058 白銀の牙
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○松下寿明・喫茶店・寿店長。
それは静かに始まった。
地響きのような音がしてあちこちに振動が走る。
雪原の上にいた自分にも。
────怖い
世界が崩れて来るような気がして
「走れ」
もはや何をしているのか認識も無いが、正火斗に手を取られて立ち上げさせられた。走りながら、自分はスノーシューを脱げきれたのだと気付く。
走ると言っても、足は雪に取られ、埋まった。
正火斗もだったが 2人共それでも前進した──少しでも。
ヘリコプターの音は大きくなり 頭上に近づいた。でも背後から迫る音も感じて焦りと恐怖に煽られる。
「振り返るな……!!」
正火斗の声が頼りだった。
眼前に現れた黄色と白の縄梯子に必死に手を伸ばす。
────つかんだ!
すると上空からも
「いそげいそげ!! 早くこい!!」
と声がかかった。
風晴は必死に登った。
自分が上がらなければ、聖と正火斗も遅れる。
下が見れない。とにかくひたすら上を目指す。
だが足下から正火斗が
「上げてくれ!!!」
と叫んだ声はした。
ヘリコプターが確かに上昇したその時──
細やかな雪の白煙が風と共に自分の下を通ったことを風晴は感じた。彼の顔にもその小さな冷たい粒子は届いた。
風晴はヘリコプターの機体にまで到着したが、下を見て
「正火斗!! 聖!!」
と大声で呼んだ。
霧のような雪煙に2人の姿が確認できない……
まさか──
ヘリコプターが機体を立て直し一気に上昇した。
白くはなっていたが 上げられた縄梯子には確かに
正火斗と聖は いた────────!!!!
「やっった!!!!!」
誰にともなく、広がる青空に向かって風晴は叫んだ!!
「「ぉお────ぅいい!!!!」」
ヘリコプターに乗っていた松下とパイロットも 言葉にならない歓声を上げる。
下からは正火斗の冷静な声がした。
「早く上がれ風晴。喜びすぎて手を離さないか、危なっかしくて見てられない」
風晴は素直に従った。あながち的外れでも無かったからだ。────危ない危ない。
風晴、聖、正火斗がヘリの機内に入り、その扉も閉められた。
「いやぁ……凄いよ君達!! 映画みたいだったよ!!」
松下はまだ興奮している。聖は閉まったヘリコプターの窓から自分達のいたところを見て
「凄い……」
と改めて自然の力の規模に驚いていた。
正火斗は足の悪い聖に覆い被さるようにして 縄梯子につかまっていた。そのために全身が真っ白になり 今はそれが濡れだしていた。
風晴はジャケットを彼にかけようかとその前を開けたが
「怪我をどこかしていた?」
と正火斗にジャケットをつかまれた。
見ると裏地に赤黒い染みがついていて、風晴のセーターにもそれはうつっていた。
「大丈夫。オレのじゃなくて──冴木さんのだから、これ。冴木さん血を流して……死んでいた。…………それで、ジャケットを借りたんだ」
風晴の説明に正火斗は自分の額に手を当てた。
「大丈夫じゃないだろ──それは」
あの時の風晴を襲った感情を見透かされた気がして、彼はうつむいた。
「本気で思うんだが……」
正火斗は真剣に言葉にした。
「もう会うのやめないか? ───いろいろと心臓に悪い」
風晴は冗談だと思った。
「お互い様だろ、それは」
そして彼は笑った。
笑ったなら冗談と思われていい──
そう思える自分に、正火斗は頭を抱えたくなった。
ここまでお読み頂きまして誠にありがとうございます。
また、7月22日の大量投稿期間を追って頂いた方々大変ありがとうございます<(_ _)>
これからこそが推理と解決で、内容はまだまだですが、想いを込めたシーンを書けて作者として感無量です。
リアクション、ブクマ、感想等頂けましたら大変嬉しいです!と書けます!ʕ^ᴥ^ʔ頂けましたら励みになります♩
先が長いために、感想欄を再び閉じることもあるかもしれませんが、その際は申し訳ありませんm(_ _)m
8月下旬完結予定の作品です。
完結前には(閉じたとしても)感想欄を必ず開ける予定です。
好きにやらせて頂きまして、その作品を読んでもらっていることには感謝しかありません。
いつも本当にありがとうございます。
引き続きよろしくお願い致します<(_ _)>
シロクマシロウ子




