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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第12章 事件と恋の混迷 

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091 朝の風景

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

山原海(やまはらかい)・華蔵家料理人。


◾️これまでのあらすじ

鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会した風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から姿を消す。連れて行かれた洞窟から風晴と聖は正火斗に救助されるが、冴木拓眞は殺されていた。クリスマスパーティーの日の調査を進める中、桂木のもらったプレゼントの腕時計の箱から"華蔵透子を連れ去る時間"と書いた紙が見つかる。

 



 2025年12月28日午前7時50分



 風晴(かぜはる)(ひじり)は部屋から出て食堂に向かう。

 途中(とちゅう)、聖は何度か立ち止まった。

 風晴は聖が装飾品(そうしょくひん)を……飾られている銅像(どうぞう)絵画(かいが)を見ているのだと気づいた。

 風晴も注意して見てみた。

 ──すると確かにあったはずの白い外国女性の顔の彫刻(ちょうこく)は無くなっていて、馬の銅像は──獅子(しし)に変わっている。かなりの大きさの山の風景画は、さほど大きくない麦畑の風景画に変わっていた。

 風晴と聖は顔を見合わせた。


 ──── 一体(いったい)何が起きている?







 食堂に行くと、ミステリー同好会メンバーや正火斗(まさひと)理人(りひと)も席に着いていた。風晴は(あわ)てて理人に言った。


「理人さん、なんか……廊下の装飾品が……変わっているんですけど リフォームか何かですか?」


 風晴に続いて聖も口を開いた。


「玄関ホールの(つぼ)や、オブジェや絵画も……昨日の午後から変わっている」


 風晴はこの発言に驚いた!!(まった)く気づいていなかった!!

 聖は特定の場所や場面を鮮明(せんめい)記憶(きおく)することがあるらしい。ただ本人はそれを選べず、無意識(むいしき)に行われる。


流石(さすが)、聖。()たような物を用意しているつもりだけれどね」


 正火斗がニンマリして言った。


「兄さん、一体何してるの?」


 妹は何かを感じとったようだ。


()()()()()んだ。──ここの美術品と骨董(こっとう)品」


「「「「「え"え"!?」」」」」


 と声にならない声があちこちから上がる。


「昨日、なんだか荷物(にもつ)搬入(はんにゅう)が激しいと思っていたら……それか」


 秀一(しゅういち)が言った。


「いやぁ、お兄さんくらいまとめて買ってくれる人はいないから 助かるよ。10(ケタ)を数分で了承(りょうしょう)してくれるし。いたとしても あとはせいぜい……」


 理人はその先をうやむやにしたが、水樹(みずき)は心当たりがあった。元々この洋館を購入(こうにゅう)しようとしていたのは──


「兄さん……まさか」


間違(まちが)ってもプレゼントじゃないぞ? ()()()()()()()()。ここの美術品に目をつけて買い取ろうとしていることは確かだから。

 あの人がやろうとしたのは"僕らの利用"だ。

 目をつけた美術品のために理人さんに話をもちかけて、僕とお前が彼らを助けるように仕向(しむ)けたんだ。僕らが彼らに役立てば、売却も値切りもスムーズに進むって算段(さんだん)だろう。

 ──冗談じゃないね。こっちの労力分は支払ってもらうつもりだ。

 買わないならネットオークションに流すと、せいぜい良い値を付けてもらうよ」


 水樹は()め息をついた。

 "あの人"とは大道真夜呼(だいどうまやこ)のことだろう。正火斗と水樹の母親だ。

 もともとこの洋館に水樹が行くことにしたのには、母親の先導(せんどう)があった。

 正火斗は巻き込んだ母親に報復(ほうふく)するつもりなのだろう。


「やっぱり……」


 鳳翔院(おおしょういん)学園の生徒は皆 大体(だいたい)金持ちのはずだが、それでも10桁には全員ひいていた……


「数十億ポンと出せるって……」

「僕、進路決めるの馬鹿(ばか)らしくなってきました」

「絶対(かな)わない……」


 秀一、神宮寺(じんぐうじ)桂木(かつらぎ)の言葉だ。

 水樹は建設的(けんせつてき)な発言をした。


「兄さん、親子喧嘩(げんか)にお金をかけるのはやめてよ」


 正火斗は水樹に微笑(ほほえ)んだ。


「大丈夫だ。あの人への報復のためだけに13億はつぎ込まない。──それだけの 価値(かち)のある人じゃない。

 いろいろ(ふく)めた出費(しゅっぴ)だし、ちゃんと元は取るから、何も心配いらないさ、水樹」


 水樹はその優しい言葉に かえって不安を(いだ)いたようだ。


「本当に……大丈夫なの?」


 正火斗は理人と視線を交わしてから 答えた。


「まあ、少し驚くことはあるかも」


「驚くことって? ──危ないことなんじゃないでしょうね、また」


 女中達が朝食を運んできた。

 良いタイミングだと──正火斗は水樹に答えずに朝食に向かう姿勢を取った。

 理人も味噌汁(みそしる)を口にした。彼が食べ始めたので正火斗も(わん)を手にした。




 まともに調べていても数年かかるだろう。


 多少の危険も金もかかってもいい──


 とにかく犯人を挙げて東京に帰る








 風晴も朝食に向かったが 何だか違和感(いわかん)(おぼ)えた。

白米、漬け物、魚、茄子(なす)惣菜(そうざい)に味噌汁の香り──魚への包丁の入れ方も少し違う気がして……


「和食だ。今日は山原(やまはら)さんが作ったんじゃない……?」


 呟くように風晴が言うと 理人が


「山原は遅番の日。確かに、今朝は他の者が作ったね。そんな日もある」


と教えてくれた。

 正直 朝の白米と味噌汁は嬉しいものもある。

 風晴は朝食を かき込んだ。







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