042 状況の整理1
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○橘信蔵・華蔵家執事。
○斉藤豊子・華蔵家女中頭。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
○松下寿明・喫茶店・寿店長。
館内をくまなく探しても、やはり冴木拓眞、真淵聖、桜田風晴の姿はどこにも無かった。
黒電話で駐在には連絡したが、まず屋敷にさえも今夜は吹雪で向かえないとのことだった。"朝天気が回復してから行くので、あちこち触らず現場保存をして休んで下さい"と言うようなことを言われた。
冗談じゃない──と正火斗は思った。
華蔵家の中に今いるのは──
華蔵理人、透子。それから正火斗とミステリー同好会メンバー。あとはガラポン抽選機で宿泊を引き当てた松下寿明だ。
斉藤豊子は普段は夜は家に帰るが、ミステリー同好会メンバーや松下達──宿泊客が多い時期ということで今夜は華蔵家に泊まっていた。
そして執事の橘信蔵も──彼はここが住居で一室を与えられているので──いた。
いるメンバーは全員が起きてきてくれた。
時刻は午前1時を回っていた。
誰もほとんど寝ていないのだが、少なくとも正火斗とミステリー同好会メンバーは眠気も覚めていた。人が3人いなくなり、2人は大切な友達だ。椎名や水樹は涙目だ。
正火斗が一度自室に着替えに行っている間に、華蔵理人は松下寿明に自分と透子が本物だと打ち明けた。偽っているのは限界だし、それどころではないと判断した。
松下家は──喫茶店を田舎で開業してみたくて東京から来た松下の祖父の代からで、昔からの白吹村人でもない。それがむしろ話しやすかった。
透子は目に見えて憔悴していた。
だが、着替え終えてみんなの集まっている2階の休憩室に戻って来た正火斗は、理人の隣に座る彼女に言った。
「話を聞かせて下さい、透子さん。お願いします。今夜何があったのか──。いくらかでも、いなくなった彼らの手がかりになるかもしれないので」
「…………はい」
酷く力無い声だったが 透子はなんとか答えた。
理人はその様子を見て
「豊子、コーヒーをみんなに頼む。砂糖をたっぷり入れたヤツを。ミルクも付けて」
と声をかけた。豊子は
「承知しました。すぐ準備 致します」
と休憩室を出て行った。
──ぼんやりと前を見ながら透子は 話し始めた。
「皆様が"プレゼント探しゲーム"をなさっている時です。大広間で……私と冴木さんは2人で話していました。それで……それで彼は……私に告白してくれました。あの大きなツリーの後ろで」
2人でシャンパングラスを持って
透子は夢のようだった幸せな時間を思い出していた。
彼がすぐ傍にいた時間を
「彼に“君は僕をどう想っている?”と聞かれました。──私は……彼の気持ちが嬉しくて、嘘がつけなかった。
私も冴木さんが好きだと告白してしまいました。それを聞くと冴木さんは……」
透子は少し目を伏せた。
「"逃げよう"と私に言いました。"この村は華蔵家の者の交際には厳しい目があるけれども、結婚してしまえば文句はなくなる"──と。"だから白吹村から今は出て、結婚してしまってから戻ってこよう"と。
彼は私に言いました。
"大丈夫だよ。きっとうまくいく"……と。
そうして0時に玄関ホールで約束していましたが、でも冴木さんは──来なかった。私は屋敷中を探したんですが……彼はもう…………もう、消えていました」
そうして透子は再び嗚咽しそうになり、その口を抑えた。




