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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第7章 白銀との戦い

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055 その陽射しを浴びて

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


松下寿明まつしたとしあき)・喫茶店・寿店長。

 



 2025年12月25日午前7時



 朝日は(のぼ)った──

 陽射しが雪崩(なだれ)発生(はっせい)(あた)える影響(えいきょう)を考えると憂鬱(ゆううつ)だが、それでも晴天はやはり救いでもあった。風や視界の心配は(まった)くいらない。救助そのものへの集中ができる。


 2時間弱で正火斗は松下や理人、秀一と計画を()り直した。地形から安全性を最優先にしながら──だが時間内に戻ってくることが何よりだった。雪崩が起こってしまえば、生存率(せいぞんりつ)圧倒的(あっとうてき)に下がるのは明白(めいはく)だ。


 行く前に浅倉に


「正火斗……戻って来てね」


 と言われた。


「彼らを()れて戻ってくる」


 としか返事ができなかった。

 正直言って(こわ)かった。


 雪山や雪崩が──ではない


 これから行く場所で()き付けられるだろう 現実が怖かった。






 どこを探してもいなかったら?


 それは…… まだいい


 どこかでいて 生きていてくれているのかもしれない


 力を貸してくれた(すべ)ての人に間違(まちが)いを(あやま)って……


 また探せる




 だが違う事実が待っていたら?


 ………………………………


 ………………………………


 思うかもしれない


 もうここで自分も()まろうか── とさえも




 何故(なぜ)そこまでなのかすらも 今は 分からない




 分かりたく…ない





 自分の人生で唯一(ゆいいつ)大切だったものは

 血の(つな)がった半身とも言える

 複雑(ふくざつ)で傷つきやすい妹だけだったのに




 秀一には言ってこれた 


 "水樹を(たの)む"────と




 それが言えたから……かも……しれない









 (がけ)などを登るわけではないし、迅速(じんそく)さが求められるので装備(そうび)最低限(さいていげん)だった。それでもそれなりの重さはある。

 直前に松下は


「やっぱり僕が行こうか?」


 と言ったので、人が良い彼とそのタイミングに思わず微笑(ほほえ)む。

 もう縄梯子(なわばしご)に手をかけて、降りていく──まさに直前だったのだ。

 正火斗は首を()って


「今から松下さんに装備を移していたら それだけで時間がかかります。上空から指示を下さい。──じゃあ」


 そう伝えて縄梯子を降り始めた。

 ()れる縄梯子をしっかりと(にぎ)り、足をかけた体重と自分の身体で安定させる。()れない動作に慎重(しんちょう)に一つ一つ降りた。

 雪上に立つと、早速(さっそく)の雪の中に登山(とざん)ブーツが()まる。


 新雪だからか それとも

 もう 溶けてきてる……?


 上空のヘリコプターは遠のいていくが、見送る時間等はない。正火斗はリュックサックを下ろして しゃがんだ。

 リュックからは"ワカン"とも呼ばれるスノーシューを取りだす。昔のいわゆる"かんじき"だ。登山ブーツに着けると雪道で埋まりにくくなるのだ。


 手袋を(くわ)えて(はず)して急いで取り付ける。


 陽射(ひざ)しの強さは雪の表面温度を上げている。

 雪が溶けて水分が増えると──重くなる。

 重さは当然(当然)、雪崩の原因(げんいん)になりうる。



 雲一つない青空を

 こんなに(うら)めしく思ったことも無かった。









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