095 キケンな車中
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹
○赤沢幸太郎・新しい華蔵家運転手。
○ 秋月未来・白吹村役場職員。
○林有里子・白吹村役場職員。
○金森香世・行方不明の葉崎達哉の実姉。
正火斗は理人に話して 自分達の運転手を赤沢幸太郎にしてもらっていた。
昨日の浅倉と椎名が忠告を彼にされたと言う話から、機会があれば自分も話してみたいと考えていた。
時間になって風晴と桂木も玄関ホールに降りてきた。
桂木に
「腕時計は忘れずに持ったか?」
と聞くと彼はうなずいた。それさえあれば問題なかった。
"華蔵透子を連れ去る時間"
の用紙だけは正火斗が預かっていた。これも──今日林有里子に突き付けることにはなるかもしれないと覚悟している。
正火斗は明日には別の計画を練っていて、そして──明後日には東京に帰る。
絶対にそうするつもりだ。
車内では風晴が正火斗の心を読んだように尋ねた。
「正火斗、明後日には必ず帰るんだよな?」
真剣な眼差しで問われると目を背けたくなる。
「そう。みんなも30日までの予定できてるって話だったし──僕は東京で予定が入ってる」
たいして重要でもない忘年会がいくつも。あれに混じるのも一つの地獄でもある。
「オレ、クリスマスパーティー…………失敗したなと思ってる」
風晴が辛そうな顔で言ったので、両脇の正火斗と桂木は驚いた。
「オレ知り合う機会は もっとあの時あったんだ。
紅白饅頭を取ってくれた高1女子とフェルトのクリスマスケーキをくれた人。
だけどオレ────椎名と金森香世さんにしか、あの時会う段取りにしなかった……」
「いいじゃんかその2人でも。"もっと女子高生とかに会っておけば良かった"って後悔か? 桜田も色気づいてきたな」
桂木は椎名と風晴を応援しようと そんな言葉が出た。
風晴は桂木の浅倉への片想いを知っているので"お前ほどでもない"と言いたくなったが噛み潰した。
「そう言うんじゃなくて、知り合っていたら もっと情報集めができたのにってことだ。正火斗──」
彼は正火斗の方に向いた。
「今回って明後日までに解決する? 犯人像はなんとなくわかるけど、具体的に誰をどう捕まえるか──オレ今 見当もつかないけど」
正火斗はしっかりと言った。
「大丈夫。今回は推理で犯人を全員特定していこうとは思っていない。
勿論、分かっていれば分かっているだけ危険性も減らせるからこうして調べてはいるけれど。
明日で片付けられると思ってる──必ずやるつもりだ」
聞いて風晴が明るい顔になる。
「なら、良かったんだ。……正直言って フェルトのケーキを創った人は、どんな人なんだろうって気にはなったけど」
「会いたかったなら会えば良かったのに。せっかくチャンスだったのに。──なんでやめたんだ?」
桂木が反対から聞いた。正火斗も聞きたかった。
「ああ……あのクリスマスパーティーだと"鳳翔院学園の生徒"だと思われているから。
頭が良いとか東京の高校生とか……誤解されて好かれるのは……嫌だった」
風晴は少しバツが悪そうにしていたが 話を続けた。
「地元の高校で……あの夏休みの後で告白された。
その中の1人に"桜田くんお金持ちなんでしょ?"って言われて……ゾッとした。…………怖いよな、ああいうの」
桂木は風晴の肩を抱いた。
「灰畑町でウン億円は目立つだろうからな。苦労してるな、魂の伴侶」
「無かった家を買って 農業支援事業関連に使ったら、そんなのほとんど無い。専門学校に行く費用は残してもらっているけど…….」
それを聞いて──それ以外もだが、正火斗は少しホッとした。
「事業は広げず無理ならたたむんだ。
風子さんなら判断を誤らないだろうが 残すものはきちんと残して。
あと金目当ての女はこれからも人生でいくらでも出会うから、そうじゃないのを見極めた方がいい」
正火斗の言葉では、説得力がありすぎる。
「うん。……そうでない女の子だって、きっといるよな。浅く…」
"浅倉だって"と言いかけて風晴は慌てて軌道修正する。
「朝から働く女性とか」
この2人の間でこの名前は今は禁句な気がする。
「まあ、今回のクリスマスパーティーはそんなに気にすることはないさ。水樹達も高校生から話を聞いてくるし」
正火斗の言葉に風晴は
「ああ、水樹と浅く……」
はい! 軌道修正!
「水樹、朝暗かったな……」
風晴はボキャブラリーが豊富では無い中で必死に努力した。
「どうかな? どちらかと言うと朝は強いと思うが」
「班分けしてノリノリだったから 明るい方じゃないか?」
正火斗と桂木はそれも知らず不思議そうだ。
だが目的地に着いた時 赤沢幸太郎は高らかに言った──
「ハイ、アサクラ書房さん! 着きましたよー」
風晴は思った。
(クソ……! 鬼畜作者……!!)
ごめんよーʕ•ᴥ•ʔ←鬼畜作者




