034 トークタイム神宮寺清雅
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
神宮寺はクリスマス・イヴの大一番を前に、一つやっておきたいことがあった。
彼は大広間の聖と水樹のいる席に行き、水樹にパンッと手を合わせた。
「先輩、お願いします。先輩からのあの星形キャンドルを他の人にあげさせて下さいっ!!」
水樹は少し驚きながらも"透子"として
「いいですよ。だけど急にどうして?」
と聞いた。神宮寺は
「僕は今日クリスマスプレゼントにクリスタルケース入りのキャンディにしたんです。てっきり……ミステリー同好会メンバーや桜田くん達とだけのパーティーだと思って。
分けれて安くて手頃ならいっか! って……」
おい! ──水樹は思った。まあ、いいけど。
そこに、正火斗も秀一と話終わったのか戻って来た。
「トークタイムの秋月未来さん、僕の好きな顔でした。今日は10分かもしれませんが、僕達に未来はあるかもしれません。その名前の通り!!」
オヤジギャグみたいになってきた……
「なのに僕のあげたプレゼントはキャンディもケースも食べて捨てて無くなってしまうものばかりなんです!
クリスタルケースはクリスタルなんかじゃない! ただのプラスチックだ!! ……僕は未来さんに、何か僕らの未来を約束するものをあげたいんです!!」
途中から聞いても、正火斗は何の話か察しはついた。
「少し前、美人女性記者の新聞社に就職するって未来を約束してなかったか……?」
彼は夏休みを思い出して言ったが、神宮寺の耳には入っていなかった。水樹はこうなるとどうしようもないと思い、
「分かりました。頑張って下さい。……あまり、暴走しないように」
と最後に注意だけはした。
「はい! ありがとうございます!! 4歳年上女性ですけど必ず頑張ります!」
と神宮寺はお辞儀した。
なんだか騒がしいと思ったのか、桂木も近づいて来ていた。
「神宮寺も年上女性か。オレもこの後5歳年上の人みたいだ──"林有里子"さん」
「本当に?」
正火斗はすぐその名前に食いついた。"林有里子"は──
「"林有里子"は拓真や僕の同級生だ。小学6年生の冬にいなくなったのは彼女だ」
全員──ではなく、桂木と水樹には衝撃が走った。聖は聞こえているかもしれないが反応がない。
神宮寺は星のキャンドルの箱を取りに行った。
「じゃあ、何かその時の話を聞くか……」
桂木の後を水樹が引き取って言う。
「せめて連絡先の交換とか……」
明るい茶色の髪を、桂木はクシャクシャにした。
「10分で5歳年上女性を口説く? どんなミッションだよ。しかもこんな急に……」
水樹は言った。
「頑張って桂木。神宮寺なら本気でやる気だすわ」
「そこと比べるな!!」
桂木は怒鳴ったが、正火斗は更なる案を出した。
「告白ゲームで彼女を指名して告白したら……連絡先交換くらいはしてもらえないだろうか………」
「「「……………………」」」
3人の沈黙は────桂木自身が破った。
「…………公開告白はしたくない。好きな相手でも ないのに。……だから、なるべく小6の時の話をきいて連絡先を狙う」
そう力強く言って去って行く。
水樹はふと思い、口にしていた。
「桂木、好きな女の子いるって……こと? だってあの言い方って……ねぇ、兄さん?」
兄に同意を求めたが、正火斗は何にも気付きたくもなかった。
「秀一が待ってるだろうから、行ってやれ」
とだけ妹に言った。
神宮寺は予定通り秋月未来に星形キャンドルを渡すことができた。七色に光る姿に秋月は大ウケしてくれて、とても喜んでくれた。
彼女は専門学校を出て役場で働いていた。
上司のパワハラやセクハラ、苦情への対応、先輩との友情、飲み会の大変さを話され、神宮寺はただ聞くだけだった。が、彼は幸せにその時間を過ごした。
そしてその時間の終わりに──彼はなんと連絡先を交換した!!!




