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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第7章 白銀との戦い

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051 諦めない理由

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。

 



 ザクッ ──と また雪をかく。

 後ろに投げ捨て、またスコップをさす。

 風晴はそれを()り返す。





 (あきら)めるな!





 身体(からだ)のどこかからか怒りのようにそれは()いた。


 実際(じっさい)、怒りなのかもしれない




 ────諦めそうになった自分への




 怖かった


 動けなかった


 楽になりたかった


 あのまま寝転がって

 少しの寒さに()えていたら……

 きっとそれで終われていただろう



 でも 浮かんだのは



 自分の帰りを待っていてくれる人の姿だった






 ────母さん






 あなたはもっとも帰って来てほしい人を(うしな)って


 どれほど傷ついたんだろう


 悲しんだのだろう


 食事も取れずに()せていくのに

 それでも料理して息子(じぶん)には微笑(ほほえ)んでくれていた


 そんな あなたを ただ 見ていた


 子供の自分には それしか できなくて





 今だって まだ子供で (たい)したこともできないけれど



 これだけは分かる



 これだけは分かっている



 もし 自分が帰らなければ──




 あなたは 深く 深く 悲しむだろう


 立ち直れないほどに


 息すら 苦しいほどに


 もしかしたら……


 自分の記憶にある以上に





 だから





 帰らなければ と思ったんだ






 あなたに



 そんな痛みを与える 自分になんか なりたくない

 死んでも なりたくない



 それなら



 死なないように── 生きている今は 足掻(あが)



 それしか できないけれど

 それを頑張(がんば)るから






 あなたは 笑って待っていて








 ────父さん



 オレは父さんのようには ならない



 あなたもそれを伝えに来たんだと信じる



 オレはあの人のところに帰る






 父さんのようには


 悲しませない

 




 絶対に








 風はおさまり、落ちてくる雪はまばらになっている。

 ただ自分の息遣いと雪にささるスコップの音が……



「……晴? ……風晴!?」


 その中に 人の声が(かす)かに()じった。


 聖の声だ────!!


 スコップを置いて()け出す!!

 さっきまで話しかけても話しかけても返事のなかった相手の声がただ ただ嬉しい


 一度 雪に足を取られて 転びそうになる。


 体勢を(ととの)えた時には思わず笑みが浮かんだ。




 良かった 聖も生きてる




 ただ そのことの喜び


 この瞬間(しゅんかん)に 1人ではない心強さ


「聖!!」


 自分を呼ぶ声に(こた)えた。

 洞窟の中に駆け込む。








 帰ろう 聖 必ず


 オレ達は必ず 生きて帰る



 聖のお母さんだって 聖がいなくなったら

 きっとまた心が()んでしまう


 せっかく良くなってきているのに



 あの人達に会うために

 ここで終わりたくなんかない





 帰りたい




 帰りたい




 帰りたいんだ







 風晴が置いたソリの方を見ると、聖は立ち上がっていた。

 毛布の一枚だけはマントのように肩からかけている。


「聖!! 良かった!!」


 風晴が(はっ)した声は洞窟(どうくつ)(ひび)いた。

 聖はニコッとした──いつも通りに。


 それが嬉しくて抱きつく

 2人はただしばらく笑い合った




 1人じゃない

 1人じゃない喜び





 でも 風晴は分かっていた──


 自分を支えてくれているもう一つの者達を


 信じてる

 信じられる者達を







 きっと 助けようとしてくれているはずだ


 今夜 苦しい想いの中で

 頑張っているのは 自分だけじゃ……ない


 それはあり()ない



 秀一

 水樹

 桂木

 椎名

 神宮寺

 浅倉奏衣も きっと



 心配して


 探して


 助けようとしてくれているはずだ




 だから 強くなれる


 諦めないでいられる




 オレ達なら きっと できると信じる







 そうだろう?







 ────正火斗
















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― 新着の感想 ―
絶対に信じられる仲間って、強いですよね。
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