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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第1章 白き呪い

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007 身代わりの理由と選定基準

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。



 



 正火斗(まさひと)剣幕(けんまく)物凄(ものすご)かったので、理人(りひと)は両手を上げて(あわ)てて言った。


「僕の言い方が悪かったなら謝るよ。

 君達が誰かを好きであるかのように演じてくれれば、その相手を連れ去ろうとするものが出てきたら、僕らが(つか)まえる──と言うことさ」


「僕らって言うのは……?」


 神宮寺が聞いた。


「僕もだし、ここにいる(たちばな)山原(やまはら)拓眞(たくま)豊子(とよこ)もだ。彼らは僕らが子供の頃からの知り合いで僕の考えを支持してくれている」


 見ると、壁際(かべぎわ)に並んでいる4人の使用人達は深くうなずいていた。


「あのう……でも正火斗と水樹(みずき)が、理人さんと透子(とうこ)さんの偽物を演じる必要って本当にありますか?

 お二人が恋したように演じたら、それで充分試せるんじゃないですか?」


 浅倉(あさくら)は理人に向かってそう言った。水樹の親友で正火斗の恋人の立場の彼女は、複雑(ふくざつ)なのだろう。


「そうできない理由はかなりある。

 まずは僕や透子が好意の表示したら、この年齢だとここでは(そく)求婚だと とられかねない。相手は舞い上がって親も(ふく)めて喜びだす。後になっても取り下げは厳しい。

 つまり、僕と透子では恋心を試すことは容易ではないんだ。」


 ここで理人は話しながら立てていた指を1本から2本にした。


「2つ目は本当に呪いがあるという可能性だ。馬鹿みたいだが、僕と透子が好意を表せばそれが起こるかもしれない。少なくとも その可能性がゼロでは無くなる。

 でも大道正火斗と大道水樹なら、最悪 行方不明者が出ても()()()()()()()()。犯人たる人物が必ずいるだろうし、警察にも届ける──必ず、すぐに」


 真剣(しんけん)に告げてから、理人は指を3本にした。


「最後は──第三者が華蔵(かぐら)の家の者を演じ、それを信じて人為的(じんいてき)に呪いを創ろうとした者が明かされる方が……この白吹村(しらぶきむら)をとりまいていた因習(いんしゅう)を消し去れると思うからだ。

 多分白吹(ここ)には、妄信的(もうしんてき)に風習を重んじる者達と もはやそれから遠のいている者、その狭間(はざま)にいる者が3タイプあるんだろう。

 僕は華蔵家への()()がった信仰(しんこう)を取り払いたい。

 それが、当主としてすべき最後のことじゃないかって気がするんだ」


 椎名は


「おっしゃっていることは分かります。

 正火斗先輩や水樹さんを華蔵家のものと一度信じさせて、でもそれが違うということを()えてやることに、思い込みの(あや)うさを気づかせる効果にしたいんですね」


 と裏付けした。

 正火斗は嫌な方向に話が進んでいる気がして意見した。


「無理だ。だいたい外見が違うだろう? 村人はすぐに見破(みやぶ)るに決まってる」


「大丈夫だと思うよ。君達がこれまで会って来た東京の財界や政界の人物なんかは、明日はまず来ない。

 パーティーと言ってもこれは、白吹村の住民への地域ボランティアみたいなパーティーなんだ。

 僕と透子は10年ぶりだし、この村の者は華蔵家の人間には過剰(かじょう)に親しくは接しない。──例外はいるけれどね」


 そうして理人は冴木拓眞(さえきたくま)の方を見た。冴木は気づいて手を振ってきた。

 理人はただ笑って返す。そうして正火斗に再び向き直った。


「大事なのは雰囲気(ふんいき)だ。透子と水樹さんは評判の美しさもそろっているし高貴さもある。

 君に(いた)っては──僕より年下だけれど、まとう空気の威圧感(いあつかん)や迫力が完璧だ。傲慢で高慢なのはここでは風格(ふうかく)となる。僕らの変わりは君達しかいない」


 風晴や──多分聖やミステリー同好会メンバーには納得(なっとく)の理由だった。

 正火斗は確かに神秘的(しんぴてき)でカリスマ性があって、神事(しんじ)(あつか)う当主どころかどこかの王子でも演じられるだろう。


 だが、当の本人は苦虫(にがむし)(つぶ)したような顔で言った。



「一個も()めてないです。──それは」









 

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