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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第8章 調査開始

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066 10年前の行方不明

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

 



 桂木は、あの日の(はやし)有里子(ゆりこ)とのやりとりを(じゅん)を追って思いだしてみた。


「ええっと……場所は応接室(おうせつしつ)だった。真面目(まじめ)そうな、しっかりした感じの女の人だったんだ──林有里子さん。

 オレが腕時計のお礼を言って、行方不明になった時の話を教えて下さいって(たの)んだら(おどろ)いていた」


「え? いきなり頼んだんですか? 会ってすぐに?」


 椎名も聞き返している。


「勝負に出ましたね……」


 神宮寺のコメントは意味深(いみしん)だ。

 桂木は


「10分じゃ()()きできる相手じゃないと思ったんだ。

 林さんは"東京の高校生なのにどうしてそのことを?"って聞き返してきた。

 だから"透子さんの後輩でミステリー同好会の一員だ"って言って。"理人さんや冴木さんから小学6年生の頃、あなたが行方不明になっていた期間があったと聞いた"って必死(ひっし)で説明した。

 それでなんとか納得(なっとく)してもらえて、応接室には入らないで廊下で……立ち話しで教えてくれた」


 と ここまで話して一息ついた。

 全員が彼に注目(ちゅうもく)している。


「────結局(けっきょく)、本人もあの期間の記憶はぼんやりとしているらしいんだ。

 特に(こわ)い思いや何かを飲ませられた(おぼ)えもなくて、両親に"おじいちゃんおばあちゃんのところにしばらく行こう"と言われた気がする──と。実際(じっさい)にその時期おばあさんの体調が悪くて、両親が見守るために仕方ないんだろうと思って過ごしていた──と」


 水樹はなんだか()に落ちずに(たず)ねた。


「大きくなってからは、一度もご両親とそのことを話したりはしてないの? "あの時なんだったの……?"みたいな」


「そう言うことはしていないみたいだ。林さんはある程度の年齢になって、華蔵理人にまつわる"白吹(しらぶき)(のろ)い"を知ったそうだ。

 だから彼女としては 理人さんから本気で好意(こうい)を寄せられる前に、両親が距離(きょり)を取らせたくてやってくれたのだろうと考えている──って」


 桂木の話に


「子供としてはそう考えたいのかもなぁ……」


 と秀一は言った。

 テーブルの(はし)の理人からは大きな()め息が聞こえ、彼は


「こっちはトラウマものだったんだが…………」


 と(つぶや)く。その理人を見て


「そうですよ。これでまず"一組(ひとくみ)確定(かくてい)"です」


 と正火斗は()べた。見返す理人に


「林有里子の両親は"白吹の呪いを作る側"です。間違(まちが)いありません」


 と断言(だんげん)した。そしてすぐに桂木に


「林有里子の連絡先は?」


 と聞く。

 桂木は首を振る。


「………… ごめん。これ以上根掘(ねほ)葉掘(はほ)り聞けなかった」


 風晴は 桂木の意外(いがい)な面を見た気がした。本当は女性への押しが弱い。軽口(かるくち)も叩かない。


「──直接 林有里子さんのご両親にはいけないですけど、林有里子さんと、()()秋月未来(あきづきみく)さんは職場で先輩後輩みたいですよ。

 僕とのトークタイムで、何回も"林有里子先輩林有里子先輩"って言ってたんです。僕は一言(ひとこと)(のが)さないように聞いていたので、同姓同名でない(かぎ)りこの(つな)がりは確かだと思います!」


 神宮寺のトークタイムは思わぬ成果(せいか)をもたらした。

 水樹の星形キャンドルも役立ったというものだ。

 神宮寺はニマニマしながら


「いやー、これはもう、連絡して再会しかないですよね!! 秋月さんと!!」


 と幸せそうに言った。



 誰もが──神宮寺が聞いてくる内容については不安を覚えた。

 彼は林有里子先輩とその両親についてまで話を(みちび)けるだろうか。

 秋月未来の顔だけを見つめてうなずいている姿が皆の頭の中で思い(えが)かれていた……








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