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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第10章 事件と恋迷宮 

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81/130

079 午前中の洋館の悲劇2

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵透子かぐらとうこ・当主・理人の妹。


 




 目眩(めまい)がしそうだった

 していたのかもしれない


「いや……桜田くんとはそんな……ハハハッ、いやですよ桂木先輩」


 自分の声が遠くに聞こえる


「オレ、椎名も(こま)ってるだろうと思って……つい。でもやり方を間違(まちが)えたかもしれない。ホント、ゴメン」


「連絡先はゲットできたんですから大成功ですよ! 大丈夫です。みんなに言って分かってもらいましょう!!」


 大丈夫だ

 多分楽しく話せている────私


「あ! 桂木先輩お待たせしました!! 秋月さんの所に早く行きましょう!!」


 神宮寺くんの声がする

 がんばれ

 まだ笑顔で


「じゃ、椎名! そっちもがんばれ! 浅倉に戸田広雪(とだひろゆき)の番号は送っておくから」


「はい!! がんばります!!」


 ……嘘だ 頑張れない

 無理だ……もう……



 神宮寺と桂木の姿が(かす)む。



 2人が()り返らないでそのまま行ってくれて良かった



 椎名はしゃがみ込んだ。


 安西と水樹が()け付ける。

 水樹は(だま)って 泣く後輩を そっと 抱きしめた。









「椎名って……桂木のこと好きだったんだね。……全然(ぜんぜん)気づかなかった」


 秀一がしみじみと言った。正火斗がうなずいている。


「……女の子の気持ち……分かりづらい……」


 聖も意見した。それに聖は女の子には ほとんど近づかない。

 風晴は


「オレは相談にのってたんだ。でもそれで……桂木に誤解されるとは考えてもいなかった……」


 と(ひたい)に手をあてた。


「秀一と相談して──秀一が浅倉と出かけて、私と椎名が洋館に残ろうかとも話したんだよ。

 だけど椎名が"私行きます!! 頑張ります!!”って。…………浅倉に声かけて一緒に行ったよ、あの子」


 水樹が瞳を(うるま)ませて(かな)しげに言った。


 …………しばし静寂(せいじゃく)


「ちょっと待って」


 水樹は、うんうんと頭を上下させているだけの男子4人に向けて言った。


「本当に──椎名の行動の深さ分かってる? あなた達?」


 全員の頭が止まる。水樹は目を細めて聞いた。


「はい、桂木慎の好きな人が分かる人!」


 誰も手を挙げられない。────え? そんな文章どこかにあったっけ? と約2名は思った。


「なんで? なんで誰も分からないのよ? ここが推理のしどころでしょう!?」


 水樹がテーブルを叩いた。


 そうなのか!?と正火斗は思った。

 そうなんだ!!と秀一は思案した。


「桂木はクリスマスパーティーの告白ゲームを嫌がってた。つまりアイツの好きな女の子は()()に、洋館にいたってこと。当然 告白するところを見せたくなかったんでしょうから」


 男子全員が目を見開いた。

 水樹はボンクラ! と思った。


「会ったばかりの透子さんや女中のわけがない。前からの知り合いの女子は椎名、私、浅倉。────もう答えが出てるでしょう?」


 秀一が前のめりになった。


「まさか桂木のヤツも水樹を……」

「ボンクラ────!!」


 水樹の怒号が響く。

 風晴は一つしか残っていない答えに胸が痛んだ。


「椎名……大丈夫かな……」


「……………………」


 聖も難しい顔をした。

 水樹はボンクラ彼氏から、風晴に視線を移した。


「大丈夫なわけないと思う。きっと今 頭も心もグチャグチャだよ。────それから兄さん」


 自分そっくりの(するど)眼光(がんこう)で妹に(にら)まれて、正火斗はビクリとした。


「浅倉は他の男子にだって想われてる女の子だって……本当に分かってる? 兄さんが浅倉の彼氏なんだからちゃんとしてあげて」


 水樹の真剣な瞳に向き合えず 彼は瞳を閉じた。


「分かってる。──ちゃんとするつもりだ」


 ちゃんとするつもりだ

 ちゃんとしたいと思ってきた

 だが浅倉に対してちゃんとするということは────




 瞳を開けるのが嫌だった。


 閉じ続けているわけにもいかず 渋々と開く。


 どうしても位置的に視界に桜田風晴は入った。





 何もかもがややこしい────










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