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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第5章 聖夜の対話

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038 ラストトーク真淵聖

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。

 



 桜田風晴がトークタイムに(はげ)んでいた頃、大広間では一つのある山場が起ころうとしていた。


 振袖(ふりそで)女装(じょそう)中の真淵聖(まぶちひじり)の元に、黒のトレーナーにベージュのチノパンスタイル。頭頂部(とうちょうぶ)は髪が(うす)く太り気味で背が低い──そうだ! 天羽生(あもう) (はやて) が現れた!!


「真淵さん。来ましたよ。待っていてくれてありがとう」


 天羽生はニタリと笑みを浮かべて言った。

 水樹は聖を守ろうと前に出ようとしたが、正火斗の方が速かった。


「天羽生さん。ご苦労様です。しかし彼女は話すことは苦手なんです。大切な妹の友人ですから、無理強(むりじ)いはしないでやってほしいんです。」


 静かで丁寧(ていねい)な言い方だが、正火斗の口調(くちょう)有無(うむ)を言わせぬものがあった。だがクリスマス・イヴに女子と話したい男の執着(しゅうちゃく)は、男前のカッコイイセリフによって、ますます燃え上がっていた。


「彼女は僕のプレゼントを受け取ったし、トークタイムを(いや)がってもいない。それに、()()()()()()()()()()()()僕に想われた方が幸せなんだ。──そこをどいて下さい」


 なるほど


 正火斗はある意味、納得(なっとく)した。

 天羽生は、当然"白吹(しらぶき)の呪い"を知っている。正火斗(華蔵家当主)に好かれるのはその相手にとっては行方不明(ゆくえふめい)になるリスクがある──だから彼は聖のために、自分が退()く必要が無いと思っている。


 ──ややこしいことになった。昨日から もう何度も思っている気がするが。


 天羽生を撃退(げきたい)する方法はある。告白ではなく求婚(プロポーズ)すればいい。今この場で、聖に。

 だけどそんなことまでするのか? しかも打ち合わせてもいない。聖だって断るかも。いや、受け入れてもらっても(こま)るんだ!!!

 大道正火斗の優秀な頭脳(ずのう)も軽くパニックっていると、後ろから羽織(はおり)を聖がクイクイと引いていた。


 正火斗が振り返ると、聖は言った。


「トークタイムに……参加する……」


 聖は正火斗と目は合わせなかったが、ハッキリと言った。

 正火斗は(まよ)ったが


「……………………見てるから。水樹と」


 と()げると身を(ひるがえ)した。

 水樹は不安そうに聖を見ていたが、聖がうなずくのを確認して兄の後を追った。

 秀一や神宮寺も近くに来ている。桂木も大広間の入り口に来たところだった。


 聖の向かいの椅子に天羽生颯は座り、彼は自分の好きなバーチャルアイドルの話や声優アイドルの話、作ったグッズの説明をしたり、たまにYouTubeをあげていることを話した。それから白吹(しらぶき)村の悪いところや不便(ふべん)なところ、不満(ふまん)を口にしたりした。

 聖の体は大広間中央を向いたままで、天羽生と向き合ってもいなかったが 時折(ときおり)


「ふうん……」


 とだけは言っているようだ。


 やがて10分が()とうとしていた。

 ()()だと思ったのか、天羽生は聖の方をしっかりと向いて言った。


「僕は見かけはこの通りですが、あなたに害したり危険は与えません。僕は優しく善良な人間なんです。真淵さん、あなたから見て僕はどうでしょうか?」


 すると──聖がその日初めて体の向きを変えた。大広間中央を向いていたものが、天羽生颯に向いたのだ。


 ミステリー同好会メンバー……に限らず、大広間にいる人たちの視線が集まる。



 真淵聖はゆっくりだがハッキリと言った。




「" 家から 少しは 出て 働け "」








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