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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第9章 大事件と迷宮

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071 冴木拓眞の母親

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

天羽生颯(あもうはやて)・白吹村の引きこもり男性。


 




 冴木拓眞(さえきたくま)の母親は、彼が中学生の時に離婚(りこん)──その後母親は再婚していた。今の名前は間宮(まみや)(ともえ)これは理人が正火斗に教えてくれていた。


 インターフォンを鳴らして


「華蔵理人様から連絡がいっているかと思います。ミステリー同好会の者です」


 と正火斗は丁寧(ていねい)に言った。

 インターフォンからの返事は無かったが、まもなく玄関のドアは開いた。

 中からカールした長髪の目鼻立ちの綺麗(きれい)な中年女性が現れた。冴木に似ているので すぐ母親だと分かる。


「寒い中ご苦労様。悪いんだけど ここでもいい? 警察にも言ったんだけれど……私は拓眞の最近のことは(まった)く分からないし」


 彼女の言う"ここ"は靴棚(くつだな)のある──いわゆる玄関先だった。屋内ではあるし こちらは文句(もんく)はない。


「すみません。理人様は自分の館からこのような事件になってしまったので、詳細(しょうさい)を調べたいと考えていらっしゃるのです。

 最近の拓眞さんの様子については……何かご存知(ぞんじ)ありませんか?」


 冴木の母親は髪をかき上げて言った。


「もう……ここ4年くらい私と拓眞は連絡を取っていなかったのよ。あの子は私の……」


 そこで彼女は声を少し低くする。


「再婚には反対だったからね」


 高校生達にはなんとも相槌(あいづち)ができない。正火斗は質問を変えた。


「拓眞さんは理人様と小学生からの付き合いがありますよね?

 彼は"白吹(しらぶき)(のろ)い"についてはどう思っていたんでしょう?…………昔きいた話でも良いのですが」


 これには冴木の母親──間宮巴は少し考え込んだ。


「高校の頃も理人くんとは連絡を取っていたみたいで──"思い込んでいて気の毒だ"って……笑って言ってたわ」


「笑って?」


「拓真は結構(けっこう)モテていたから。高校の頃なんか恋人は()えなかった感じだった。

 理人くんもカッコイイのに、彼は多分"白吹の呪い"のせいで村を出ても……のびのびとできなかったんじゃない? それで"気にすることないのに"って笑ってたんじゃないかしら。

 だって本当に──勿体(もったい)ないじゃない? そんなことって」


 母子(おやこ)の考え方はだいたい分かった。正火斗は一応と思って聞いた。


「再婚相手の方は他県の方と聞きました。このお宅はその……新築(しんちく)では無いようですが、中古をご購入(こうにゅう)ですか?」


 間宮巴は否定した。


「夫はC県生まれで 今 仕事の都合(つごう)でN県にいるだけ。私と暮らしているから ここを賃貸(ちんたい)で借りてるの。それだけ。

 私達はいつかはC県に行くと思う。正直言って ここは閉鎖的(へいさてき)過ぎて……」


 そこまで言って間宮は正火斗達を見て言った。


「あなた方東京から来てるなら分かるでしょう? ──つまらないのよ、ここは……」








 話終えて3人は間宮(まみや)家を出た。


 天羽生(あもう)の車の停まっているところまで歩くとき風晴は呟いた。


「なんて言うか……悪い人じゃないんだろうけど。冴木さんが家を出る気持ちも分かるような……」


「大道真夜呼(まやこ)に似てるところがある思う──少しだが。

 母親であるより 女である部分が大きい女性や、いつまでも自分が中心で母親になりきれない女性。……そんなところだろう」


 データの分類(ぶんるい)のように正火斗は言った。

 風晴や聖には想像が難しいが 世の中には本当にいろいろな親や家族がいるのだろう。


 車の後部ドアを正火斗と聖が両脇(りょうわき)からそれぞれ開けた。聖の開けた左側に声がかかった。



「聖さん、良かったら助手席にどうぞ」



 天羽生颯(あもうはやて)はまだ (あきら)めていなかった。








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