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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第10章 事件と恋迷宮 

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80/124

078 午前中の洋館の悲劇1

ー登場人物紹介ー

※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。大企業財閥御曹司。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。

桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。

斉藤美郷さいとうみさと・豊子の孫。白吹村女子高生。


◾️これまでのあらすじ

鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会した風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から姿を消す。ミステリー同好会メンバーと正火斗のおかげで風晴と聖は救助されるが、洞窟内では冴木は殺されていた。

クリスマスパーティーの日に何があったのか高校生達は調査を始めるが……

 



 一足先(ひとあしさき)に食事を終えた理人(りひと)はもう食堂を出ていた。

 事件に関する話はみんなが集まってから情報交換(こうかん)する予定になっている。

 デザートの果物を食べながら残ったメンバーでの話題は、正火斗(まさひと)達3人が出て行ったあとの洋館での()()()()についてに……自然となった──


「それが、ちょっと大変だったのよ……」


 言いながら水樹(みずき)秀一(しゅういち)を見て、秀一も水樹を見ながら


「うん。ちょっとあれは……大変だったね……」


 と言った。


一体(いったい)何があった?」


 と正火斗が(たず)ねると水樹は


斉藤美郷(さいとうみさと)ちゃんと桂木(かつらぎ)椎名(しいな)よ。ちょっともうゴチャゴチャで…………」


 風晴は椎名が何か桂木とあったんだと気になった。


「三角関係みたいになったとか? 桂木が二股(ふたまた)とか?」


 すると水樹は首を振って、思わぬ言葉を風晴に言った。


桜田(さくらだ)、あなたも微妙(びみょう)(かか)わってるんだからね!!」


「え? オレ!?」


 彼には青天(せいてん)霹靂(へきれき)だった。

 水樹はマスカットを食べていた手を()いて話し出した。


浅倉(あさくら)は髪をセットしにいくことになって時間がかかったの。そうしたら神宮寺(じんぐうじ)まで"秋月(あきづき)さんと会うなら身支度(みじたく)限界(げんかい)まで(ととの)えたい"とか言い出していなくなった。

 それで待っている間に桂木と椎名が美郷ちゃんのところに行くことになったのよ。

 私はなんとなく付いていった。なんとなく……気になったから。そうしたら、なんと……」








「はいはいはい戸田(とだ)先輩なら勿論(もちろん) 連絡先知ってますよ。私 男子バレーボール部のマネージャーですから。(しん)くん、戸田先輩と仲良くなりたいんですか?」


 今日は女中姿の──黒いワンピースに白いエプロンの斉藤美郷は、大きな瞳を丸くして聞いた。

 椎名は (はな)やかで可愛い女の子だなぁと改めて思った。


 私の周りは美人ばかり。こんな人生って なんだか不利(ふり)だ。


「そんな感じかもな。話が聞きたいんだ。ミステリー同好会として」


「ふーん、カッコイイですね……じゃあ……」


 美郷は桂木に()()る。


「じゃあ、私と付き合ってくれたら戸田先輩の連絡先を教えますよ!!」


「何言ってんだ!?」


 桂木は怒った。椎名は(ちぢ)み上がった。水樹は興味津々(きょうみしんしん)だった。


「どうしても戸田先輩の連絡先ほしいんですよね? 私もどうしても付き合いたいんで──ホラ、ちょうどいいじゃないですか、交換(こうかん)!!」


「いいわけないだろ! そんなの!!」


 珍しく桂木が怒鳴った。だが美郷は少しも怖がらない。


「好きな人がいないなら いいじゃないですか? 東京に帰るまでちょっと恋人気分! え? いないんですよね? 誰か好きな人?」


 だめだ────!


 椎名はその答えを聞きたくなくて割って入った。


「美郷さん良くないと思います──そういう交換条件は。

 戸田広雪さんの連絡先と桂木先輩の心は(まった)(ちが)うものです」


 美郷は椎名より少し背が高いくらいだが、ずいっと椎名に近づくと指をさして言った。


「なんだかんだとキレイゴトは結構(けっこう)。慎くんが好きなら好きって言いなさいよ。他の人が好きなら どいていて!」


 絶妙(ぜつみょう)な言い回しだった。椎名は真っ赤になって動けなくなった。


「そそそそそそそんな……わわわわわ私は…………」


 どく? いや、どけない!! ううん、どかないと……あぁああ……でも どいてしまったら…………!!


「わ……わ私は…………」


 椎名の声が震えた。

 その時────彼女は後ろから両肩をつかまれた。


「オレ、コイツが好きなの!! だからゴメン!!」


 桂木の声だった。椎名は頭が真っ白になった。


「オレ達今 うまくいくかどうかの微妙(びみょう)なトコだったんだよ!! だから邪魔(じゃま)しないでくれ!

 これで納得(なっとく)したか?」


 桂木は椎名を自分に引き寄せた。椎名は多分 意識(いしき)1割5分くらいしかない状態(じょうたい)になった。

 美郷は2人の様子をじっと見つめたが


仕方(しかた)ないわね──それなら。恋人同士の邪魔をわざわざ期間限定ではしないわよ。はい、戸田先輩の番号……」


 とスマートフォンを出してくれた。

 桂木は自分のスマートフォンに入力した。椎名が硬直(こうちょく)したまま動けなかったからだ。

 そして 斉藤美郷は()っていった────


 美郷が行った廊下(ろうか)の先からは、秀一が水樹を探してこちらに来ている。


 水樹は


「2人共……そんないい感じだったの?」


 と静かになった廊下で聞いた。


「そんなわけないだろ」


 そう桂木が言った時の椎名の顔が 秀一からは見えた。


「椎名もゴメン。()()()()()()()()()()…………桜田が好きなんだろ? ややこしくして本当にゴメン」


 椎名は ただただ衝撃(しょうげき)だった。

 この ほんの数分で ジェットコースターに3回(ほど)も乗ったような気分だった。


 それでも──

 

 ああ……

 彼の最後の一言で(すべ)てが分かった

 分かってしまった



 この人は私が好きでいるなんて夢にも思ってはいなくて



 そして



 彼の好きな人は 他にいるのだ────










ホント悲劇……ʕTᴥTʔ

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