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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第6章 聖夜の悲劇

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045 失われた鍵

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


橘信蔵たちばなしんぞう・華蔵家執事。

斉藤豊子さいとうとよこ・華蔵家女中頭。

冴木拓眞(さえきたくま)・華蔵家運転手。理人の同級生。

松下寿明まつしたとしあき)・喫茶店・寿店長。

 




「冴木さんから聞いていました。ここの近くに夏に(すず)しいと評判(ひょうばん)の────風穴(ふうけつ)のような洞窟(どうくつ)がある、と。この洋館から行方不明になった人達は、そこに運び込まれている可能性(かのうせい)があると思う」


 ワァッ と声が上がった。


 見当(けんとう)がついて みんな一歩前進だと喜んでいるのだ。だが正火斗は 苦しげな表情で続きを()べた。


「どこかで(やしな)ったり、(かく)したり、遺体処理(しょり)に……困らないためだと思う……」


 彼自身も言いたくない言葉ばかりだ。(のど)()まる。


「冴木さんは奥に行くほど涼しくなると言っていた。──冬に……(かり)に薬で眠らせたり、ロープで(しば)って洞窟に置いてくれば……凍死(とうし)することが……確実(かくじつ)だから」


 聞きながらみんなの表情も(しず)んでいく。言い終わるとすぐに又、正火斗は何かを振り切るかのように言葉を(つな)いだ。


「橘さん、運転ができるなら車を出してください。車が駄目(だめ)なら歩きでもいいです。洞窟の入り口に行きたい!」


 橘は


「運転はできます。しかし……あそこの入り口は……」


 と目を()らし言葉を(にご)す。

 答えを待つ正火斗には、松下が声をかけた。


「あそこの入り口は40年くらい前から(かた)い鉄の扉ができて、デカい錠前(じょうまえ)が2つもついている。行っても開けられないはずだ。

 僕らが子供の頃に通り道に使った穴も、とっくの昔にコンクリートで(かた)められたと聞いてる」


 正火斗は(めずら)しく感情的な声を上げた。


「誰かが今夜もそこに行って人間を3人置き去りにしてきている可能性はある!! ここから近くて、見つかりにくくて100年以上前からあり続ける──天然の冷蔵庫!

 扉の錠前の(かぎ)はどこです? 所有者(しょゆうしゃ)がいるんでしょう!?」


「正火斗くん……」


 理人の声だった。彼は妹のこともチラリと見て、気にしながらも──言った。


「所有者は……葉崎(はざき)家だった。さっき話に出た、母の高校の恋人だった葉崎達哉の実家だよ。

 鍵は達哉の父親が上着のポケットにいつも入れていたんだが、息子の達哉がある日その上着を着て出て行っていた。──それが1999年12月24日だ。

 そして彼は翌日の25日に行方不明届けが出てる。()()()()()()()()──」


 正火斗は理人の説明を聞いていた──呆然(ぼうぜん)として。


「その後……鍵は作られていないと思う。

 父が元気な頃、葉崎家ゆかりの人に鍵の話をしたら"山中側にも穴はあるし、安全のためにつけた扉だから閉まったままでいい"と……考えていたそうだ。

 それから、葉崎達哉の父親は今は痴呆症(ちほうしょう)介護施設(かいごしせつ)だ」


 ドンッ!!!


 その音の荒々(あらあら)しさに誰もが(おどろ)いた。


 正火斗が両拳(りょうこぶし)をテーブルに叩きつけていた。

 (くや)しそうに唇を()んでいる。


 秀一も一拍(おく)れてだが気がついた。他のミステリー同好会メンバーも──次々に。



 正火斗の仮説(かせつ)はかなり正しい可能性が高い。

 1999年に葉崎達哉が父親の上着と共に連れさられ、その時犯人達が、彼の上着から洞窟の鍵を見つけた。

 そして、彼は()()()()()()()開けられた葉崎家所有の洞窟に……置かれたのだろう。

 誰も近づけない冬の間は、鍵を持つものだけが行けるのだからこの上ない隠し場所だ。しかも、動けないようにして放っておけば確実に死なせられる。


 春になれば鍵を使うなり入山するなりして、あとは雪が()けた山の中に()めてしまえば──

 時が()ってたまたま入り口の扉横に穴があき、子供達が夏に涼しさを求め探検(たんけん)に通るようになっても、その頃には何も見つからない。



 問題は() 所有者には鍵は無く、鍵を持っている者は決してすすんでは現れないだろうことだ。



 当然(とうぜん)だ──鍵を持っている者は、葉崎達哉連れ去りの誘拐犯であり 殺人者なのだから。



 叩きつけた拳が(ふるえ)えないようにすることに、正火斗は集中する必要があった。




 今このあいだにも



 冴木拓眞

 真淵聖

 桜田風晴



 3人の命が(おびや)かされているかもしれない




 冷たい──洞窟の中で……










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