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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第7章 白銀との戦い

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053 待つ者達

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


 



 風晴は雪穴(ゆきあな)を完成させ、彼と聖は雪穴(そこ)無事(ぶじ)におさまることができた。

 始めにブルーシートを持ち込み、1番下に()いて(あま)った部分は折りたたみナイフで()いた。

 次に毛布を持ってきてブルーシートの上に二つ折りにして敷く。岩でもなくて水平で、それだけでもうかなり快適(かいてき)だった。

 裂いた部分のブルーシートは入り口の上から()らして風が入り込まないようにした。


 (せま)い雪穴だが間違(まちが)いなく……もう寒くなかった。

 身を()せ合っていれば ちゃんと暖かい。


 風晴が薄着(うすぎ)の聖にダウンジャケットを脱いで(ゆず)ろうとしたが、一枚の毛布に(すで)に くるまっている聖は首を()った。


「風晴……とっても大変だったでしょ。少し休んで……眠れたら眠った方がいい。僕が起きてるから……」


 聖は続けた。


「救助が来ても……僕が(こた)えて風晴を起こすから……大丈夫」


 聖の(たの)もしい言葉に──馬鹿みたいだけど風晴は瞳が(うる)んだ。確かにヘトヘトだった。ありとあらゆる意味で。

 聖は


「これもポケットにあった。……どうぞ」


 と風晴にポケットから何かを取り出して(にぎ)った手のまま出した。

 風晴は何かと思いながら、その下に右手を広げて差し出す。

 ────ポトン と彼の手のひらに落ちたそれは、一粒の飴玉(あめだま)だった。


 風晴は思い出した。洋館に到着(とうちゃく)して広間でみんなと再会した時、水樹が聖にあげたものだ。


「いいのか? 聖が食べなくて。──貴重(きちょう)食糧(しょくりょう)かもしれないのに」


 風晴がそう聞くと聖は


「大丈夫。……水樹さんにまたもらう……」


 と言ったので 風晴は本当に泣きそうになった。


 軍手を(はず)して、飴玉の袋のギザギザに爪をかけて開けた。緑色の飴玉を口に入れると、その甘さに唾液(だえき)が出て(のど)(うるお)す。味はとにかく美味(うま)くて、その何もかもを肉体は必死(ひっし)吸収(きゅうしゅう)する。が、味がメロンなのかマスカットなのか何なのかは分からなかった。分からなくても、かまわない。


「次に水樹に会ったら本当に()きつきそうで(こわ)い」


 折りたたみナイフと飴玉があまりに()(がた)くての発言(はつげん)だった。聖はあまり理解できないようで、不思議(ふしぎ)そうな顔をしている。

 それを見て風晴は笑った。


 こんな(ひど)状況(じょうきょう)でも──








 雪はすっかりおさまり風も無くなり、静寂(せいじゃく)()(わた)る。時折(ときおり) 鳥のような声はするが それも遠い。


 毛布はまだ1枚あったので、それは体育座りをして一緒にかける形にした。


「明るくなったら……来るかな? 救助」


 風晴が(つぶや)くように言った。


「……きっと。……正火斗が来るよ」


 聖の(まよ)いない言葉に風晴には笑みが浮かんだ。

 現実的には──正火斗とは言えまだ高校生で、雪山登山経験は多分(たぶん)ないだろうし、救助隊には参加(さんか)できてないだろう。──救助も 朝すぐとはいかないかもしれない……


 でも 風晴も信じていた。


 待っていれば必ず助かる


 ここで待っていれば きっと


 みんなも正火斗も助けようとしてくれるはずだ


「…………正火斗、無理してないといいな。変に責任(せきにん)を感じて……聖を助けなきゃってやってそう、あいつ」


 聖は少し変な顔をした。風晴の言葉は続く。


「コレって……"白吹(しらぶき)の呪い"にしようとしているんだろう? だから"当主"に告白された聖が(ねら)われた。……(ひど)いよな…」


「……かもしれないけれど……正火斗は…………風晴も(すご)く助けたいんじゃないかなぁ……」


 聖は続けるか(まよ)った。だいぶ迷った。かなり迷った。相当迷った。まあ少しはいいかと思った。


「…………………………………大切だから……とても」


「……………………」


 風晴がノーリアクションなので、聖は駄目(だめ)だったかと思った。悪いことをしたかと。間違えてしまった?


「風……」


 彼の方を見た瞬間(しゅんかん)、その頭の重みが聖の肩にかかった。




 風晴はぐっすり 眠っていた。










(お約束か……)


と聖は作者に思った。


              

   お約束でごめんʕ-ᴥ-ʔ←作者


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