040 始まる事件
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
◾️これまでのあらすじ
鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会することになった風晴と聖。
しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、現当主の理人と透子兄妹から、正火斗と水樹はクリスマスパーティーでの身代わりをお願いされてしまう。24日クリスマス・パーティーは2人が代役を果たし無事に終了したが、外は呪いが起こるという吹雪になっていた…………
本格的な着物を解くのも高校生達には難儀だったので、風晴達は2階の衣装室で女中達の手を借りて脱ぐことになった。
男子の方は人数が多かったので、風晴と聖は少し待って後になった。
聖は特に、お化粧を落としたりする必要もあった。時間のかかる聖を待つ風晴に、秀一達が
「僕らも待っていようか? 真淵くん、足も悪いから大変だろう」
と声をかけてくれた。
「さっき聞いたら、痛みがひいて固定もしてもらったから歩けるって。階段だけはおんぶかもしれないけど、──いけると思う」
最後のひと言は"聖が"ではなくて風晴が1人でも、ということだ。実際、着物さえ脱いでくれれば聖と風晴は体重差も身長差もある。階段3階分おんぶは、ハードだが出来ないこともないと風晴は考えた。
秀一や桂木、神宮寺はそれでも一緒に残ろうとしてくれたので、風晴はさらに言った。
「キツそうなら正火斗に声をかけるよ。今夜正火斗は3階の隣りの部屋に入るだろうし」
それを聞いて 彼らも納得してくれた。
「おやすみ」
「ハッピーメリークリスマス」
「では、また明日!」
と3人は宿泊室に戻って行った。
──やがて、聖も手伝いの女中2人と着付け部屋から出て来た。
聖はあくびをしていた。無理もない。
私服に戻った聖は、カーキの長袖Tシャツにグレイのイージーパンツだった。足を怪我したのでスリッパだ。
館内は暖かいし、今朝はすぐ着替えがあると思ったのだろう。軽装だった。
(これなら階段3階分も行けそうだな)
と、風晴は思った。
女中の1人が
「こちら、お忘れなく」
と通り過ぎざま、聖に折りたたみナイフと金色のガラポンの玉を渡して、そして出て行った。
聖は折りたたみナイフと金色のガラポンの玉をイージーパンツのポケットに入れた。
天羽生颯のプレゼントのアクリルスタンドは、そのキャラクターを知っていて好きな女中がいたので、すでに譲ることが出来ていた。
風晴はブラウンのセーターにジーンズだった。途中で草履から履き替えたので足首までのブーツだ。
告白タイムの時に一度3階の自室に戻って、プレゼント探しでもらったフェルトのケーキは置いてきてあった。
金森香世がくれた『貼るホッカイロミニ』とガラポンでもらったペンライトと青色のガラポンの玉は、やはりポケットに今は入っている。
着替えもあるしここでは役立たないことが多いので、2人ともスマートフォンは朝から部屋に置いて来ていた。
「じゃあ、上に行こう」
風晴は聖に声をかけ、聖はうなずいた。
2人が衣装室の扉に向かって歩き出した──その扉が開いて──
入って来たのは3人の 白い狐のお面を付けた人達だった。
「!!」
風晴と聖は驚いた。
驚いたが風晴は何かの団体なのかもしれないと判断に迷った。だが聖はすぐに、足を引きずっても着付け部屋のふすまを開け、積んであった座布団を彼らに投げつけた。
風晴がその行動に目を見張っていると、聖が叫んだ。
「逃げて風晴! ……この人達……良くない!!」
言っているうちにも聖は狐の面の3人に取り囲まれていく。座布団で応戦したがすぐに取り上げられ、1人に白い布を口に押し当てられる。他の2人は両脇で聖の腕を取った。
「やめろ!! 何するんだ!!」
風晴が聖の元に駆け寄ろうとした時──
ガッ!!
と耳の中で音がして頭に衝撃を感じた。
"後ろから殴られた"と気付いた時には崩れ落ちていた。
視界が歪み……意識は遠のく……
……最後に問いかけていた
一体 何人いるんだ? ────と。




