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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第9章 大事件と迷宮

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076 スレスレでなくガチンコの車中

ー登場人物紹介ー


大道正火斗だいどうまさひと・鳳翔院学園3年。大企業財閥御曹司。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

天羽生颯(あもうはやて)・白吹村の引きこもり男性。


 




 正火斗と風晴は何が大丈夫なのかはよく分からなかったが、聖がやる気を──とても(めずら)しく出しているので天羽生颯(あもうはやて)の運転する車に(仕方なく)乗ることにした。


 車が動き出して走り出す。



 しばらく誰も話さなかった。



 全員様子を(うかが)っているかのような緊張感(きんちょうかん)が続く。



 それが(しばら)く続いた時、正火斗は会話が無いなら無いで良いと思った。むしろ安堵(あんど)する──その時、隣りにいた風晴に突然(とつぜん) 腕を引かれた。


「正火斗!」


 決して大きくはないが風晴の声は切迫(せっぱく)していた。

 身を乗り出すと風晴はラジオを指差(ゆびさ)している。そこからは……


「失礼」


 正火斗は長い手を伸ばしてラジオのボリュームを上げた。


「な、なんだよ!!」


 と天羽生が(さわ)ぐが、誰も聞いていない。3人はラジオのニュースに集中した。


『……木拓眞(たくま)さんと見られています。冴木(さえき)さんは12月24日 深夜から行方不明になっており、警察が捜索(そうさく)している最中でした。発見された遺体(いたい)には外傷(がいしょう)があり、死因(しいん)については調査中とのことです……』


「冴木さん……」


 風晴が小さく呟いた。

 その時 天羽生があざ笑うかのように言った。


「はっ、アイツ死んだんだ。そんな悪いことでもないと思うよ。特に透子(とうこ)様にとってはね」


 後部座席の3人は言葉を失っている。天羽生は(さら)に続ける。


「やなヤツだったよアイツ。高校にも顔を出しているみたいで女子高校生にもキャーキャー言われたりしてさ、役場職員達とも仲良しで。

 村に来ない理人(りひと)様と透子様と連絡取っているからって、みんなにチヤホヤされてたんだ」


 小さな()め息が風晴から聞こえて、正火斗は彼が(あき)れているのだと分かった。確かに小学生の嫉妬(しっと)みたいだ。


「透子様はアイツと特別な関係だと()()()()()悲しんでいるかもしれないな。────僕、教えてあげようかな。アイツじゃ、何人と付き合っていたか分かったもんじゃないって」


 正火斗は何か許せないものが込み上がって発言した。


「やめろ。透子様は昔からの親しい知り合いを失って悲しんでいる。残った思い出にわざわざ水を差す必要なんてない」


「何言ってんの? 真実を知った方がいいに決まっているだろう? それにどうせ いつかは分かることだ」


 正火斗は(ひざ)の上の(こぶし)(にぎ)った。無意識(むいしき)に力が入る。


「いいや。透子様はゆくゆく理人様と白吹村(しらぶきむら)を離れるだろう。だからこそ美しい思い出が支えになる人だっている。その支えを(くず)すような真似(まね)残酷(ざんこく)だ」


 天羽生はチッと舌打ちをした。


「君って本当に偉そうに言うよね? 背が高くて顔が良くて偉い──僕の最も嫌いなタイプだよ。

 そんなことは透子様自身が選ぶことなんじゃないの? 言うかもしれないよ"本当の姿を知りたい"──って」


 正火斗は確信を持って首を横に振った。


「君から見た姿だって"本当の姿"かは分からない。何が真実だったかなんて当人達にしか分からないものもある」


「ははっ! 中身のない都合(つごう)の良い言葉だよ、それ。君がやっていることは偽善(ぎぜん)でただの嘘つきだよ。

 そう言う考えで女の子、よく(だま)しているんじゃないの? 」


 正火斗の拳に血管が浮く。風晴はマズいと思って彼の手を押さえようとした。


 次の瞬間車は速度を落とす。

 もう華蔵家(かぐらけ)敷地(しきち)に戻ってきていた。

 車が止まった時、聖が言った。


「天羽生さん、あなたにもう会いたくないです。……大嫌いだから」


 ほとんど よどみの無い、強い言葉だった。

 男らしい(ひび)きさえあった。

 天羽生颯も振り返って聖を見つめた。その瞳は驚愕(きょうがく)している。


 聖は初めて彼をしっかりと見返して 言った。


「正火斗はとても優しい気持ちを持ってる。あなたはそうじゃない。……もう僕に2度とかまわないで」










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