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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第11章 入り組む迷宮

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085 洋館で待つもの

ー登場人物紹介ー

※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。

斉藤美郷さいとうみさと・豊子の孫。白吹村女子高生。


◾️これまでのあらすじ

鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会した風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から姿を消す。連れて行かれた洞窟が雪崩に埋まる寸前に風晴と聖は正火斗に救助されるが、洞窟内では冴木拓眞は殺されていた。クリスマスパーティーの日に何があったか高校生達は調査を始める…………

 




 昼過ぎには桂木と神宮寺は洋館に戻って来た。


 豊子(とよこ)が 秀一と水樹、それに正火斗や風晴達は食堂だと教えてくれた。が、昼は()ませて来たし カバンを置いてこようと2階の階段を()け上がった。

 部屋の前で(かぎ)を出そうとして──扉がわずかだが開いていることに気付く。


 誰か……掃除か何か?


 扉を大きく開けると中には斉藤美郷(さいとうみさと)がいた。

 そして部屋の棚の引き出しや扉がみんな開けられている。


「何やってんだ?!」


 明らかに掃除ではない。桂木が怒鳴(どな)ると、振り返った美郷の瞳には驚愕(きょうがく)(うつ)った。


「ごめんなさい……。私、私ただ……」


「何か盗もうとしてたのか? 泥棒(どろぼう)してたのか? 今までもこの洋館で?」


 桂木が質問を矢継(やつ)(ばや)にしたが 美郷は首を振った。


「違う! 違う! 私はそんなことしない!! ただ()()()()()の!!……ゴミ箱からでも見つけて持って来たら買い取るからって言われたから! だけど捨てられて無かったから探していただけよ!!」


 桂木は 美郷の話は(まった)く分からない。


「何を言って……」

「美郷!!」


 そこに豊子が 孫の名前を呼んで走って来た。


「言っちゃだめ!! もう何も言ってはだめ!!」


 美郷はビクリとして口を両手で押さえる。

 (さわ)ぎを聞きつけて神宮寺も部屋から顔を出していた。

 階段は3階から理人(りひと)が、1階からは正火斗達が来ていた。


「何があった?────豊子?」


 斉藤豊子は理人の前に(みずか)ら出て行った。それは立ち(ふさ)がるようでもあった。


「誠に申し訳ありません、理人様。()()美郷にお屋敷の金品をこっそり盗むように指示していました。

 間もなく売りに出されるなら、少しくらいいいだろうと思ってしまいました。

 あの子はそれを勘違いして桂木様の私物を盗もうとしてしまったようです」


 豊子は深く頭を下げた。理人は呆気(あっけ)に取られている。

 桂木は


「嘘だ!! 今さっき"盗もうとしてはいない"と彼女は言ったばかりだ」


 と叫んだ。豊子は振り返って


「美郷、ちゃんと認めなさい!! あなたは盗もうとしたのね? 私がやっても分からないだろうからと(すす)めたから……」


 と桂木の声を上回る声を上げた。

 祖母の姿は美郷からは見えない。それでも彼女はその声にうなずいた。


(すべ)ては私のせいです。理人様。これまでの御恩(ごおん)をこのような形で壊してしまい、誠に申し訳ありません。────私を……私と美郷を解雇(かいこ)して下さい。どうか…お願いします。」


 豊子は再び頭を下げた。


 その場にいた誰もが分かった。



 斉藤豊子は美郷をかばっている。

 それは明白だが

 孫を守る祖母の姿を くつがえせる者はいなかった──



 華蔵理人は一言を振り(しぼ)った。



「時間をくれ」






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