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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第11章 入り組む迷宮

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090 夜の訪問者達4

ー登場人物紹介ー

※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子(かぐらとうこ)・理人の妹


斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。

斉藤美郷さいとうみさと・豊子の孫。白吹村女子高生。

戸田広雪とだひろゆき・白吹村男子校生。3年。

冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

秋月未来(あきづきみく)・白吹村役場職員。

林有里子はやしゆりこ・白吹村役場職員。

 




 "誰か、好きな人が……いるの?"


 それは最も正火斗にとって向き合いたくない話題(わだい)だった。

 彼はその場を逃げたくなったが、浅倉はがっちりと彼をつかんで答えを待っている。


「………………気になってる…………相手は…………いる……」


 認めるのが(ひど)(いや)で、おそらく表情にも出ていた。それを見たのだろう──浅倉は(おどろ)いていた。


「だ、誰……? 私…知ってる人……?」


 余計(よけい)ややこしくなるのが目に見える


「答えたくない」


 そう言って正火斗は、驚きで(ゆる)んだ浅倉の手を(のが)れて立ち上がった。彼女も続いて立ち上がり、そして(つぶや)いた。


「そんな人がいるなら……付き合ってくれなくて良かったのに」


 この浅倉の言い分は もっともだと思った。


「悪かった。……あの頃もだし今も、好きだの嫌いだのとは思ってもいない相手なんだ。ただ……気にはなってる。

 できれば気にしたくもなくて、今後は(かか)わり合いにならないようにしようとも思ってる」


 誠実(せいじつ)に説明しようとして、本音が思わずベラベラと出た────(わけ)の分からない本音が。

 浅倉は目を丸くしている。


「なんだか……複雑(ふくざつ)なのね。正火斗がそんなに(なや)んでるなんて思いもしなかった」


「悩んではいない。……少し混乱(こんらん)は……しているかもしれない。何で特別に感じるのか……」


 頭を(かか)える正火斗を 浅倉は(だま)って見つめた。

 ショックでもあり 不思議と……面白(おもしろ)がる自分もいた。彼にこう言わせることができる人間が──(うらや)ましいなとも。でも……


「そう言う感じなら……まだ私と付き合っていても……だめ? いつか正火斗がその気になる相手への気持ちを恋愛感情だって判別(はんべつ)できたら、その時はちゃんと別れを受け入れるから」


 そんな日は来ることは無い


「浅倉には、これからも水樹の友達でいて欲しい。君は……良い人だから。

 もっとお互いに傷ついて取り返しがつかなくなるほどに憎み合ったりしたくないと思った。

 ……それから実は……」


 彼は珍しく言葉に迷った。浅倉は(うなが)した。


「言ってしまって、正火斗」


「……誕生日プレゼントがほしいと思った」


「何がほしいの?」


「別れてほしい……」


 浅倉はつい笑ってしまった。


「最低。それじゃ、断れない」


「本当にごめん」


 彼はそう言って頭を下げた。

 こうまでされる自分が情けなくもなり、こうしてくれる彼を(にく)くも (いと)おしくも思ってしまう────


「分かった。別れることは……分かったわ。仕方(しかた)ないみたいだから」


 けれども そんなに すぐには割り切れない


「別れても私は好きだから、正火斗。これまで通り」


 顔を上げた彼の表情は当然(とうぜん)かたい。でも(ゆず)れない。


「だから、正火斗の方が相手とどうなっているかは教えて。上手くいったら 私も(あきら)(やす)いし」


 すると彼は露骨(ろこつ)(いや)な顔をした。美形であってもかなりの(くず)具合(ぐあい)だ。笑わされてしまう(ほど)に。


「何よ、別れてあげるんだから、それくらいいいでしょ!」


 彼の腕を軽く はたいた時に、LINEの着信が点滅(てんめつ)した。表示が見えたので 思わず飛びつく。


「正火斗、今日会った戸田広雪(とだひろゆき)くんから、24日に冴木(さえき)さんを広間で見ていた高校生が見つかったって!!」


 正火斗が浅倉のところまで来てLINEを(のぞ)く。


「冴木さんと話していた相手は……」


 そこまで言って 彼は言葉を切った。答えは分かった。

 ──その時だった、すぐ外の廊下を走る音と声がした。


「正火斗先輩!! 大変ですー!!」


 椎名の声だ。

 咄嗟(とっさ)に正火斗はドアに行って開けた。

 廊下を走る後ろ姿の椎名と桂木に声をかける。


「椎名、こっちだ! どうした!?」


 椎名と桂木は振り返って、()()()()()()()()()驚愕をした。──正火斗が浅倉の部屋に2人でいたことを驚愕されたんだと気づいた時には、(すべ)てはどうにもならなかった。


 お互い何でもない大人の対応に(てっ)する


「ぁああ! 正火斗先輩、ここここここちらでしたか! すみません、あの、大変な時に! こちらも大変だったもので!! すぐ会えて助かりました! ハイ! いてくれて〜ハハハ! 良かったデス!!」


 椎名はだいぶテンションが迷走(めいそう)しているようだ。その分、いつもよりも桂木は冷静だった。冷静というか……下がってる?


「すみません夜中に……。斉藤美郷(さいとうみさと)の探していた"空き箱"が分かったんです。

 オレのもらった林有里子(はやしゆりこ)さんからの腕時計のプレゼントの箱です。箱の中から、文章が書かれた紙が出てきました」


 桂木は細長い用紙を正火斗に見せた。そこには


 "華蔵透子(かぐらとうこ)を連れ去る時間"


 とあって、桂木は続けて(はり)の止まってる腕時計を出した。


「多分、この時間のことです」


 正火斗の後ろから浅倉も


「こっちも戸田広雪くんからの連絡があって、冴木さんがトークタイムで話していた相手は秋月未来(あきづきみく)さんだって!!」


 と発表したので


「ええ!? 秋月さん!?」


 と声が上がり──見ると廊下の反対側には神宮寺、水樹、秀一も扉から顔を出していた。


「秋月さん!? 秋月さんが冴木さんの死に関わりが!? ええ!?」


 こう(さわ)いでいるのは勿論(もちろん) 神宮寺だ。

 気のせいか、正火斗は様々(さまざま)混迷度(こんめいど)が深まっている感じがした。









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