003 白銀の闇の始まり1
2025年12月23日午後──
一足早く洋館に着いていたミステリー同好会メンバー達も やはり執事風の老紳士に迎えられて入館したのだった。
彼らが割り当てられた部屋でそれぞれに荷物を整理し、その後玄関ホールで集合している時──丁度ノッカーを叩く音が響いた。
水樹は 正火斗に内緒で呼んだ風晴と聖が到着したものと、喜びいさんで扉を開けた。
が──そこにいたのは和装の美しい若い男女だった。外套を着てはいるが、着物であるのは一目瞭然だ。
男性はサラサラとした短髪で前髪は切りそろえられている。そして秀麗な品の良さが滲み出ていた。
女性は漆黒のストレートの髪で やはり前髪が切りそろえられており、まるで日本人形のように可愛らしかった。
水樹は予期せぬ相手に驚いていたが、そこにあの老紳士が小走りで来てお辞儀をした。
「遅れまして申し訳ありません。理人様、透子様」
事態がよめないミステリー同好会の中で、安西秀一は尋ねた。
「あの……この方達も宿泊客ですか?」
老紳士は背筋を改めてピンと伸ばし手をそえて、やってきた若い男女を紹介した。
「こちらは華蔵理人様と妹の透子様でいらっしゃいます。理人様はこの館のご当主様でございます」
「現当主ですか?」
正火斗は思わず聞き返した。これに老紳士は深くうなずいた。
水樹からは、この洋館そのものをすでに母親である大道真夜呼が所有しているように聞いていたからだ。
だが ──違うのだ。
すると水樹が
「……そうだ。そう言えばお母さん、"仕事関係の方の息子さんも来るからちゃんと話を聞くように"って言ってたんだ。"そうしたら、クリスマスパーティーもできるはずよ"って」
と言った。
正火斗は途端に嫌な予感がした。理人に瞬時に尋ねた。
「母と──大道真夜呼とあなたの間で何か契約や取り引きがされている?」
理人と透子は外套を老紳士に渡している。
「大道正火斗くんだね? すぐに分かったよ。真夜呼さんが言っていたんだ。僕達と同じように見目麗しい兄妹だから、きっと役に立ってくれると。それに一緒に来るメンバーも謎解きが得意な頭の良い子達のはずだ……って」
極力表情には出さないようにしたが、正火斗は拳を握り締めていた。すぐ背後だった秀一はそれに気付いた。
「ええと……つまりどういうこと?」
桂木慎は困惑して言った。
「私達、何かやるべきことがあって招待されたってことでしょうか?」
1年の椎名美鈴だ。
「クリスマスパーティーは……できないんですかね?」
やはり1年の神宮寺清雅は、ひどく残念そうだ。
「クリスマスパーティーは是非とも開こう。そもそもここでは毎年、全開放して大々的に開催しているんだよ」
神宮寺や水樹、浅倉は単純に瞳を期待に輝かせた。
桂木や椎名、秀一はむしろ不安を感じた。
正火斗は完全に警戒した──理人の次の言葉を。
「ただし条件があるんだ。僕と透子には"白吹の呪い"がかかっている。それを解くのに手を貸してくれないか?」
ミステリー同好会一同は"呪い"という聞き慣れない言葉に目を丸くした。
すでに正火斗は後悔していた。
水樹に母親がこの話をしてきた時に、もっと疑問を持つべきだった──と。
何故見逃したのだろう
自分は本当に馬鹿だ
あの女が関わってくると碌なことがないと知っていたはずなのに
※ラスト一行の
"碌なことはない"は"陸なことはない"との表記の仕方もあるようです。
一気に登場人物の名前がきましたから、次回より登場人物紹介をつけます。引き続きよろしくお願いします。<(_ _)>




