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炎と白銀と〜聖夜の洋館の悲劇〜僕達の推理2  作者: シロクマシロウ子
第4章 混迷の聖夜

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028 それぞれの相手1

ー登場人物紹介ー


※◆は鳳翔院学園高等部ミステリー同好会メンバー

大道正火斗だいどうまさひと・3年生。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・正火斗の妹。2年生。

安西秀一あんざいしゅういち・部長2年生。父親は大道グループ傘下企業役員。

浅倉奏衣あさくらかなえ・副部長2年生。中等部の頃から正火斗に片想い。

桂木慎かつらぎしん・2年生。明るくフレンドリー。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・1年生。ややお調子者?

椎名美鈴しいなみすず・1年生。真面目でしっかり者。


桜田風晴さくらだかぜはる・田舎の農業高校2年生。

真淵聖まぶちひじり・風晴の同級生。話すのが苦手。


華蔵理人かぐらりひと・華蔵家現当主。

華蔵透子かぐらとうこ・理人の妹。

 


 水樹と浅倉、椎名と聖が2階から1階への階段を降りて来たとき──それは起こった。

 着物の(すそ)()んだ聖がバランスを(くず)して階段から落ちた!

 3段ほどの高さだったが、聖は踊り場に(たた)きつけられた。


「聖!!」

「大丈夫ですか!?」


 周りには他の女の子達もいてザワザワと騒然(そうぜん)としている。

 横たわったまま聖は足首を(おさ)えた。ぶつけた肩よりもそっちがズキズキとやんだ。裾を踏んだ時にひねっていた。


「動かさない方がいい」


 落ち着いた声がして、水樹や浅倉が下を見ると緑のプレゼントの箱を持った正火斗が上がって来るところだった。


「兄さん……!」


 と呼んだ口調(くちょう)が、気が動転(どうてん)した"水樹"のものであると 正火斗はすぐに気づいた。


「"透子"、大丈夫だから。落ち着きなさい」


 妹にわざとそう声をかけ聖の足首を(さわ)って確かめる。

 骨には異常はなさそうだ。

 正火斗は気づいていなかったが、彼が聖の足首に触った時点で周囲から女性達の溜め息は もれていた。

 彼が聖の背中と(ひざ)の裏に両手を回して抱き上げた時には キャアと短い悲鳴(ひめい)が上がったが、無論(むろん)そのまま聖を かかえて降りる。

 振袖(ふりそで)の聖は痛みで(ちぢ)こまっていて胸板に()()う形におさまり、彼はすぐ近くにある苦しんでいる少女の顔に(いた)わる眼差(まなざ)しを送っている。

 ──という絵面(えづら)完璧(かんぺき)に完成されていた!!

 もはや誰も立ち入ることの出来ないビジュアルの世界!!


 正火斗は一度だけ振り返ると


「プレゼントの箱を(たの)むよ」


 と水樹に言った。

 水樹はうなずいた。

 椎名が聖の落としたプレゼントは(ひろ)ってくれて、正火斗の後をもう ついていっていた。

 水樹は正火斗の置いて行ったプレゼントを手に取る。

 正火斗と聖がいなくなると、集まっていた人々もほとんど消えていた。みんな大広間に向かっていた。(もしくは正火斗&聖を追ったものと思われる)



 大広間入り口ではプレゼントを一つ持っていることが確認され、服に貼れるネームシートを渡される。


 いよいよ、誰が誰のプレゼントを手にしたのか、誰にプレゼントを受けとられたのかが──判明(はんめい)する!!









 安西秀一が手にしたプレゼントは、正火斗が持っていったプレゼントの横にあったものだ。つまり真淵聖からの可能性(かのうせい)がある。

 慎重(しんちょう)に包装紙をといて長方形の箱を開けると、秀一には名前を見なくても誰が誰に受け取って欲しくて置いたプレゼントなのかが(さっ)しがついた。

 考えてみると、聖のプレゼントの横にあった事情も理由すらも見当(けんとう)はつく。

 ──プレゼントの中身は手編(てあ)みの手袋だ。

 彼は自分のすべきことを決めた。



 秀一の持ってきたプレゼントはツリー形のアロマキャンドルだった。水樹と秀一はクリスマス・イヴに会えることがお互いへのプレゼントだと話し合っていた。

 キャンドルは本当は久しぶりに会う風晴と聖へという形で2個持って来ていたのだ。

 その中の一つをゲームに出していた。


 受け取ったのは白吹村(しらぶきむら)の女子高生だった。奇跡的(きせきてき)に同学年。だが会う時間を書かれた包装紙を渡されても、自分の気持ちは決まっていた。

 彼はただ白吹村の女子高生の背中に心の中で(あやま)った────"会いに行く気がなくてすみません"と。






 神宮寺清雅は落ち込んでいた。

 自分の獲得したプレゼントはなんと大道水樹のものだった。可愛いらしい星形スタンドに乗った電池式キャンドル。スイッチを入れると(あか)りがつき、7色に変わる。

 最悪、水樹がシングルの時ならまだ嬉しかっただろう。今 毎日安西部長との夫婦漫才(めおとまんざい)みたいなのを見せられているのに、なんで僕はよりにもよってそんな女性のプレゼントを獲得したのか……。

 しかし、包装紙を届けに来てくれた女性に舞い上がった!!

 20才の秋月未来さん──背が低めで愛らしいくて、言葉使いが丁寧(ていねい)で──大丈夫です!4歳年上は全然ストライクゾーンです!待ってて下さい!! 聖夜(せいや)を共に過ごしましょう!!






 桂木慎のワイヤレスイヤホンは白吹村の聖歌隊(せいかたい)の一員の女子高生に(もら)われていた。

 会いたい時間を書いた包装紙を渡しに来た時には 友達5人も一緒で、かなりキャーキャー(さわ)がれた──人気者!!!

 桂木自身のとった小さな長方形のクリスマスプレゼントは腕時計だった。シンプルなデザインだが(しつ)が良いのはなんとなく分かる。

 残念だったのは、時計の(はり)が止まっていることだった。 まあ、後で電池を入れてもらったら動くだろう。


 名前を探すと、包装紙の(はし)にあった。



 ────"林有里子(はやしゆりこ)"







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― 新着の感想 ―
ああ、青春真っ只中の少年少女たちの心が傷だらけになっていきそう(・_・;) あげたいヒトに渡らないプレゼントとか、ヒドいわ。(今さら) 聖、目立ってしまったけどバレなかったな、女装。 すね毛が見えて…
私のお気に入りの子が大変なことに!? とても心配ではあるのですが、クリスマスプレゼントの中身も気になりました。手編みの手袋はすごいですね。私が高校生の頃はマフラー(自分用)で精一杯だったことを思い出し…
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