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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第6章 聖夜の悲劇

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048 折れる心 それでも

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

 



 白骨(はっこつ)死体を見たことはあっても、数時間前まで生きて動いて笑っていた人が、もうそうではなくなっているのを見たのは──風晴は初めてだった。


 叔父(おじ)桜田(さくらだ)孝臣(たかおみ)梯子(はしご)からの転落で死んだが、その遺体は風晴は見なかった。


 重々(おもおも)しい……黒々(くろぐろ)とした血も知らなかった。

 息が荒くなって、手と足がガクガクと震えた。


 刹那(せつな) 自分はもう立てないと思った。


 手も足もこんなに震えていて力が入らない。

 岩石からは冷たさが()い上ってきて、体温も、希望も(うば)()っていく。


 何もかもが無理な気がした。


 ここでもう死ぬしかないんだ──と



 この人のように








 ふと──さっきまで見ていた夢を思いだした。




 どうして父さんは来たんだろう……




 ぼんやりと そんなことを思う。




 クリスマスだから?



 オレを起こすために?



 オレに生きてほしいから?



 自分は……死んだくせに……



 死んで あんなに…………




 その時 ()かんだ光景(こうけい)──

 それが 風晴の瞳に 光を戻した


 視界(しかい)に 横たわる 聖が入る

 聖に焦点(しょうてん)を当てる


 冷たい岩石に置いた右手に力を込め、左手は震えを止めるように左膝(ひだりひざ)(おさ)えて上体を起こす。両足に力を込める。

 ──立て!! しっかりしろ!!!!


 自分を怒鳴(どな)りつける。

 左手は膝から(すべ)ったが、バランスを取って右手はちゃんと上半身を(ささ)えた。

 膝の震えは完全(かんぜん)には おさまらない。それでも無理やり前に出して歩き出した。

 ────聖の元へ。


 行ってしゃがみ込み、息をしていることを確認(かくにん)する。そして、身体が(ひど)く冷たいことも。

 聖は薄着(うすぎ)だった。温めなくてはいけない。


 風晴はポケットから金森香世(かなもりかよ)からもらった『貼るホッカイロミニ』を出して、聖のロングTシャツをめくると下の肌着(はだぎ)に貼った。

 それを貼りながら、話しかける。


「オレ諦めるところだった──ごめんな」


 聖から返事は無い。

 それでも風晴は言った。


「オレ達必ず帰るぞ、聖。帰らないと……」


 そこまでで言葉は止まる。

 聖をしばらくただ見つめてから────冴木拓眞をもう一度……見た。


 風晴は立ち上がり、冴木拓眞に再び…………彼の後ろから近づいた。

 (とど)かないだろう声を──それでも、かける。


「冴木さん。…………本当にごめんなさい」


 風晴はそうして、冴木拓眞の着ていたダウンジャケットを()がせた。本格的な防寒用で温かそうだ。それを聖にまず かけた。

 次に──また冴木の元に行き、彼のブーツと靴下を脱がせる。

 風晴は歯を食いしばった。



 ────何も 考えるな



 と必死(ひっし)に繰り返す。



 手を止めるな


 泣くな



 そんな時間も きっと無い





 生きて戻る




 生きて必ず帰る







 ただ それだけを 繰り返した。









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― 新着の感想 ―
ホッカイロミニがこんなところで役立つとは! いいぞ、風晴くん! 今は君だけが頼りだ!
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