032 トークタイム浅倉奏衣
ー登場人物紹介ー
※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー
◆大道正火斗・3年生。実家は大企業の財閥グループ。
◆大道水樹・正火斗の妹。2年生。
◆安西秀一・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。
◆浅倉奏衣・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。
◆桂木慎・2年生。明るくフレンドリー。
◆神宮寺清雅・1年生。ややお調子者?
◆椎名美鈴・1年生。真面目でしっかり者。
◇桜田風晴・田舎の農業高校2年生。
◇真淵聖・風晴の同級生。話すのが苦手。
○華蔵理人・華蔵家現当主。
○華蔵透子・理人の妹。
○橘信蔵・華蔵家執事。
○斉藤豊子・華蔵家女中頭。
○山原海・華蔵家料理人。
○冴木拓眞・華蔵家運転手。理人の同級生。
◾️これまでのあらすじ
鳳翔院学園ミステリー同好会メンバーとN県白吹村の洋館ペンションで再会することになった風晴と聖。
しかし洋館当主の華蔵家には"白吹の呪い"があり、現当主の理人と透子兄妹から、正火斗と水樹はクリスマスパーティーでの身代わりをお願いされてしまう。そしてクリスマス・パーティーは"プレゼント探し"までが終了。次はトークタイムが近づく。
2025年12月24日午後9時
華蔵家クリスマスパーティーはトークタイムになった。
トークタイムの場所は一階ならどこを指定しても良いことになっている。
浅倉奏衣は、広間を指定した。昨日来て間もなく理人と透子から話を聞いた部屋だ。知っている場所の方が気が楽な感じがしたのだ。
中には他にも1組の──多分高校生っぽい男女、それから相手を待っているかのようなスーツジャケットの男の人の背中があった。だが、顔は見えない。
アレは高校生じゃないなぁ……と、奏衣は1人、振袖の裾を気にしながらソファに座った。ラブッキーくんも持って来ている。そこへ──
「プレゼントもらってくれてありがとう」
と明るい声がした。見上げると確かに、包装紙を渡した時に見た人懐っこいような笑顔があった。
「すっごい嬉しいよ! 何て言うか……東京の女子高校生に相手してもらえるなんて思ってなかったし……もう、10分だって最高に嬉しい!!」
そう言って正火斗程ではないが、背の高い彼は向かいのソファに座った。
名前は──確か戸田広雪くん。"広雪"の雪の字が、豪雪地白吹村生まれを表しているかのようだ。それを本人に言うと
「そう! そうなんだよ! その通り!!」
と物凄く同意してくれた。戸田はバレーボール部だったことが分かり、浅倉もバレーボール経験者だったことから、2人はスポーツの話題でも さらに盛り上がった。
10分は瞬く間に過ぎていく。
終わり頃かなと気づいたのか、戸田は浅倉を見つめて思い切ったように言った。
「オレ今3年なんだ。関東の大学は受けるから。──東京だって行くかもしれない」
浅倉は胸が痛むのを感じた。彼は……また会えないかと言ってくれているんだろう。会いたい……と。でも──言わなくてはいけない。
「ごめん。私、付き合っている人いるんだ」
言った途端に気付いた。
あぁ……私なんで来ちゃったんだろう
こんなの……思わせぷりな女だ
「本当にごめんなさい。私、ラブッキーくんがもらえてとっても嬉しくて。……お礼を言いたくなってしまって……」
戸田は笑って明るく言った。
「じゃあラブッキーにしてホント良かったよ。クラスの女子にも人気あったからさ、迷ったけどそれに決めたんだ。連れて帰ってやって──東京に」
浅倉はうなずいて──それから立ち上がった。戸田も立ち上がる。
出口に行き際に浅倉は今度はあのスーツジャケットの男性の顔が見えて、そして目までバッチリ合ってしまった。
「冴木さん!」
やや大きな声になってしまって、浅倉は口に手を当てた。
冴木は立ち上がって
「浅倉さん素敵なクリスマスだったならいいですね。戸田はバレーボールチームではエースでいいヤツですよ」
とまで言ってくれた。
浅倉はここで説明しようとしても ややこしいだけだと思い、冴木の方に問いかけた。
「ゲームに参加していたんですか? 全然気づきませんでした」
冴木は少し眉を上げて答えた。
「いや、"プレゼント探し"ゲームは参加しなかったんです。話していたのはゲームとは関係の無い人なんです」




