070 いろいろスレスレの車中
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生
○天羽生颯・白吹村の引きこもり男性。
結局──代わりの運転手もいないので正火斗、風晴、聖は天羽生颯の運転する車に乗る──しかない。
乗る前に風晴は 正火斗に"理人さん"ではなくて"正火斗"で良いのか確認した。
正火斗は今日は髪型も普段の彼のものに戻しているし、眼鏡もかけている。それでも……バレる可能性もある。
正火斗は こともなげに
「バレたらその時はそれでいい」
と言った。
ハッキリ言って天羽生は、そもそも聖以外の人間は あの日も今日もあまり気に留めていない感じではある。
車はNOTEで5人乗りのために後ろに3人が入れた。助手席に聖はいかない。
それでも、冴木拓眞の実家に向かう車中で彼は話し出した。
「僕はこうして外で働き出しました、聖さん。
もうバーチャルアイドルを20時間連続で応援もやっていないですし、祖父ばかりが雪寄せしないで僕も手伝っているし、料理の人参とピーマンとナスとカリフラワーをよけたりもしていません。────こんな僕なら、あなたはどう思いますか?」
「……………………」
聖は言葉に困っている──困るだろう!!!
風晴と正火斗は"コイツそんなこともしてたのか"と思った。
…………沈黙が続いたので正火斗はあまりややこしくならないうちにと、真実を天羽生に告げた。
「天羽生さん、聖は……男の子なんです」
しかしなんと! 天羽生の返事は予想外だった!!
「──だから? 今朝服装を見て分かったよ。でも別にいいよ。女装したら可愛いかったんだから」
後部座席は極感地帯となった。────これはかなり本気だ!!
「聖はクリスマスパーティーでたまたま ああいう格好をしただけです。普段はいろいろな意味で普通の男の子です。
ですからその……恋愛対象みたいに男性から思われたら、彼はとてもその……気持ち悪……」
「正火斗!!」
聖が珍しく大声を上げた。正火斗と風晴が驚く。
「それは……そういうのは……相手によると思う。……女の子か男の子かって、そんなに……大事なことかな……?」
運転席から奇声が上がり、天羽生颯は肩を揺らしてる。
「ホラ聞け!! 聖さんは分かってる!! 聖さんは分かってくれてるよ!!」
正火斗は聖の身の安全を考えた。
「恋愛感情は……やっぱり相手への迷惑を考えないと。聖だって困るだろう? その、男子から言い寄られたり 告白されたら……」
聖は正火斗を考えている。
「言い寄られたり告白されたりして困るのは、嫌な女の子でも困ると思う。だから……だからだからだから……」
「いけ! 言ってやっちゃって下さい!! 聖さん!!」
天羽生が煽る。わっせい! わっせい!
「だから……男の子が男の子を想ったって……きっと……」
そこで風晴は抱いた疑問を率直に聞いた。
「聖は誰が好きなんだ?」
さほど間も置かず聖は答えた。
「……風晴と正火斗」
風晴は聖にうなずくと、前を見て
「天羽生さん、入ってないって」
と言った。
車が止まった────
冴木拓眞の実家に着いていた。




