072 続・いろいろスレスレの車中
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○葉崎達哉・25年前からの行方不明者。
○天羽生颯・白吹村の引きこもり男性。
聖は後部座席に──やはり座った。
来た時と同じく 誰も助手席には座らず後部座席に正火斗、聖、風晴の3人が並んだ。
次は山の──洞窟の所有者である葉崎達哉の親族の家だ。
「聖さん、僕は思うんですが……聖さんは多分 外見や性別で人を判断なさらない方なんじゃないですか? そういう視点で、僕はどうでしょうか?」
と妙に勘は鋭い 頭頂部が禿げ気味の小太り 27歳天羽生颯は聖に尋ねてくる。
聖はやはり答えに困っているのが伺えた。
「天羽生さん、あなたの聞き方はずるいですよ。
聖は普通の男の子なんです。彼から見てあなたは恋愛対象に成り得ない」
正火斗の言い方がやや厳しかったこともあるかもしれない。天羽生は怒って感情的に正火斗に捲し立ててきた。
「さっきからうるさいな! 君みたいなヤツには分かるわけがないよ!! どうせ顔とスタイルの良い女の子を選んでばかりの人生だろう?
愛ってさ、そういうんじゃなくない? 見た目とか常識とか超えてさ、惹かれ合っちゃうものなんだよ! 出会ってしまったら!! それが運命ってヤツでしょ!!!」
正火斗は……正火斗は言葉を失っていた。
彼は口ごもった。
それを感じてか天羽生はますます勢いづいた。
「君はそういう偽りの中にいれば良いよ。でも僕は違う。
こんな────配信中に夢中になりすぎて同一内容投稿 連投で警告を受けたり、左足に魚の目が2つもできていたり、可愛い女子がいないからって囲碁教室もやめた僕だけれど……でも ちゃんと心はあるからね。
僕はね、聖さん、あの夜あなたに運命を感じたんですよ」
天羽生はバックミラー越しにチラチラと視線を投げかけてきた。聖は隠れるように縮こまった。風晴は
「天羽生さん、安全運転でお願いします」
と言った。
「大丈夫だよ。僕は運転は上手いし、ここ一本道だから間違いようも無いから」
天羽生は舌打ちしている。彼にとっては聖以外は敵だ。
すると…………さっき反論できなかった正火斗は今度こそ口を開いた。
「運命でも意にそぐわないものは変えます。そんなものは相手の人生をめちゃくちゃにする理由には ならない」
…………壮大な話になってきていた……
「ははっ!! カッコいいからってカッコ良く言っても無駄だよ。運命からは誰も逃れられないんだよ。
顔をそむけても気になる! 考えたくないのにいつの間に考えてしまっている! 惹き合う2人、離れられない2人なのさ……!
邪魔が入るとむしろ燃え上がる!! それこそが運命だ!!」
天羽生は運転席で高笑いをしている。
風晴は聖に聞いた。
「聖、天羽生さんに運命 感じた?」
聖は今度はちゃんと答えた。
「……全然」
風晴はわざわざ伝えた。
「天羽生さん、聖は全然"運命感じていない"って」
車が止まる。
葉崎達哉の親族の家についた──




