094 それぞれの胸中
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹
○ 秋月未来・白吹村役場職員。
○林有里子・白吹村役場職員。
華蔵家洋館・椎名美鈴、真淵聖
秋月未来班・神宮寺清雅、安西秀一
高校生班・浅倉奏衣、大道水樹
林有里子班・大道正火斗、桂木慎、桜田風晴
正火斗は内心 溜め息を漏らしながらも────水樹の班分けに納得はしていた。
重要な秋月未来の話には現部長の秀一が行く。
椎名は去年の夏に聖と話していたしコミュニケーション能力が高いから、任せても心配いらない。
林有里子の両親は事件に深く関わっていて、あの日 風晴が洞窟で聞いた声の中に彼らはいるかもしれない。
今日 確実に会えるかは分からないものの、風晴が林有里子班に振り分けられるのは妥当だった。
危険性も考えて3人にされたのだろうとも理解はできた。
9時を過ぎてから正火斗は林有里子宅に電話をした。有里子と思われる女性が出て"桂木慎が時計を返したいと言っているので訪問したい"と述べると、彼女は
『今日は両親にお客様が来る予定があるそうなので、私が外で会います』
と言ってきた。正火斗は少し落胆した。やはり このメンバーである必要なんか無かった。
それでも林有里子に会うことは貴重な機会だ。相手の申し出を受け入れて、林家の近くにある本屋の中のカフェで会うことにした。
桂木慎は昨夜 よく眠れていなかった。
椎名は凄く力になる言葉を沢山くれて、大道正火斗と付き合っていても、必ずしも満足しているわけではない浅倉の話を教えてくれた。
正火斗先輩はとにかくパーフェクトで女性の憧れだ。しかも浅倉は中等部からゾッコンときてる。
想いが成就して、すっかりラブラブ頑強なカップルとばかりに思っていたから……正直、希望が見えた気がした。
椎名がアドバイスしてくれたように、告白もまた考えた。先を夢見るわけではなくても気持ちを伝えられたら……何か……自分の中で区切りをつけられるような気がして。
でも昨夜のあのシーンは胸に刺さった。
考えてみれば当然なのだが 正火斗先輩は浅倉の部屋にいた。なんとなくだが2人の着衣はシワが多かったし、浅倉の顔が…………
みんなでいる時とは違って見えた。
瞳がきらきらとしていて、でもどこか儚げで──"女性"を感じさせた。
正火斗先輩のすぐ後ろに立つ彼女にズキリともしてドキリともした自分は……本当にどうしようもない男だと思う。
その自分の好きな女性の彼氏と今日一緒────は本気で辛い。
とりあえず桜田がいてくれて本当に助かった。桜田をかまっていよう。アリガトウ桜田。
正火斗先輩を憎んだり嫌ったりは……できないけれど、今はとても仲良く楽しくはなれない。
正火斗が林有里子と約束した時間は10時だったために 出発まで時間があった。
桜田風晴は聖と椎名と一緒にいて、椎名から昨夜"失恋を自分は決めた"と聞いた。
"桂木先輩の浅倉先輩への片想いを応援する"のだそうだ。
風晴は椎名の強い想いを知っていたので、彼女が強がっていないか心配だった。
同時に 桂木がそんなに長く辛い片想いをしていたことに驚いた。
そんなキャラじゃないだろうアイツ!!
と思わず言いそうになる。
椎名は──昨夜の正火斗と浅倉、桂木の状態を説明してくれて
「桜田くん、桂木先輩を元気にしてあげて下さい!!」
と言われた。
風晴は、殺人やら誘拐やらに関わる人達に会いに行くときにはハードル高いかもしれないな……と思った。
そしてもうひとつ──
今の正火斗と桂木と一緒と言うのは……
ちょっとややこしいのかもしれない。




