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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第1章 白き呪い

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004 白銀の闇の始まり2

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。

 



 洋館の当主華蔵理人(かぐらりひと)燕尾服(えんびふく)姿の老紳士に


(たちばな)豊子(とよこ)山原(やまはら)それに拓眞(たくま)も呼んでくれないか」


 と声をかけた。

 そして、彼自身はミステリー同好会メンバーを連れて広間に場所を移した。

 そこはいわゆるローテーブルや長いソファが向かい合うように配置されていて、10人程度で話合うには丁度よい場所だった。

 理人は奥の1人掛けソファに座った。


 ミステリー同好会メンバー達も各々が席に着いた。

 すると後ろで閉じられていた扉がスッと開き、3人の人間が入って来た。


 1人は橘よりもまだ老いている白髪の老女だが、髪をスッキリとまとめてシャンとしている。いわゆる、メイドのような黒いロングワンピースを来て、白いエプロンをしている。

 もう1人は、太った中年の大柄な男性で、まんま白いコックの服装だ。

 そして、最後に背の高い若い男性が入ってきた。20代前半だろう。短髪でいかにも鍛えてあるかのような体型だ。入ってくるなり、その人物だけはニカッと豪快(ごうかい)な笑みを浮かべた。


「帰ってきたんだな、理人、透子(とうこ)ちゃん」


「会うのは10年振りでも久しぶりって感じは全然ないな。散々(さんざん)リモートしているからな、拓眞とは」


 理人はだいぶ(くだ)けた感じで話している。同級生か何かなのだろう。


「こんにちは、冴木(さえき)さん」


 日本人形のような透子も微笑んで、頬には人間らしい赤みも差したようたように見えた。


 しかし親しげな挨拶を交わした後は、冴木と呼ばれた若者も他の2人の横に使用人然として立っていた。


 

 そして 理人は話し出した──



華蔵(かぐら)家は、遥か昔は皇族の儀式を執り行う日の天気を占ったり、重要な催事(さいじ)の日に悪天候にならぬように祈祷(きとう)を捧げる裏神事(うらしんじ)の役職だったと伝えられている。

 その特別な役職は続いて、日本政府からも要請を受けることがあったそうだ。

 そうした繋がりから、重要人物達との交流や もてなしのために、(すで)に地主だったこの白吹(しらぶき)の地に先々々代当主がこの洋館を建てたのだそうだ」


「"裏神事"なんて言葉、初めて聞きました……」


 浅倉奏衣(あさくらかなえ)が一言()らした。

 理人は面白(おもしろ)そうに笑う。


「表には出ない言葉だから──裏なんだよ。実際、君達の誰かがこの話を広めて"裏神事職はあるんですか?"なんて外部の人間に尋ねられても、僕らはみんな"そんな言葉知りません"と言うだろうね。

 ここはそう言うところなんだ」


「大丈夫です。僕らは守秘義務(しゅひぎむ)を徹底しています。──言われていたんです。前の顧問(こもん)に」


 一瞬、神宮寺の言葉にミステリー同好会メンバーには(なつ)かしい教師が思い出されたが、理人は気付く訳もない。話は進められる──


「何にせよ、ここはそうして華蔵の神通力によって栄えていた土地だ。だが当然それは衰退(すいたい)していった。

 科学の力で気象予報の予測値は上がったし、逆に温暖化のせいか異常気象は(ひど)くなって祈祷どころではもう(まぬが)れない。

 白吹(しらぶき)村でも最近は水害や雪害が頻繁(ひんぱつ)で深刻な(ほど)さ」


 彼は続けた。


「僕や透子自身も(あが)められていても限界を感じるんだ。かつての地主や当主と言っても、今の時代はもう実質は自治体や市長や知事が治めている。──僕達はただのお飾りさ。

 それで、このアンティークの調度品が装備されている館ごと売り払うことにしようと思った。そうして、白吹や華蔵の全ての風習を終わりにしようと。

 ……だが一つだけ気掛かりがあったんだ。僕と透子の人生において──だ」


 理人が一拍置いたとき、水樹が言った。


「それが “白吹の呪い”?」


 正火斗も頭の中では思ったことだったが、あえて問いたくないことだった。

 深入りは危険だと、本能が告げていた。


 案の定、理人と透子は同時にうなずいた。






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