077 あの人の結末
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。大企業財閥御曹司。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○橘信蔵・華蔵家執事。
○斉藤豊子・華蔵家女中頭。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○天羽生颯・白吹村の引きこもり男性。
2025年12月27日12時10分
正火斗、風晴、聖の3人は──やたら濃い内容だったものの午前中で予定をこなして帰ってこれた。
館内に入るとカレーの匂いが充満していたので、彼らはすぐに
「カレーだ!! やった!!」
と喜んだ。
食堂には理人と水樹と秀一がいて、すでに席に着いて食べていた。
「おかえり〜」
「おかえりなさい」
「早かったね」
と声をかけてくれる3人の皿を見ると──
「おお!! カツカレー!!」
と風晴は声を上げた。
「おかえりなさいませ。盛り付けは私共が致しますか? ご自分でなさいますか?」
端に立っていた豊子に声をかけられて見てみると、長い食卓テーブルの他に今日はもう一つ小さなテーブルが出ていて、カレー鍋や白米のおひつ、カツ、千切りキャベツや らっきょう・福神漬、水、食器やカトラリーからフルーツまで全て置いてあった。
風晴が
「オレは"自分でやる"でいいかな」
と言うと、聖もうなずいた。
すると正火斗は豊子に
「自分達でやりますからここはいいですよ」
と告げた。
豊子は理人を一度見たが、彼も
「ここは大丈夫だ。僕も果物は自分で取る」
と言ったのでお辞儀をして食堂を出て行く。
3人は早速 自分達好みのカツカレーを盛りつけた。
カレーは薄切りの豚バラ肉を使ったタイプで中辛だ。
カツに関しては なんとトンカツとチキンカツの2種類が選べた。
聖はチキンカツにした。正火斗は白米の横にキャベツも乗せていた。風晴はらっきょうと福神漬を両方取る。
カツはサックリと上がっていて、そのものが美味い。カレーがソースとなって合わさり、米が混ざるともう無敵だった。スパイスの香りと味は食欲を湧き起こさせる。
絶対おかわりしよう!
と風晴は胸の内で思い、ふと気がついた──
「理人さん、透子さんて……」
大雑把な聞き方でも彼は分かってくれた。
「大丈夫だ。透子も最近は食べているよ。いずれここにも降りてくると思う」
良かったと風晴は思った。
透子さんは気の毒だ
彼女の姿に 夫を失った母の姿が重なる──
だから元気なって欲しかった
それで親子丼を作ったんだ
勿論、透子さんと冴木さんへの申し訳なさもあったけれど
トンカツの分厚い肉を咀嚼しながら考える。
正火斗は……
オレが透子さんに親子丼を作ったことを知っている
そう言う気持ちも考えて
天羽生颯に怒ってくれたんだろうか
肉を飲み下して、福神漬とカレーと白米の部分にいく。
いや、そこまでは考えないか
大道正火斗と言えども
だいたいオレをそこまで気遣う理由も彼には無い
彼は優しいし妹想いだから
なんだかんだで
透子さんへの心配と
妹を想う理人さんの方に同情しているのかもしれない
向かいにいた正火斗が丁度、理人に午前中の天羽生颯について話し出していた。最後には正火斗は
「彼は聖だけでなく今の透子さんにとっても有害になり得る。解雇した方がいい」
と言った。
「そうだな。元々臨時だとは伝えてあるしそうしよう。……もっとも、その話では本人からも辞めたいと申し出があるかもしれないが」
合意する2人の姿を見て風晴は1人"やっぱりな"と納得していた。
その頃──天羽生颯は執事の橘に、やはり辞意を伝えていた。




