065 明日からの激戦
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。親が大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○橘信蔵・華蔵家執事。
○山原海・華蔵家料理人。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
透子の部屋の前の廊下で風晴と話した後、正火斗と理人が今度は透子の部屋にノックをして入っていった。
少し気になりはした──が、風晴は風晴でやるべきことを見つけていた。
そして彼は 再び華蔵家の厨房にお邪魔した。
正火斗のリクエスト(?)もあって、夕食を親子丼にできないか、料理人の山原海に相談してみたかったのだ。
食材の都合やメニューの兼ね合いもあるだろうからと、風晴はかなり恐る恐る提案した。必ずしも今夜でなくとも、別の日でもいいと覚悟さえしていた。が、意外にも山原は喜んで受け入れてくれた。
「いやぁ、さっき透子様に持っていく分を作っていただろう? うまそうだなぁって思ってたんだよね」
と、丸みのある顔の彼はにこにこして言った。
こうして、夕食の献立は親子丼に決まった。
山原は洋食専門のようだし、自分は所詮は素人だ。2人は無理せず"めんつゆ"を使うことにした。最近の市販のたれやつゆは とても味よくできている。
鶏肉を一口大にカットして、玉ねぎを切る。みつばは無かったが、大葉の千切りと青ネギで代用することにした。鶏肉と玉ねぎを水を加えた めんつゆで煮込む。
鶏肉に色がつく程度に煮込んだら、といた卵の半分を入れて少しまた煮る。仕上げる直前に残りの卵を入れるとふんわりとした親子丼になる。
味噌汁は大根としめじとわかめ。これにキュウリと ゆず白菜のお新香をつけた。
作っていたら、トレイに小丼をのせて持ってきた橘が風晴に
「透子様、召し上がられましたよ」
と教えてくれたので、風晴と山原は笑みを交わした。
夕食の席でも親子丼は好評だった。
「安心する味です…………!」
と椎名は噛みしめるような顔をして言って
「桜田くんのご飯、また食べれて嬉しいです!」
と風晴に向かって言ってくれた。
「うわぁ、本当だ。美味しいこれ。もう料亭の味」
と浅倉は大絶賛だ。風晴は
「違う違う。めんつゆが偉大なだけ」
と訂正したが、
「玉子がトロッとしてて凄く美味しいよ」
「桜田の料理だけは認めるわ」
と秀一や水樹も褒めてくれた。
「夏休みのケーキも売れそうでしたよ」
「そうそう。今度は甘いもの頼む! マブダチ!」
神宮寺が前のケーキを褒めてくれて、最後に桂木がそう言ったので、風晴は
(こいつ紅白饅頭食べてないのかな……)
と気になった。チラリとだけ椎名を見て、あとで聞いてみようと思った。
理人までしみじみと
「うん、美味かったよ。いいよね、親子丼て」
と食後に言った。
正火斗だけは、食べ終わっても全く違うことを口にした。
「水樹に確認したが、みんな今回の滞在を30日までにしているんだろう?」
テーブルに着いている、ミステリー同好会メンバーと聖と風晴は皆、頭を上下に動かした。
「残りは4日。──少なくとも明日から3日間はフルで動いてくれ。とにかくこの白吹村村民の情報が欲しい。それで"白吹の呪い"を人為的に作っている連中をあげて帰るつもりだ」
空気がピシリと締まった気がした。
「連絡先を交換している者達はできれば今夜にでも連絡をして──クリスマス・パーティーで知り合った人達と明日会ってほしい。
車については午後に理人さんに運転手の手配を頼んだ。
会う人間のいないものは、洞窟の所有者である葉崎達哉の親族に話を聞きに行く。
それから、冴木拓眞の母親」
「待って待って。クリスマス・パーティーで知り合った人には、一体何をきいたらいいの?」
質問は浅倉だった。
「12月24日にこの洋館で気づいたことはなかったか。冴木拓眞については特にだ。
浅倉はトークタイムで冴木が誰かと会っていたのを本人から聞いたと言っていただろう? その相手が分かれば1番いい」
正火斗は他のメンバーに向けても言った。
「踏み込めるなら"白吹の呪い"や、華蔵家を理人さんが自分の代で終わらせる予定のことをどう思っているか。不穏で過激的な連中もいないかまで聞いてほしい──が、殺人まで起こす人間が混じっていることを忘れないでくれ。
相手に聞く内容は、聞いている場所と状況を考えて判断してほしい」
正火斗は無駄な説明まではしなかった。
彼はミステリー同好会メンバーのレベルの高さを信頼している。
正火斗は桂木に視線を向けた。
「桂木はもう、クリスマスパーティーのトークタイムで林有里子と話したんだろう?
彼女は 小学6年生の時に姿を消した いきさつを、一体どう言っていたんだ?」




