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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第8章 調査開始

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068 隠されていたもの

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。


松下寿明(まつしたとしあき)・喫茶店・寿店長。


 



 正火斗が階段に向かうと、風晴と聖はまだ2階の途中(とちゅう)を登っているところだった。

 聖は病院で痛めた足を固定してきてもらっているし、だいぶ良くなっているようだ。

 それでも正火斗は申し出た。


「おぶって行こうか?」


 すると返事ではなくて風晴に


「正火斗もまだ当主部屋に入るんだ」


 と驚かれた。


「理人さんにそれでいいと言われた」


 と正火斗は言ったが──これには裏の事情があった。

 今回の雪崩(なだれ)の件では松下寿明(まつしたとしあき)が責任者として対応してくれた。

 彼は退院日に精神科医に言われていたのだ。風晴や聖は今後フラッシュバックやPTSDの(おそ)れがあるから、気をつけて見守るようにと。

 理人は自分よりも、友人で雪崩を共に経験した正火斗が(そば)にいる方が(のぞ)ましいと判断(はんだん)した。それで、いる間は当主部屋を(ゆず)ってくれたのだ。


 結局(けっきょく)、見守っているうちに聖は自分で階段をのぼり切った。








 3階に上がり 風晴、聖と正火斗はそれぞれの部屋に入った。 

 正火斗は 部屋でメールを何通かチェックしてから風呂につかり、あがってからコーラを飲んだ。

 せっかく隣にいるのだからとあの寝室の"開かずの扉"をノックした。


「風晴? 聖? ここを開けておくから……」


 と声をかける。

 ────返事が 無い。部屋は 暗い。


「かぜ……」


 何かに(あせ)って()み込むと──

 …………2人はもうベッドでスヤスヤと寝息(ねいき)を立てていた。



 脱力(だつりょく)して肩を落とす。



 どっちがフラッシュバックだ!



 と自分で(あき)れて思った。








 当主側の寝室に戻ってもすぐに眠気が来そうに無かった。

 見回すと寝室の(たな)には様々な書物が置いてある。

 棚の前に歩いていき、華蔵家の歴史が分かりそうなものでもないかと、正火斗は目を走らせた。

 それらしいものはあったが 他にも


『地理・文化・気候で形成される人類最強地政学(ちせいがく)

『フルカラー地球博物展教養大図鑑7000点』

『COSMOS自分だけの宇宙船の窓〜美しき果てなる星々のビジュアル〜』


 等のタイトルの本が並んでいた。

 正火斗は少し興味が()かれて『地理・文化・気候で形成される人類最強地政学』を引っ張りだした。すると思ったより大きい本ではなかった。

 違和感(いわかん)を感じて本を抜いた棚を見返すと──気付いた。

 この本の奥にさらにもう一つ、古い書物が入っている。



 大道正火斗と言えど 一瞬 迷った。

 借りている当主の部屋で()()()()()()()()()()──いや、多分 隠している書物を勝手に見ていいものか……

 しかし、1分も(なや)まぬうちに判断した。


 人が死んだり行方不明になったりしている状況だ。それに隠しているわけではないかもしれない。

 正火斗は奥にある古い──書物と言うよりは、片脇(かたわき)(ひも)(しば)って閉じられている文献(ぶんけん)のような紙の(たば)を取り出した。

 ひどく古い紙だった。

 そっと壁際(かべぎわ)のテーブルに両手で運び、そこに開いた。


 正火斗は椅子を引いて深く座ると、それを読みだした。









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