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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第5章 聖夜の対話

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033 トークタイム安西秀一

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。


天羽生颯あもうはやて・白吹村の引きこもり男性。

 


 いなかった──聖、水樹、正火斗が大広間に戻ってくると、安西秀一はすぐに声をかけた。


「正火斗、ちょっと渡したいものがあるんだ」


 兄だけを聖夜(イヴ)に彼氏が(さそ)ってそう言うので、水樹は複雑(ふくざつ)な顔を一瞬した。


「"透子さん"とも後で話したい──(すご)く」


 秀一は笑って言った。

 トークタイムは他の人と話すことが禁じられているわけでもない。今は"透子"役の水樹とは2人だけで長時間いることはできないが、"ミステリー同好会の仲間"として話すくらいは許されるはずだ。水樹は深くうなずいてくれた。



 秀一と正火斗は大広間の窓際の一角に移動した。

 今はだいたいの人は他所(よそ)で話をしているようで、人はほとんどいない。

 窓から 降り始めた雪が見えた。まだ吹雪(ふぶき)と言う(ほど)ではないが、強まる予感(よかん)がした。2人はそれを確認はしたが、それには触れず秀一は本題(ほんだい)を切り出した。──今は天候の方はどうにもならない。


「正火斗、浅倉の手袋のデザインって今言える?」


 突然(とつぜん)の──思いがけない問いかけだった。正火斗は無言だ。どんな難問(なんもん)大抵(たいてい)答えを出してきた彼は、解答不可能(ふかのう)だった。


「あの真淵くんのプレゼントの横にあったもう一つのプレゼント──僕がもらっただろう? 中身(なかみ)はこれだった」


 秀一は持っていた手袋を、2人の間のテーブルに置いた。(はば)のあるブラウンとベージュが交互(こうご)のデザインになっているストライプ(がら)の手袋だった。秀一は言葉を続ける。


「水樹と浅倉はよく一緒にいるから。僕は知っていた──浅倉の手袋はベージュと白のストライプ柄で……今年自分で()んだんだって」


 そして彼は最後に()げた。


「これは正火斗が もらうべきだと思う」


 正火斗は浅倉の編んだ手編みの手袋を手に取った。見つめて──


「ありがとう」


 と言った。


「それ、僕に言う言葉じゃないだろう?」


 幼馴染(おさななじ)みは遠慮(えんりょ)なく言った。正火斗は'もっともだ"と思った。それでも


「教えて届けてくれたことに、だ」


 と述べて席を立った。

 戻っていく正火斗の背中を見ながら秀一は考え込んだ。 正火斗は手編みの手袋に(まった)く喜んでいる感じはなかった。むしろ……(つら)そうですらあった。どうしてか──あの2人はちっとも幸せそうじゃない。


 視界(しかい)にラブッキーくんのLOVEの(きざ)まれた(くり)に触れ、(おが)んでいるような男性がいた。それを何度も何度も()(かえ)している。願掛(がんか)けのようだとすぐに(さっ)しはついた。


 誰かとこの後トークタイムだったり、告白しようとしているのかもしれない。片想いや恋って必死(ひっし)になるよなぁ……と、秀一は約4ヶ月前の自分を思った。


 しかし、それをしている──黒のトレーナーにベージュのチノパンスタイル。髪の毛の頭頂部は薄く太り気味で背が低い男性が思い当たって彼は戦慄(せんりつ)した──



 それは天羽生(あもう) (はやて) だった








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