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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第7章 白銀との戦い

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049 サバイバルゲーム1

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。


◾️これまでのあらすじ

鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会した風晴と聖。

しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、24日クリスマスパーティーの後、風晴、聖、冴木の3人が洋館から連れ去られてしまう。目を覚ました時風晴は洞窟にいたが、見つけた冴木は血を流して すでに死んでいた…………!


 



 (ひじり)に、冴木拓眞(さえきたくま)の遺体から脱がせた靴下とブーツを()かせる。

 もしかして……と思って、冴木のダウンジャケットのポケットを探ると手袋も出てきた。聖にそれも身につけさせようとして、失敗して──気づいた。自分の手が かじかんできていることを。

 白い息を吹きかけて温め、聖の手はサイズの大きなダウンジャケットに収まっていることを確認して、自分がつけた。

 洞窟(どうくつ)内は風が走っている。気温が……(さら)に下がっているのを感じた。身体は動かし続けているけれども、このままでは朝までもたないと実感(じっかん)する。


 ──目を()ました時にここで話していた人達の言葉を思い出す──


 "(なま)(しろ)い東京の子達では、すぐにも死んでしまうだろうな"


 "朝は最低気温はマイナスだって。ここなら本当に冷凍庫になるから──仮に目が覚めて体を動かしたって……助からない。入り口には私達が(かぎ)をかけるし、出口は山だから。あの格好(かっこう)じゃ、そっちでも無理だろうね……"


 "…こんな若い人達を……。私は 嫌になるよ……"


 彼らが戻って行った声の方の反対を見る。確かにそちらにも道は()()ぐあった。


 出口はあるんだ。ただし、雪山に出る出口──


 風晴(かぜはる)は少しの時間 暗闇(くらやみ)の中で考えた。

 節電のために消していたペンライトをつけて、周りを丁寧(ていねい)に見る。今度は近くに行って棚もみた。

 だいぶ古くはなっているが──ブルーシートらしきもの、数枚の毛布、風晴にはよく分からないような工具の数々、傘や、やかんもあった。それから スコップ。そして色褪(いろあ)せたブルーのソリが立てかけてある。


 いけるかもしれない


 風晴は再び動き出した。








 ブルーのソリを引っ張り出してきて、ブルーシートを(たた)んで乗せた。その上にやはり畳んだ毛布を乗せて、そこに聖を寝かせた。

 足は出てしまうけれど、きっとこれでかなり寝心地は良くなったはずだ。

 ここで、風晴は聖からダウンジャケットは脱がせて自分が着た。

 聖の(ぬく)もりであったまっていた─それに身震いが逆に起こる。寒さで限界だったし、どうしてもこれが必要だった────2人で助かるために。

 聖には、冴木の手袋をつけて、残っていた毛布で包むようにした。

 風晴は、毛布を出した時に見つかった軍手をはめた。軍手は結構(けっこう)あったので(かさ)ねて二重にする。そして片手にスコップを持った。


 ────(すべ)ての準備が(ととの)った時、風晴はもう一度……


 冴木拓眞を見た。


 闇の中に──でも(たし)かにその人はいる。


「ありがとう冴木さん。オレ達、いきます」


 会釈(えしゃく)のようにだが、一礼(いちれい)した。

 込み上げる何かは今は無視(むし)した。




 また動けなくなってしまいそうで




 ()()()、スコップを持っていない方の手でソリの(ひも)を引いた。


 ソリが動かないのではないかと風晴は心配していたが、岩石の質が合ったのか予想よりもずっと軽快(けいかい)に引けた。段差(だんさ)に四苦八苦する部分もあったが、むしろ勢いづいて聖が落ちないかと手で(おさ)えて進むこともあった。


 とにもかくにも、風晴と聖は外の白い景色(けしき)が見える出口付近(ふきん)まで来ることができた。

 ハアハアと息をして風晴は(たたず)んだ。出口を見ると何故(なぜ)かホッとするものが人はある。


 この出口は、出ても遭難(そうなん)状態(じょうたい)なだけだとしても。


 風のあまりあたらない、安定した場所を探してソリを置いた。自分は出口に近づき、天気を確かめる。


 風はおさまりつつあり、雪も止み始めていた。



 ────いける



 スコップを持って外に()み出す。

 風晴はそこで ひと声あげた。


「東京の高校生じゃない。なめるなよN県白吹(しらぶき)村。──A県灰畑(はいはた)町だって毎年雪は降る!!!」


 彼はスコップを()き立てた。








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