060 事件のいきさつを
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○橘信蔵・華蔵家執事。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○松下寿明・喫茶店・寿店長。
大道正火斗は病院と警察にまでは華蔵理人だと偽ったりはしなかった。
ヘリコプターの件は理人と病院理事長の間で話し合われたが、直前に妹の心配をした彼が行くのをやめて 松下寿明が変わりに行くことになった──とした。
正火斗は友人達が心配でついて行った1人に過ぎず、ヘリコプターで上空を探していたら……助けを求めて真淵聖をおぶって雪原に出て来ていた桜田風晴を 運良く見つけた。
そして救助に近づき、足を怪我している聖のために正火斗は縄梯子を降りた。直後に雪崩が起こってしまったが、間一髪2人を助けて戻ってこれた──と。
これらは、全て何かあれば表向きの公表はこのようにしようと打ち合わせがされていた。
病院や警察には、松下の口から説明がされた。
正火斗、風晴、聖は空いていたベッドが3つの一室におさまり、一泊入院することに決まった。
様々な検査を到着後はまず され────昼近くになると、聖と風晴は警察から聴取受けた。
正火斗は点滴を打っていたが、隣りのベッドだったので当然聞くことができた。
病室には精神科医も立ち会い、聖と風晴は警察に全てを話した。
衣装室での白い狐のお面の者達の襲撃──それは少なくとも4人いたこと。
洞窟に置いていかれた時に聞いた会話と複数の足音。会話からは3人いることが明確で、中年くらいの男性が1人と女性が2人だったこと。
それから、足音からは5人くらいの気がした──と話した。
時刻の感覚は全く不明だが、目覚めてロープを切り冴木のもとへ行った時には──彼はすでに死亡していて体が……死後硬直を起こしていたこと。
右の胸の下から腹部にかけて血に染まっていたこと。
風晴は自分達が助かるために──冴木拓眞からジャケットや靴下、靴を脱がせたことも話した。かすかだが声は震えた。
風晴や聖──正火斗もだが、当然今は病院着になっていた。
冴木の衣類と靴、冴木の血がジャケットからうつった風晴のセーター、そして折りたたみナイフは警察が持っていくことになった。
この話が出たとき、正火斗は気持ち的には警察をぶん殴ってやりたかった。確実に血圧はまた上がってる。
なんとか押しとどめたのは、状況的には警察のすることは仕方がないと理解はできたからだ。
冴木の傷の凶器は不明で遺体はない。風晴の服に血がついているのでは……どうしようもない。
それに、調べればむしろ風晴の無実は確定する。それでも──彼が今そんな扱いを受けるのは心底腹が立った。
一緒にいた精神科医は聴取が終わると言ってくれた。
「正しかったんですよ、桜田くん。そうしなければあなたも真淵聖くんも助かっていない。
冴木拓眞さんも分かってくれます。あなた方がこうして助かったことで、彼の発見も早まるんですから」
それを聞いて風晴は、帰り際の警察に質問した。
「冴木さんのご遺体は……いつ洞窟から出せるんですか?」
1人が、少し首を振ったが答えてくれた。
「山側の穴は、やはり雪崩で埋まっているのが確認されてる。今夜も天気は雪だし、あそこは二次災害の危険もあるから近づけない。
所有者の許可を得て、扉の錠前を壊して捜索に向かうと思うね。……時間は少しかかるよ」
そうして警察達は出て行った。
昼の病院食を食べて、午後は3人はひたすら眠った。
着替えやマイナンバーカード、財布、スマートフォンを、橘と届けに来た秀一と水樹に気付かないほどに。




