056 その陽射しのもとで
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
真淵聖はすっかり明るくなった外の世界を感じた。
垂れ下がったブルーシートも うっすらと通す程の強い陽射しだ。
(外に出てみようかな……)
そう思ってブルーシートに手を伸ばすと、寄りかかっていた風晴の頭が揺れた。
「……ん…」
風晴がゆらりとしながらも、自分で身体を起こしたので聖は
「ごめんなさい。…………起こした」
と言った。風晴は聖のその声で現実を思い出す。
「……大丈夫。物凄くよく寝た。夢も見なかった」
本当にそうだった。自分の図太さに感心さえする。身体だけはやたら動かしていたから かもしれないが。
「外…….凄く明るい」
聖の言葉にブルーシートを見上げると、確かにそれが分かった。
「出てみるか」
と風晴は、雪に埋め込むことで留めていたブルーシートを引き下ろす。
陽射しが一気に2人を照らした。
「うわ……凄く天気いいな」
片手で遮りながら呟く。
2人共かなりの時間座りっぱなしだったので身体を伸ばしたかった。それは足を怪我している聖もで、風晴は聖を支えて一緒に外に出た。
雪原の雪に足はかなり埋まるが、スコップで掘らなくてもなんとか……進む、その時だった。
「風晴! 聖!」
聞き覚えのある声に呼ばれて顔を上げると、やはり──正火斗がいた! でも、それこそ夢ではないかと不安になるくらいだ。
ここに この場所に いるなんて──
「「正火斗……!!」」
彼は息を切らしていたが、スノーシューのおかげか足の運びは速かった。あっという間に風晴と聖のところまで来ると、呆気に取られている2人を抱き締める。
「……良かった。……2人共無事で……!」
風晴も聖もとにかく嬉しかった。正火斗の存在の安堵感は大きい。
やがて背の低い聖が頭を下げて3人の輪から抜けたので、風晴は
「聖?」
と不思議に思った。
「よけた方がいいかと思って……」
瞳を合わせず2人に聖は言う。正火斗は
「遊んでる場合じゃないんだ。実は時間がない。冴木さんは?」
と風晴の作った雪穴の方を見ながら尋ねた。
──風晴の表情は瞬時に沈んだ。
「洞窟の奥。…………冴木さんは……死んでる」
自分の予測していない事態が何かあったのだと正火斗は察した。それでも──今は話を聞いている時間も無い。
風晴の腕を掴んだ。しっかりと。彼も正火斗を見上げた。
「──風晴、目の前の洞窟上の斜面は雪崩の発生する可能性が今朝は高いんだ」
風晴も、聖も正火斗の話に瞳を見開く。
「理人さんは今日は雪崩が起きると断言もしている。
できるだけ早く──ヘリで来たが、ヘリでは近づけなかったんだ。音が雪崩の引き金にもなり得るから。だから、早くここから離れなきゃならない!!」
「わ、わかった……行こう!!」
ようやく状況を理解した風晴は歩きだそうとして、その足が雪に埋まる。
正火斗はリュックを下ろして、中から出したスノーシューを風晴に渡す。
「これをブーツに着けて。歩きやすくなる」
正火斗はさらに、自分のジャケットを脱いで、毛布をまとう聖に渡した。
「これを着て──靴紐を縛って。できたら おぶる」
聖も、受け取ってすぐに動きだす。
風晴が
「正火斗、それで寒くない?」
と聞いた。彼は答えた。
「駆け足できたようなものだから熱くて、これで丁度いいくらいだ───問題はそこだが」
眩いほどの日光を白い雪達は反射する。そして、斜面は覆うものもなく、一面にその光を浴びていた────




