんな。にしても、そんなに寒がるか?」

「そりゃ、河原、あんたはねぇ……」


私の隣に座っている河原は、コートを着込み、マフラーを何重にも巻き、手袋も重ね、イヤーマフまでしている。きっとその下にはカイロも仕込ませているんだろう。まるで雪だるまだ。


まあ、ライフルを構えているだけの私たちは動き回る訳ではないし、万が一撃たれたとしても服が守ってくれる気もするから何も言わないけど。


「葛西こそ、そんなに薄着で寒くないのかよ」

「私は拳銃も使うし、動けるほうがいいからね。それに、みんなこれくらいよ普通は。河原が着込みすぎなだけ」

「うーん、そうか?」


いまいち腑に落ちていない河原は置いておく。彼とは寒さに関しては一生分かり合えない気がする。

そんなことを考えていた時、突然下から銃声が聞こえた。急いで下を見下ろす。


「あー、新年早々やってる…」


真下では富井と財前たちの銃撃戦。

珍しく財前も拳銃を使っている。彼は刃物の扱いにおいて人間離れした技術があるからそこばかり注目されるけど、ほかの武器だって人並み以上には扱える。


「ん?あー、財前たちか?」

「そうそう。まあ、5対2なら大丈夫だと思うんだけど、加勢しとこうかな」

「加勢しなきゃ実績あげられないしな」


雪だるま河原が隣にライフルを並べて下を向く。転がって落ちてしまいそうだ。

まあ、彼がそんなヘマをするわけないだろうからそんな心配はしなくてもいいはず。でも一応、声だけはかけておこう。


「落ちないでね、河原」

「ははっ、わかってるよ」

「ならいいけど」


そう言って焦点を合わせ、トリガーを引く。

いつの間にか興奮状態になっていたんだろう。体は十分温まっていた。



―――そして2月。

あと1ヶ月で1年生が終わる。


初等部、中等部、高等部の最高学年は2月から長期休暇に入る。夏休み、冬休みが短い分、春休みがとても長いのが夜桜学園の特徴だ。ほかの学年も3月になれば長期休暇に入る。


「だから、こんなところで死ぬわけには行かないよな」

「ええ、もちろん。……でもだったら、なんでここに来て地上にいるんだろうね、私たち」

「んー……得点稼ぎ?」

「得点稼ぎって……まあ、その通りなんだけどさ」


学年末の1ヶ月で殺った得点は、通常得点の倍になる。つまり、今殺るのが一番いいのだ。


でも、それはつまり危険と隣り合わせ。

富井と財前のように常に下にいる人たちは、強いことを知られているのであまり狙われない。しかし、常に上にいる私たちは狙われやすい。

実際中等部の最後の1ヶ月も毎年下に下りていたが、まあよく狙われた。



そしてそれは今回も例外ではない。


「はぁ……ふぅ……今何発撃たれた?」

「えっとね……10発は、確実に」


下におりたとたん、飛んでくる銃弾。本当によく飛んでくる。

まあ、私たちが狙われているだけだとは思うけど、こんな中毎日実践を行っている富井や財前はすごいと改めて感じる。


実力でいえばおそらく私たちの方が上だとは思うけど、人数が何倍も違う。

追い込まれて建物の中に逃げ込んだが、銃弾はなんとかかわしきった。とりあえず物陰に隠れる。でも、隠れてばかりでは下におりてきた意味が無い。


「葛西、息上がってないよな?」

「まさか。この程度じゃ上がらないって」

「だよな。それ聞いて安心した。……それじゃ、行くか」

「……そうだね、行こうか」


拳銃を握りしめ、トリガーに指をかける。いつもとは違う感覚。私は拳銃をよく使う方だけど、河原は滅多に使わないから使いこなせるのやら、なんて心配するだけ無駄だとは思うけど。


柱から顔を少しだけのぞかせて地面に向けて一発放つ。乾いた音が響き、それに反応する人の気配が数人分。

河原が指で右を指さす。なるほど、右の柱の後ろか。

“了解”と口パクで伝え、薄暗闇の中、なんとか標的に照準を合わせる。

―――大丈夫、これなら行ける。


河原が相手わやおどかすために、柱に一発撃ち込む。それに反応して僅かに柱から出てきたその影を私は見逃さない。


「完璧よ、河原」


ちらちら見える太ももにかするよう一発、それでよろけた体にもう一発、ラストは脳天に一発。



1人仕留めてしまえば、共闘関係にあるであろう残り全員は一気に攻めてくる。まあ、それが狙いなんだけど。


「葛西、後ろ任せた」

「こっちこそ。死んだら承知しないからね」

「おいおい、誰に向かって言ってんだよ、その言葉。そっちこそだからな?」

「河原こそ、誰に向かって言ってるわけ?」

「ははっ、そりゃ心強いな」


柱や物陰を利用して、隠れ隠れ攻めてくる。

彼らはきっと、私たちがわざとここに逃げ込んだことなんて知らない。


私の左手に握られているスイッチは、昨日ここに仕掛けた爆弾のもの。もちろん威力はそこまで大きくないが、それでも足の骨を折るくらいのものだ。

昨日の実践終了間近、静かに下におりた私と河原は、このビルの中にこっそり爆弾を仕掛けて帰った。そして今日、派手に下に下りたのだ。

学年順位もバディ順位も高い私たちを殺せば、一気に自分の順位は上がる。しかも学年末、ポイントは倍だ。富井、財前は常に下にいるから、実力が及ばないのは知られている。でも、私たちならいけるかも、なんて思わせるのが狙いだ。


派手に下りたので、ほとんどの人は私たちが下にいることも、このビルに逃げ込んだことも知っているんだろう。

そこで考えが及んで、今日は攻めない人たちもいる。でも、思っていたよりは攻めてきてくれたようだ。



そうしている間にも、だいぶ敵は爆弾のちかくに寄ってきてくれた。今がチャンスだ。


「押すよ、河原」

「了解っ!」


いつもより高揚した声。きっと私も興奮している。久々に、こんなスリリングな実践をした。

すっごく楽しい、とは言いきれないけれど、でも面白い。


敵が全員爆弾のちかくに集まりきったところで、スイッチを押す。

突然の出来事に戸惑い、負傷に悲痛の声を上げる彼らを他所に、私と河原は無慈悲にもその命の花を奪う。

それが、この偽りの楽園で生きていく、たった一つの術。

世間の常識なんて関係ない。ここでは、それがすべてだ。



「なんか、年明けてから、初めて葛西と本当の意味で“相棒”になれた気がするよ。10年かかったけどさ」

「あら、奇遇。私もそう思ってたところ」


―――3月。

桜とは違う、別の花が咲き誇り、花弁を散らしている。

あっという間の1年だった気もするし、長い長い1年だった気もする。でも、どちらにしろ、とても大切な1年だった。


河原と2人、本部の前の広場で空を見上げる。そういえばここで年を越して、もう2ヵ月が経つらしい。時の流れはやっぱり早いものなのかもしれない。

あの時引いたおみくじは、変わらず私の部屋の机に飾ってある。2年生になっても変わらず支えてくれる気がしているから、当分私のお守り代わりだ。



「ああ、こんなところにいたのか」


不意に聞こえた聞きなれた、でも最近聞いていなかった声に2人でハッとして顔を上げる。


「「教官!!」」


思わず声が揃う。でもそれくらい驚いている。年末に会ったのが最後だったから、かなり久しぶりだ。


教官は驚いた顔の私と河原を交互に見て、ふっと笑う。その笑い方ですら懐かしい。


「久しぶりだな。無事、1年間が終わったようで、まぁ、あれだ……顔を見に来てやったわけだが」


口早にそう告げる教官の顔は、散りゆく花弁のような桃色で、照れてるんだと一瞬で理解出来てしまう。この人は普段はポーカーフェイスが死ぬほど上手いくせに、私たちの前ではたまに死ぬほど分かりやすい。まあ、そういう部分も好きなわけだけど。


「あはは、ありがとうございます!なんとか、生き延びました」

「まあ、何度も死にかけましたけどね。なんとか、です」

「ふん、そんなことだろうと思っていた。まあ、何はともあれ、生きているだけでいい。おまけにバディ順位はトップでキープしているらしいな。それだけで十分だ。よくやった」


滅多に褒めない人に褒められると、人というのは無反応になってしまうらしい。

どう反応していいのか分からず、口をぱくぱくしていたら、魚か、と突っ込まれた。

魚のようなアホ面だった私たちだったけど、褒められたのが夢じゃないとわかれば素直に喜ぶ。1年間頑張ったかいがあったというものだ。


「「教官、ありがとうございますっ!」」


私と河原は、特に何も示した訳では無いけれど、顔を見合わせてそして満面の笑みで教官を見つめて言った。

そんな私たちを見て、教官が苦笑気味に笑うのを見て、この関係は変わらなくてよかったと改めて思うのだった。



―――そして、2年目の季節がやってくる。


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