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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第10章 事件と恋迷宮 

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083 名産品の賜物

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


秋月未来(あきづきみく)・白吹村役場職員。

林有里子(はやしゆりこ)・白吹村役場職員。


 




 桂木慎は不安だった────



「桂木先輩 桂木先輩!! もう一枚お願いしますー! あ、秋月(あきづき)さん1人のヤツもお願いします!!」


 役場前広場の雪像祭(せつぞうさい)会場で 秋月(あきづき)未来(みく)神宮寺(じんぐうじ)清雅(きよまさ)意気投合(いきとうごう)して楽しんだ。

 2人は雪像でさまざまなポーズを決め、すでに1時間近く()っている。


 このままカップルの撮影会みたいな感じで終わるんじゃないだろうか……

 軌道修正(きどうしゅうせい)しないと──


「あー! お二人さんお二人さん!! オレ、アレ食べてみたいです!!」


 雪像祭りには何台かのキッチンカーが来ていた。

 そのうちの一台である『くりくり茶碗(ちゃわん)むし〜あの栗だけがゴロゴロ! 茶碗蒸し〜』を桂木は指差した。


「いいですね! 私達からもオススメです。白吹村(しらぶきむら)の特産物の山栗(やまぐり)沢山(たくさん)入っていますよ。地鶏(じどり)玉子もプルプルです」


「それは美味(おい)しそうです! 頂きましょう!!」


 秋月も神宮寺も賛同(さんどう)してくれて、3人は『くりくり茶碗むし』を購入した。


 プリンカップサイズのプラスチック容器と使い捨てスプーンを受け取ったとき、桂木は"オレいいの当てたかも"と直感した。

 カップが(あたた)かかったのだ。

 ちょうど人肌(ひとはだ)よりやや高めくらいに温まっていて、冬の屋外で食べるにはもってこいの商品だった。


 役場は今日は土曜日で閉まっていたが、建物周りが遊歩道(ゆうほどう)になっていてベンチもあちこちにある造りになっている。

 朝から雪は降っていなくて午前中は陽射(ひざ)しが出ていたのでベンチは座ることができた。


 3人は腰を下ろして、桂木はカップ上部の(ふた)()がした。

 湯気(ゆげ)が少し上がって出汁(だし)と栗の香りが立ち昇る。

 玉子の上にまで出汁は(にじ)み出ていて 日光にキラキラしていた。すくうと まさしくプリンのような(なめ)らかさだ。

 下に向かうとスプーンにゴロゴロとしたものがあたり、栗の甘露煮(かんろに)達が これでもかと出てきた。


「コレ嬉しいかも。茶碗蒸しの甘栗(あまぐり)、こんなに食べれることないよな」


 食べすすめながら桂木は言った。


「僕、あの栗は最後まで取っておくタイプですから。コレは好きです。栗も玉子も(すご)美味(おい)しいですね」


 神宮寺も絶賛(ぜっさん)だ。秋月は()められて笑顔になった。


「この商品は林有里子(はやしゆりこ)先輩達が高校生の頃にアイデアを出したんだそうです。本当にナイスセンスですよね」


 秋月の方から"林有里子"の名前が出た。桂木はここぞと話を広げる。


「林有里子さん、オレがクリスマスプレゼント(もら)った人ですよ。腕時計だったんですけど 元々はお父さんの物だったみたいで」


 ふふふと秋月は笑って


「林主任、産業開発課だったんですよ。だから娘の有里子さんがお父さんのためにって、生徒会で地元の名産品アイデアを集めたって言う流れみたいです」


 神宮寺が顔を輝かせた。


「それでなんですね。いい話です」


「もう、有里子先輩は本当に真面目(まじめ)で優しい方なんです」


 桂木は正火斗が気にしていた林有里子の両親の方の話に、何とか持っていきたいと思った。


「林さんのお母さんって何してるんですか?」


 秋月は栗を飲み込んで 答えてくれた。


専業(せんぎょう)主婦(しゅふ)。優しくて良い方です。有里子先輩はお母様に似ているんだと思います」


 桂木はほとんど冗談で さらに聞いた。


「林主任の方は おっかないとか?」


 すると 秋月は桂木を真顔(まがお)で振り返った。


「よく分かりましたね。実はちょっと怖いんですよね、私は。

 威圧的(いあつてき)で……怒ったりもしますから」


 彼女は真剣に言った。









N県は架空の県で『くりくり茶碗むし〜あの栗だけがゴロゴロ! 茶碗蒸し〜』は全て想像のオリジナル商品ですが、似た物がある県とかありましたら申し訳ありません。


私も茶碗蒸しの甘栗大好きです。こんな商品あったらいいなʕ•ᴥ•ʔ

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